花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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決戦

花と十字架の想い 74話

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死鎌刃魂が倒れた。

その瞬間の同時刻。

マリン「マーカサイト様! 一階層の扉が開きました!」

マーカサイト「そうか…」

マリン「それに、死鎌刃魂の反応もありません! もしかして、死…」

マーカサイト「だろうな。…だからどうした?」

あまりにもあっさりと、死を認め…いや、死んでも良かったような、口振り…

マリン「あの…まだ息があるかも…確認に…」

マーカサイト「捨て駒にそこまでする事はない。」

捨て…駒……?

マーカサイト「所詮、死鎌刃魂も逆刃十架も私の肉体が戻るまでの捨て駒だ。

完全復活した今、あいつらに用はない。」

マリン「…そ、んな……っ!!」

慌てて駆けだす。理由は、ジェイド達に伝えるため。

アメシス「………」

(ツァイ、セレスタ、レサイト……ごめんなさい…)


マリン(早っ…早くジェイド様とカイヤ様とクロム様に……!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マーカサイト(余計な真似はさせん……!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マリン「……!?」

気配に振り返った先から、黒く鋭く光るものが飛んできた。

それが…

マリン「かっ…!」

マリンに直撃。当たった場所は、見事に心臓部。

魔族と言えど心臓を貫かれれば無事ではない。さすがに耐えかねて、その場に倒れる。

マリン(ジェイド…様…だめ、マーカサイト様…は…)


その時、セイクレイ城のシェルター代わりにもなっている地下庭園で

いまだ回復されていないフロックスと戦えないローズマリーは待機していたのだが…

ローズマリー「っ…!?」

持っていた花瓶が衝撃も無しに砕け散る。

ローズマリー「………マリン??」


ジェイド「マーカサイト様!!」

マーカサイト「どうした? 持ち場にもう着いていたのではなかったか?」

ぐったりしているマリンを抱えてジェイドが玉座の間に入って来た。

ジェイド「何か、妙な気を感じたので…その気配がする方へ歩いていたら、

こいつが、息絶えて……」

マーカサイト「先ほど、シオン達が二階層に来ていた。

おそらく、その仕業だろう。…仇を討つかどうかはお前に任せるが、

くれぐれも、無理をするなよ」

ジェイド「……っ」

そんなの嘘だ。けれど、ジェイドは完全に信じ切っている。

アメシス「…マーカサイト様…ジェイドはこの後戦いがあります。

マリンの事、お任せいただけないでしょうか?」

マーカサイト「構わん。行ってこい」

アメシスは魔王に一礼して、ジェイドを連れて玉座を出た。


アメシス「ジェイド。マリンの事は私に任せてください…

あと、これを……」

1つの紙をジェイドに渡す。

ジェイド「なんだ?」

アメシス「シオンさんと戦う前までには読んでください…」

アメシスはマリンを預かった後、ジェイドと別れた。

ジェイド「……何が書いて……これは……!?」


シオン「ここが二階層か……」

アイリス「また何か放送があるかも…」

しばらく待つと案の定声が聞こえてくる。

カイヤ「二階層まで来ましたか…さすがですね」

クロム「ここからはちょっと大変よ? 

先へ進むためには、この先のトラップをすべて解除しなければならない」

カイヤ「解除装置は色々な所に配置してあります。

ちゃんと解除して来てくださいね? この階層では我々逆刃十架が相手になります」

クロム「私はそこから左の通路の先。カイヤはそこから右の通路の先にいるわ。

ふふ、待ってるわね。」

声の主はカイヤとクロムだ。

シュロ「……ジェイドとアメシスの声がないな…」

ブローディア「アメシスは玉座にいるんじゃない? ジェイドは知らないけど」

レオノティスがさっきから黙っている…

シオン「どうした?」

レオノティス「アイリス奪還に来た時だ。ローズマリーがここを案内してくれた時に、な…」


ローズマリー「ここにはトラップがあるんだけど、

これは作動しちゃうと、その…解除も大変なの。ほんっとに大変なの」


レオノティス「……代償が何かあるかもしれない。

解除の代償が何か調べてから解除してくれ。くれぐれも、すぐに解除しようとするな」

シオン「…そうだな。じゃあ、また分かれるか?」

今ここにいるのは、シオン、アイリス、ブローディア、レオノティス、シュロ、リナリア。

シュロ「僕とレオは右に行こう。この層にカイヤがいるのは間違いない」

レオノティス「あいつは俺達に任せてほしい」

シオンもシュロ達がカイヤと戦おうとするのは分かっていたので、頷く。

けれど…

リナリア「お願い。私に左は任せて」

ブローディア「へ、平気? 相手は…」

リナリア「私に、けりを付けさせて…」

言ってもこれ以上は退きそうになかった。

アイリス「無理は、しないで」

リナリア「うん…」

シオン「それじゃあ、手がかりが何か見つかったら、

この先の道へ来てくれ。俺達はまっすぐ進む」


リナリア側。

二階層は全然魔族がいなかった。

おそらく、トラップで足止めしているから、必要なかったのだろう。

リナリア「手がかり…手がかり…」

途中に何冊か書物があったので、確認してみるが、

トラップに関係するような事は載っていなかった。

ただ、トラップらしき装置は三個ほど見つかった。

リナリア「こんなにあるの…?」

クロム「その装置の秘密、知りたいならいらっしゃい?」

リナリア「クロム!?」

クロムの声が聞こえる。声の発信源はこの扉の奥だ。

怖くないわけじゃない。けれど、シスルも一人で戦ったかもしれない。

馬鹿にされたくない、何より、自分の友達から逃げたくない。

リナリア「……クロム……」

一度、そう呟いてから、扉を開ける。


クロム「まさか一人で来るなんて…巫女様が大丈夫なのかしら?」

リナリア「……死ぬ気は無いから平気よ。貴方を解放するまで死ねないわ」

どうしてそこまで…と聞くのはやめた。

返ってくる答えは分かっていたから。

でもリナリアは何も聞いていないのにその答えを出す。

リナリア「大事な友達だから…」

クロム「だから。貴方と友達の覚えはないのよ」

……私は、もう…

リナリア「そう言われても泣かないわ。まだ私は泣いちゃいけないの」

クロム「はぁ…貴方も強情ね」

これ以上は、と言うように鎌を構える。

リナリアも抜刀する。

この刀に関しては、一応護身用として家で習ったものだ。

片手刀なのでそこまで重くもない。聖武器も同じ形状で良かったとつくづくだ。

けれど、クロムの強さだって分かっている。見ている。

セイクレイ城が襲撃された時。シスルが魔王の力を使ってしまった時の事だ。

鎌を振っただけで、当たっていない木が斬れた。つまりは…

クロム「私の鎌には当たらずとも斬れてしまう。間合いを取っても無関係よ」

リナリア「それでも、私は…!」

クロム「スカルリップ!!」

リナリア「……っ!!」

思わず前に構えた刀に何か当たった。

何も見えない、見えない鎌…衝撃波? 防げていなかったらと思うと…

クロム「よく見えたわね? 

それとも、見えてはいなかったけど、死にたくないって本能かしら?」

リナリア「……貴方を、魔物から救う!!霊蝶閃!!」

鎌と刀がぶつかって、キーーンという甲高い音が響く。

クロム「っ! 力、思ったより強いのね…!」

リナリア「激戦の連続だったもの! っ!」

互いに弾かれ、距離が置かれる。

クロム「だったら…連撃でも耐えられる!?

…ラストディレート!」

一気に距離を詰めたクロムが連撃を繰り出してくる。

リナリアも防ぐので手いっぱいで反撃できない。

それどころか防ぎきれなくなってくる。

リナリア「ま、っ! だめ!!」

うまい事タイミングを合わせて横に鎌を払う。

その隙に床に転がり込んでかわす。腕が少し斬れたが気にしてられない。

そのまま時間を空けずにクロムに斬りかかる。

リナリア「秋桜・鈴華閣!」

クロム「なっ!」

リナリアの攻撃もクロムに傷を付ける。

クロム「まさか傷を付けられるとは思わなかった…

ふぅ…そんなやり方もできるようになったのね。あの頃はまったく…」

え……? 「あの頃」?

リナリア「クロム…あの頃って……」

クロム「…!」

(あの頃って、いつの事かしら…)

リナリア「…もしかして、記憶……」

そう言いかけると、耳をふさいだクロム。

クロム「知らないわ! …ただ、何となく…

ふ、ふふ…駄目ね…貴方と話していると惑わされていけないわ…

私も本気出すわ。逃げられると思わない事ね」

リナリア「ぁ…きゃあ!?」

淀んだ緑の光。魔獣の姿になるのは何となく分かった。

あれ……? クロムの魔獣の姿って……確か…

目を開ける。けど、

リナリア「あれ……クロム…?」

いない……と思ったら、

クロム「上よ!」

リナリア「え……わっ!?」

上から暴風。そうだ、クロムの魔獣の姿はケツァルコアトル。

竜の一種。翼の生えた大蛇。風の神。蛇神。色々名がある生物だ。

リナリア「クロム!!」

クロム「貴方は空を飛べない。勝てはしないわ!」

遠距離攻撃ができるアイリスやブローディア、レオノティスやシュロならともかく、

リナリアでは届かない。

一方クロムは悠々とリナリアの頭ぎりぎりを飛空。

時々炎を吐いてくるので、リナリアはかわす一方。

リナリア「これじゃあ…わあ!? …攻撃できない!」

クロム「降参したい? でも残念。逃がすわけには、いかないのよ…!」

リナリア(届かなきゃ…届くには……)

咆哮と共にまたこちらへ向かって来るケツァルコアトル。

翼で切り裂くつもりだろうか…翼が自分の真横に来るように飛んできた。

リナリア(これしかない!!)

かわしもせずに、その翼に飛び乗る。

クロム「なっ! この……! 落ちなさい!!」

リナリア「落ちて、堪るものですか…!」

がむしゃらに飛び回る背に必死にしがみつく。

あの高さで飛べば乗られてしまうと知られた以上、

二度目はない。落ちるわけにはいかない。

リナリア「クロム! 私が強くなった理由は…家を出た理由は……!

全部クロムよ! クロムを助けたいから強くなった! 

クロムが自分に正直にって言ってくれたから、私は貴方を探しに家を出た!」

クロム「……! うる、さいわ……!」

リナリア「クロムが私の手合わせしてくれた! だから私は旅に出られた!」

(このまま魔族として生きていても、化け物にいつかなる…

私が、クロムを…殺す事で助けるの……!)

聖武器が輝く。その光は、乗られているクロムでも分かった。

クロム「な、何をする気…!? けど!!」

長い尾がリナリアに向かって振りかぶってくる。

けれど、避けはしない。好機は逃さない!

リナリア「ゼロ・オリジン! トゥルーアクロス!!」

その叫びと共にケツァルコアトルに刀を突きさす。

その衝撃で尾も動きが止まる。

リナリア「思い出して、クロム!!」

クロム「っ…貴方、は……!」

ケツァルコアトルの体は閃光を放ちながら床に追突。

リナリアは聖武器の光のおかげで何とか無事に着地する事が出来た。


リナリア「クロムー! 少しは上手になったかしら!」

クロム「まだまだね。こんなんじゃ、旅に出るなんて夢のまた夢よ?」

リナリア「もう…でもわかったわ。私もっと頑張るわね!」


さすがにケツァルコアトルに振り回されたせいでフラフラしていたので、

座ったまま目をうっすら開ける。

魔獣の姿はどこにもなく、クロムが倒れているだけだった。

リナリア「クロム……」

クロム「…リナリア……ごめんなさい……思い、出したわ…」

思い出した? 何を? 自分の事を?

クロム「……自分を偽らずに、行動できるように、なったのね……」

リナリア「……クロム……うん、うん…! クロムのおかげよ…!!」

ふらふらしながらクロムの傍に来る。

もう、助からないだろう。いや、そうでないといけない。

記憶が戻ろうと、人間には戻れない。

クロム「……教える約束、だったわね…

ここのトラップは、解除するとダメージを負うの…」

後ろを指さす。そこには一つの装置がある。

ここに来るまでにリナリアが見た装置と同じだ。

クロム「あれも、そう…解除したらダメージが来る。」

リナリア「…でも、解除しないと先に進めない。

だから……」

待って、と、クロムが立ち上がろうとしたリナリアを制止する。

クロム「このままだと貴方が私にとどめを刺した事になってしまう、わ…

私は、自害した……そうじゃないと、貴方が一生悪夢を見るわ…」

リナリア「何、を……?」

クロムの方が重症なのに、もう死にそうなのに、立ち上がって装置に手をかける。

リナリア「待って!!」

クロム「貴方はまだ戦いが残っているでしょう…? 

…親友のために、最期ぐらい良いところ見せたいのよ…」

待って、待って、待って……

言いたいのに声が出ない。違う、言ってはいけない。

クロムの覚悟を、否定する事になる。それよりも今は、言わなきゃいけない事がある。

リナリア「クロム! 生まれ変わったら、また、友達になって!!

今までずっと……ありがとう!!」

クロム「…私もよ。頑張って…リナリア……」

そのまま、一つの装置が押されてーー

闇の魔法がクロムを攻撃した。

本当に些細な魔法だ。元気なら怪我で済むだろう。でも…

クロムは死にかけで…とどめを刺すには十分すぎた。


リナリア「……なんで…そんなに幸せそうなの……」

倒れて目を閉じるクロムの顔。苦痛などなく、後悔でもなく、

親友の身代わりになれた事を本当に喜んでいるような顔。

リナリア「……大好きよ、私の、一番の親友……」

伝えなければ。クロムが教えてくれたこの事実を…

シオン達に早く……そして、トラップを何とかする術を見つけないと……

リナリア(クロム…まだ、私泣かないよ……

魔王を倒して、全て終わったら…泣いても、許してね……)
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