花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
75 / 80
決戦

花と十字架の想い 75話

しおりを挟む
シオン達が二階層を攻略していた頃、

セイクレイ城では…

ローレル「ちっ! 魔族兵が多すぎる!」

バジル「城下には影響はありません! あくまでも、この城だけを狙ったという感じですね…!」

ネメシア「戦闘に参加できるのが我々だけだからでしょう。

町の人を放置しても問題はないと…」

魔王は本当にセイクレイ城に魔族兵を送り込んでいた。

二階層に魔族兵を配置しない分を全部送り込んであった。

ネメシア「ローレル…行かなくて良かったの…? 弟さんの事…」

ローレル「シスルに託したからいいんだよ! 

それに、本音を言うと、あいつを殺す覚悟ができなかった…情けねぇだ、ろ!?」

おしゃべりしながらも魔族兵を薙ぎ倒していく。

バジル「いいえ、そんな事ありません! 俺だって、倒さなければいけないとなっても、

実の妹を手にかけるのは、できませんから…!」

バジルも次期将軍候補だけあって、将軍と並んでも問題なかった。

バジル「あいつらならば…やってくれます。必ず…!」

ローレル「そーだな!」

ネメシア「! 二人とも! 後ろ!」

ネメシアが視線を向けた先。魔族兵を斬り伏せながら向かって来る一人の影。

ローレル「お前! フロックス!? 目覚めたのか! って、来て平気なのかよ!」

フロックス「お手伝いさせていただきたい! 

ずっと魔王に乗っ取られてご迷惑をおかけした…

魔王城に乗り込む事はできずとも、ここでせめてもの罪滅ぼしを…!」

ネメシア「…ありがとうございます。」

ローレル「けど死ぬなよ! ブローディアは、お前を待ってたんだからな!」

フロックス「はい!」


一方、リナリアが左側を駆けていた同時刻。

右側を担当していたシュロとレオノティス。

シュロ「なんか、割と普通に進めるな?」

レオノティス「馬鹿言え。恐らく、玉座の間への道が罠だらけなんだろう。

シオン達が向かった先が怪しいな…」

リナリアの方もそうだったが、左右の道はトラップ解除のための装置があるだけで、

トラップ自体は全然なかった。

けれど、何が起きるか分からなかった二人は触らずにカイヤの下へ急ぐ。

レオノティス「どうせ、奴が何か知っているだろう。聞き出すぞ!」

しばらく走り続けていると、目の前には壁。

シュロ「え…行き止まり!? 分岐なんて無かったよな!?」

カイヤ「ああ、私としたことが、転移魔方陣の設置を忘れていました。」

その声が聞こえるなり、足元に転移魔方陣が張られる。

カイヤ「どうぞ。入って来てください。その覚悟があるのなら」

レオノティス「…何を企んでいる?」

カイヤ「別に何も? ただ、私と戦う以上、覚悟は必要でしょう?」

ふざけたことを…

レオノティス「怖気付いたなら、お前は残っても良いが?」

シュロ「そっちこそ!」

………

いつも通り火花を散らしながらも、特に合図も無く魔方陣に踏み込む。


カイヤ「わざわざ死にに来てくださり、ありがとうございます」

その声にはっとして顔を上げる。

シュロ「相変わらず勝手な勘違いを……」

カイヤ「まさかお二人で来てくださるとは思いませんでした。

まあ、私は別に二人でも構いませんけどね」

レオノティス「いつまで余裕でいられるだろうな」

シュロとレオノティスとしては、因縁でしかない。

エルフを操られ、シュロの妹、サフランを殺させた。

後にエルフはカイヤに殺された。そのせいで誤解が生じ、

さらにサフランは聖武器を出現させるための鍵として死ぬように仕向けられていた。

カイヤ「……もう一つ、教えましょうか? レオノティスさん。

貴方の友人…ハーフエルフですよね?」

レオノティス「なぜ、それを……」

カイヤ「…ハーフエルフが忌み厭われた…その理由…です。

私が、ハーフエルフは害をもたらす劣悪種だと、エルフと人間に伝えたんです。」

は?…と、言葉がない。

カイヤ「変装してです。…エルフも人間も愚かですよね。

自分の保身が大事すぎて、嘘か真かも確認せずに、信じ切る」

シュロ「じゃあ、レオの友達が殺されたのは、お前の嘘に踊らさせたからか!?」

間接的に、カイヤが殺したようなものだ。

いや、なぜこのタイミングで言う。

カイヤ「死ぬ前に知りたいでしょう? 友人の死の真実…」

レオノティス「貴様…!」

これ以上会話をする気は無いと言わんばかりに銃を構える。

カイヤ「…始めましょうか。無慈悲な葬送曲を…」

カイヤも魔導書を開いて詠唱体勢に入る。

レオノティス「シュロ! こいつは予測できる動きをしたら絶対に当たらない!」

シュロ「わかっている! かく乱しながら行くぞ!」

カイヤ「狂わせる月夜…ルナテックサークル!」

会話が終わった時にいつの間にか詠唱が終わって即放たれる。

慌てて両端にかわそうとするが、魔法の起動はそちらの方へ。

レオノティス「なっ!?」

シュロ「うわあ!?」

即座に体勢を立て直して少し後ろに飛びのく。

カイヤ「ふふ、貴方方が両端に回避する事など予見しています。」

レオノティス「くっ! サイクロンバレット!」

暴風の銃弾となって放たれる。が、やはりそれはかわされる。

カイヤ「だからそんなもの当たりませんよ」

レオノティス「今お前が相手にしているのは二人だ!」

シュロ「イーグルスウォープ!」

シュロのブーメランがカイヤ目掛けて急降下する。

カイヤ「…ふっ!」

またもそれをカイヤがかわす。けれど…

レオノティス「炎冷連弾!」

カイヤがどこに回避するか分からないため、

レオノティスが間髪入れずに四方八方に連射した。

カイヤ「なっ…!?」

そのうちの二発はカイヤに命中。

シュロ「よ、よし! 当たった! こう連続で来ると、さすがに読み切れないだろう!」

レオノティス「しかもどこに飛ぶか分からない弾は予知にも限界が出る。

お前の未来予知は見切っている!」

しばらく黙っていたカイヤだったが、ふっ、と少し笑うと…

カイヤ「分かりました…この手はあまり使いたくはなかったのですが…

今の貴方達なら、まさか流されませんよね?」

何の話だ…と身構えていると、術の詠唱。

カイヤ「悪夢に呑まれよ…デスナイトメア!」

唱えたのだろうか…でもこちらにダメージは来ない。

レオノティス「…何をやった?」

その問いかけに答えは帰ってこない。でも、すぐに理解した。

シュロ「……え?」

レオノティス「貴様…また悪趣味な…!」

目の前に出現したのはシュロの妹サフランと、レオノティスの友人デュランタ。

おそらくカイヤの盾として出したのだ。消さなければダメージはカイヤに行かないだろう。

シュロ「あ、あ……」

レオノティス「惑わされるな! 彼らは、もう、死んだんだ!」

シュロ「そ、そうだよな!? …さっさと、消して…」

カイヤ「いいんですか?」

勢いを遮るようにカイヤが割って話す。

カイヤ「確かに彼らは死にました。

でも、彼らの魂は私が握っている…と言ったら?」

どこまでも……

シュロ「ほ、本当だという証拠はないだろう…」

カイヤ「嘘だという証拠もないんですよね…? 

もし真実だった場合、魂は消え、輪廻転生なんてできなくなりますよ?」

どこまでも……

サフラン「お兄ちゃん…殺さないで…」

デュランタ「レオ…消えたくない…」

カイヤ「さあ、どうしますか!? クロスウェイブ!」

向こうは無容赦で攻撃してくる。こっちはかわすだけ…防戦一方だ。

シュロ「声まで…こんな…」

デュランタ「……僕のために…お願い…この人を倒さないで……」

瞬間、レオノティスの迷いがほどけた。

デュランタはこんな事を言わない。

人間を恨まないでほしいと、幸せになってほしいという奴だった。

自分のために、負けてくれなんて思う奴じゃない……!

レオノティス「…シュロ。サフランの言葉をよく聞け。

…分かるはずだ。嘘か真か……!」

サフラン「……お兄ちゃん…私が死んで、何でお兄ちゃんは、生きてるの…?」

シュロ「!!! 違う…サフランじゃない!」

双方ともに武器を構え、放つ。

サフランとデュランタは叫び声も上げずに消え去る。

カイヤ「!? …惑わされませんでしたか…

死んでほしいと願われたら、言う事聞いてしまうかと思いましたが…」

無言でカイヤを睨みつける。

カイヤ「いいでしょう。これ以上長引かせるのも面倒です。

一気に片を付けるとしましょう!」

淀んだ青い光がシュロとレオノティスの視界を奪う。

その中で聞こえたのは、オオカミの鳴き声。

シュロ「……! な、あ!?」

レオノティス「あの時の…魔獣姿…フェンリルか!」

カイヤ「この魔獣。まあ、元の姿よりは素早さは劣りますが、

他の方の魔獣姿と比べたら素早い方です。力もありますからね……!」

瞬間、すぐに飛び掛かってくる。間一髪かわすのが精いっぱいだった。

シュロ「あ、危なすぎる…!?」

レオノティス「もっと早くかわせ! 死にたいのか!?」

それだけぎりぎりの回避だった。でも、物理だけじゃない。

カイヤ「私のブレスは冷気です。凍らないようにもしてくださいね?」

そう言うなり吐き出してくる冷気。

身をかがめて回避するが、その冷気を喰らった壁は、完全に凍り付いていた。

レオノティス「……ん? シュロ! 避けろ!」

シュロ「え、なっ!?」

飛び掛かってきたフェンリルに壁に叩きつけられる。

レオノティス「……この!」

銃弾を放って命中するが、致命傷にはならない。

それで意識が逸れたフェンリルはレオノティスも壁に叩きつけた。

カイヤ「立とうとしても無駄ですよ。

飛び掛かった際に、壁と肩を凍らせて動けないようにしましたので」

よく見ると肩と壁が氷で縫い付けられている。

まずい。非常にまずい。

シュロ(ふざけるなよ…サフランに…ローズまで傷つけて……! 僕達は…!)

レオノティス(エルフと人間を狂わせて、一つの種族を不幸にして……! 負けるわけにはいかない……!)

その願いは確かに聖武器が聞き届けた。

光輝いた聖武器は、その氷を溶かす。

カイヤ「なっ…魔獣の氷が……溶けていく…!?」

力振り絞って、その場に立ち上がる。

レオノティス「お前は…悲しみを振り撒きすぎた…!」

シュロ「みんなのために…勝たせてもらう!」

レオノティス「ゼロ・オリジン! スピリット・ラッシュ!」

シュロ「ゼロ・オリジン! グリーフ・セーバー!」

カイヤ「これは…神の力を…借りて来たのですか……!」

レオノティスの銃弾は意志を持ったようにフェンリルの足止めをして、

そこに向かって、シュロのブーメランがフェンリルの胴体を断った。


息を切らす二人。カイヤもだが、魔獣化が解ける閃光の後も、

倒れる事はなく、膝をついているだけ。

レオノティス「プライドの高い奴め……」

シュロ「君が、それを言うかい……?」

カイヤ「は、はは…まさか負けるとは思いませんでした…」

シュロ「…本当に…人間だった頃の事は覚えていないのか!? 思い出せないか!?」

カイヤ「ええ…仮にそうだったとしても認めたくありませんね」

とりあえずトラップについて知ってる事を…吐いてもらってから…

…トドメは…どっちが…

シュロ「……レオ…その、情けないとか、思わないでくれよ。

…元々、こいつは人間だ…そう思うと、トドメは…何か…」

深いため息の後、

レオノティス「元からお前にはできないと思っている。

俺がやるから気にするな。」

カイヤ「…きついので、説明しますね。このトラップ解除は、ダメージを受けます。

些細なダメージですが、数は多いので、危険と言えるでしょう。

…ですから…!」

無理して立ち上がるカイヤ。奥にある装置に向かっていく。

他の所にあった解除装置よりやたらしっかりした物だ。

カイヤ「この装置は、一気に他の所も解除できる奴です。

ですが、全ての解除装置で受けるはずだったダメージがここに集中します。

まず、死に至るダメージです。」

何をしようとしているんだ…自分が犠牲になってトラップを解除する気だとでもいうのか?

レオノティス「お前! それは!」

カイヤ「貴方方に殺されるぐらいなら、自害を選びます!」

シュロ「おい!」

止めようと言葉を紡ごうとするが、またもカイヤに阻まれる。

カイヤ「魔王様を…いえ、魔王を止めてください! 

今後、我々のように道具として利用される者が出ないように…!」

それは、何だ…まさか魔王はこいつらを捨て駒として…

そんな事を考えている間に、装置のスイッチを押す。

その瞬間、各所にあったトラップ解除による攻撃魔法がここ一点に集中。

カイヤ「ぐあっ!」

シュロ「カイヤ! 全ての罠を一気に喰らったら!!」

カイヤ「どのみち、殺すなら同じでしょう!? はは…早く行きなさい。

私の裏切りは魔王にすぐにバレます。ここにいたら貴方方が危険ですよ…

私に勝ったのに、死んでは意味も無いでしょう? …それに、死に様を見られたくないのです」

レオノティス「くっ……」

中々動こうとしない二人にしびれを切らしたのか…

カイヤ「ああもう…早くしてください!」

転移魔法を放ち、強制的にシュロとレオノティスを先ほど通ってきた右側通路まで飛ばす。

カイヤ「……貴方は…思い出してくれるんですかね…ジェイド…」

【…兄は…先に逝かせていただきますね………】


一方通路にはじき出されたシュロとレオノティス。

シュロ「あ、あいつ!」

戻ろうとするが、転移魔方陣は消えていて戻れない。

レオノティス「魔方陣探しも壁を壊そうとするのもやめろ!」

シュロの腕をつかんで制止する。

シュロ「じゃあ、あいつは……!」

レオノティス「行くぞ」

シュロ「レオ!!!」

あまりにもあっさり去ろうとするレオノティスについ突っかかってしまう。

だが…

レオノティス「……死鎌刃魂も逆刃十架も魔王に利用されているのは間違いないだろう。

…仇は討つ。…魔王と戦闘になったら、カイヤの分まで殴ってこよう…!」

シュロ「……っ…ああ!」

その後、ひたすら来た道を戻る。

追うは、おそらく先に進んでいるだろうシオン達のところ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...