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決戦
花と十字架の想い 77話
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シオン「……ジェイド?」
倒れていたジェイドが起き上がってくる。
ブローディア「ちょっと! 悪いけど倒されてよ!?」
ジェイド「…く、はは…俺は、とある一人の科学者に…
長い時を生きる魔族として造られた……」
シオン「!? お前、記憶が…!?」
ジェイド「だが結果として、長く魔族でいた者は自我を失う…
だよな。アイリス……!」
アイリス「待って、まさか…!!」
ジェイド「これは、自分の意志で止められるものじゃない…
多分、カイヤはそれを知っていた…それでも俺を化け物とは呼ばなかった…」
カイヤ「……僕は、貴方を化け物とは呼びませんよ」
ジェイド「俺は、化け物だ…逃げるなら、今の内だ…
ぐっ、ガアアアアアアア!」
ブローディア「!! 守護陣イクシオン!」
暴走なのか、物凄い勢いの衝撃波が来る。
なんとかブローディアの近くにいたおかげで守護陣で逃れる。
シオン「……あれ、は…!?」
目の前を飛ぶはドラゴン…それも、紫や青や灰色が混ざったような…
禍々しい色で…
シオン「……ジェイド、なのか!?」
???「愚かな事だ本当に…」
ジェイドの声じゃない。けど確かにドラゴンから発されていて…
ブローディア「誰よ!?」
カイム「私の名は、カイム。魔族を造った張本人だ……」
アイリス「貴方が…!?」
カイム「この魔獣を通して話しているだけで、こいつを倒しても私は殺せはしない…
この者は、兄のために魔族になる事を進んで受け入れたのだ。
兄を魔族にしないために、自らが魔族になる事で
隙を突いて研究所ごと破壊するつもりだったのだろう…
記憶が無くなる事も知らずにな……」
腐ってる…とはこういう奴の事を言うのだろうか……
シオン「…それに、今ジェイドの意志は?」
カイム「無い。ただ破壊の限りを尽くすぞ。
ここで討たない道を選ぶなら…世界丸ごと食らいつくす。
精々頑張る事だ…」
それを最後にとどろいたのはドラゴンの咆哮。
アイリス「シオン! これは駄目! 私達も戦うわ!」
ブローディア「もうあれはジェイドじゃない!」
シオン「………」
【どうか、化け物になる前に…彼らのままで、逝かせてあげて……】
シオン(クロッカスに頼まれたんだ。絶対に…)
「ジェイド! お前を化け物の姿で死なせはしない!
ブローディアとアイリスはいつも通り遠距離で!
俺は……!」
とは言っても、聖武器でやったらこいつには勝てないだろう。
よって、翼は使えない。
なら、衝撃波で斬る技を使えばいい!
ブローディア「シャープ! バリア!」
アイリス「レインスコール!」
ブローディアの補助魔法で攻撃力と防御力を上げた上で
アイリスの矢がドラゴンに降り注ぐ。
幸い、図体が大きいので外す事はまず無いだろう。
シオン「双裂波!」
地上から空中に切り裂いて攻撃する。
何とかそれなら届きそうだ。けど……
ブローディア「! 来る!」
地が揺れたんじゃないかと思うような咆哮が轟いた後、
ドラゴンのブレスが飛んで来る。
シオン「させるか…!」
剣を盾に構えて、ブレスをそのまま受け止める。
アイリス「シオン! 無茶しないで!」
ブレスの勢いは強い。押し切られて吹っ飛ばされる。
シオン「……っ…くっ……!」
流れ込んできた。攻撃を受けた時に…
過去が…
ジェイド「どちらかでいいんだな? だったら、俺が魔族になる。
兄さんは、叶えたい夢がある。潰させなりしない」
カイヤ「僕は、貴方を化け物とは呼びませんよ」
ジェイド「は? 何の事……大体初対面で何を…」
カイム「コールドスリープ明けで申し訳ないが…融合始めるぞ」
カイヤ「……はい」
マリン「私、ジェイド様が魔王になればいいと思います……」
ジェイド「俺が、王に?」
マリン「すごく強い魔獣も従えてるし…兵士の皆さんも、従うと思います」
カイヤ「ふっ…あははははははっ!」
ジェイド「カイヤ! 笑いすぎだ! 俺が王になるのが、そんなに変か?」
マリン「ジェイド様…熱が下がらなくて、心配です…」
カイヤ「あれほど魔獣バジリスクはやめろと忠告したのに、何で挑むんですか」
マリン「私、ジェイド様に叱られてばっかで…」
カイヤ「おかしいですね。私が貴方の事をジェイドから聞くと、
いつも貴方の事を褒めちぎっていたのですが?」
ジェイド「それ以上何も言うな! なぶり殺しにされたいか!?」
カイヤ「照れながら言われても、何も怖くありませんよ」
アメシス「シオンさん達と戦う前までには読んでください…」
ジェイド「……何が書いて……」
マリンを殺したのは魔王マーカサイト様です。
あのお方は、貴方方を捨て駒としか見ていない…
私はここから離れられませんが…貴方達は、逃げる気があったなら、逃げてください…
ジェイド「これは……!?」
シオン「ぐあっ…!」
その場に膝をつく。
ブローディア「ま、不味いよ、これ……! あーもう! アクアボルト!」
アイリス「プラチナチェッカー!」
その全てが命中する。若干怯むものの、致命傷には程遠い。
シオン「……駄目だ…このままじゃ……」
ドラゴンがこちらに向かって飛んで来る。このままだと三人とも…
その時…
シュロ「君達だけで背負おうとしないでくれ! メタルスコール!」
シュロの技が飛んできた。…シュロ? まさか……
レオノティス「俺達を忘れてもらっては困るな…! 業火翔弾!」
立て続けにレオノティスの銃弾が飛んできて、
ドラゴンの高さがかなり下がって近接も届くようになる。
その直後、シュロとレオノティスが姿を現す。
ブローディア「二人とも!」
リナリア「私もいるわ! 聖光一刀!」
シスル「諦める事は許さないからな…暗牙邪閃!」
リナリアとシスルの技がドラゴンを斬りつけた。
アイリス「リナリア、シスル……!」
アスター「魔王を討ちに行くんだろう! デスルーイン!」
フクシア「諦めないで! みんな一緒だから! アンジュロウ!」
フクシアとアスターの魔法が炸裂する。
シオン「……みんな……」
その時、ドラゴンの体が完全に地に落ちる。
「「「「「「「「シオン!!」」」」」」」」
全員がシオンに後を頼む。
シオン「…っ、これで、終わりだぁぁぁぁぁぁ!!!」
聖十華剣・ガイアリカーランスを構えて駆ける。
シオン「そのふざけた運命を断つ! 鳴月英界剣!」
その6連撃は地水火風、光と闇の全属性が使われていた。
その剣の前に、ドラゴンが光を発して崩れ去る。そこに残るは、ジェイドの姿。
シオン「………は、ぁ………」
ジェイド「ぐっ……俺は……」
シオン「…何だ、まだ生きてたのか、しぶといな」
とか言いながら、憎んでいる目ではなくて…
ああ、こいつ、俺の過去でも見たのか…
ジェイド「…シオン。これ、渡しておく」
渡されたのは一つの宝玉。
シオン「なんだこれ?」
ジェイド「聖武器の刀を巡ってアイスクレピウス山で戦った後、手に入れたものだ…
本当は、俺が持っているべきものじゃない。そうだろ、クロッカス」
その名前を聞いた時、宝玉が光って透過しているが、クロッカスが姿を現す。
シオン「嘘、だろ…夢、なのか?」
クロッカス「夢じゃないよ…あの日、ジェイドに拾われてから、色々な事を話したわ。
シオンを殺さないでって何度も説教した事もあるの。」
ああ、じゃあアイリスを助けに行ったあの時は…
ジェイド「うるさいな……黙ってろ」
クロッカスに言ってたのか…
クロッカス「魔族も、人間と同じだった。
戦いがない時は楽しそうで、喧嘩して、熱も出して…
シオンも見たんでしょ? 過去を…」
シオン「ああ…見た。だから、なんでだろうな。
今、君の姿を見れたのもあるけど、…憎いって感情は、あまりないんだ」
それがいいのか分からないけど…と続けると、
クロッカス「いいんだよ。私、シオンに私の事、割り切ってほしかったんだ。
青い空、見てほしかったから…。
あと、そのアイリスの花、ずっと大切にしてくれてありがと♪
私、今すっごく幸せだよ」
幸せ。その一言がとんでもなく救いだった…
シオン「お前、本当は俺達がマリンを殺してないって知ってたんだろ?」
ジェイド「まあ、な。戦うための口実にさせてもらっただけだ……」
呆れる。普通に決着をつけたいでも、いいだろうに…
ジェイド「……この先をずっと行けば、玉座の間に行ける。
……所詮俺達はーー」
風を切る音。
アイリス「何この音?」
また、風を切る音。
アスター「どんどん近付いて来てないか?」
フクシア「あれ!!」
奥の通路から一つの光…の、矢?
マーカサイト「英雄の子孫と裏切り者共々、役立たずは消えるが良い」
ジェイド「っ! どけっ!!!」
ジェイドの一番近くにいたシオンとアイリスが突き飛ばされる。
シオン「いって!?」
アイリス「な、なに…が……」
ジェイドの体を一つの矢が貫いている。浅くじゃない。かなり深く。
致命傷を与えたのを確認したのか、矢はひとりでに消えた。
ジェイド「カハッ……」
シオン「お前!? 何で…!?」
なんで、助けてくれたのか分からない。何で、どうして…
ジェイド「マリンも、これに貫かれたんだろうな…くそっ。
…俺達は、魔王にとっては捨て駒だ。
死んだら死んだで構わない。生きてたなら生きてたでもう少し頑張れ…
…裏切ったなら、即消す。魔王の肉体が戻るまでの…捨て駒だった…
って、さっき、気付いたんだけどな」
分かっている。殺しに来たのだ。これで良いんだ…
なのに……
シュロ「カイヤとやる事が似ているな。あいつも、僕達のために装置を作動させたんだ」
シュロはカイヤがやってくれた事をシオンたちに話した。
ジェイド「はは、最期の最期であいつとやる事が同じかよ…」
クロッカス「ジェイド……私、あなたに殺されたし、痛かったし、苦しかったけど…
話ができたのは、楽しかったよ」
自分が殺した相手にそう言われるのも変な気分で…
ジェイド「……シオン。頼みがある。アメシスを、解放しろ」
シオン「……最初から、そのつもりだ。な? アイリス」
アイリス「うん……」
それを聞くと、特に恨み言を言うわけでもなく、
仲間の救いが約束された事を安心したように息を引き取った。
シオン「……そうか。アメシス以外の幹部は全員倒したんだな」
ブローディア「……無事で良かった…うん。」
アイリス「シオン……」
アイリスが言いたい事は分かっていた。
シオン「魔王を討とう。忠誠を誓っていた部下を、捨て駒扱いするなんて…ふざけている。」
村の人とクロッカスの敵討ちのためにジェイドを追っていた自分が言うのも何だが、
でも…今は…
シオン(必ず、お前らの仇は討つ。)
過去を見て、そう思わない奴がいるだろうか。
人間と、何ら変わらなかった。でも魔王の指示で、魔王のために、ずっとーーー
カイムという奴の事も気になるが、それは後回しだ。今は、やる事がある。
さあ、行こう。残るは最終決戦だ。
倒れていたジェイドが起き上がってくる。
ブローディア「ちょっと! 悪いけど倒されてよ!?」
ジェイド「…く、はは…俺は、とある一人の科学者に…
長い時を生きる魔族として造られた……」
シオン「!? お前、記憶が…!?」
ジェイド「だが結果として、長く魔族でいた者は自我を失う…
だよな。アイリス……!」
アイリス「待って、まさか…!!」
ジェイド「これは、自分の意志で止められるものじゃない…
多分、カイヤはそれを知っていた…それでも俺を化け物とは呼ばなかった…」
カイヤ「……僕は、貴方を化け物とは呼びませんよ」
ジェイド「俺は、化け物だ…逃げるなら、今の内だ…
ぐっ、ガアアアアアアア!」
ブローディア「!! 守護陣イクシオン!」
暴走なのか、物凄い勢いの衝撃波が来る。
なんとかブローディアの近くにいたおかげで守護陣で逃れる。
シオン「……あれ、は…!?」
目の前を飛ぶはドラゴン…それも、紫や青や灰色が混ざったような…
禍々しい色で…
シオン「……ジェイド、なのか!?」
???「愚かな事だ本当に…」
ジェイドの声じゃない。けど確かにドラゴンから発されていて…
ブローディア「誰よ!?」
カイム「私の名は、カイム。魔族を造った張本人だ……」
アイリス「貴方が…!?」
カイム「この魔獣を通して話しているだけで、こいつを倒しても私は殺せはしない…
この者は、兄のために魔族になる事を進んで受け入れたのだ。
兄を魔族にしないために、自らが魔族になる事で
隙を突いて研究所ごと破壊するつもりだったのだろう…
記憶が無くなる事も知らずにな……」
腐ってる…とはこういう奴の事を言うのだろうか……
シオン「…それに、今ジェイドの意志は?」
カイム「無い。ただ破壊の限りを尽くすぞ。
ここで討たない道を選ぶなら…世界丸ごと食らいつくす。
精々頑張る事だ…」
それを最後にとどろいたのはドラゴンの咆哮。
アイリス「シオン! これは駄目! 私達も戦うわ!」
ブローディア「もうあれはジェイドじゃない!」
シオン「………」
【どうか、化け物になる前に…彼らのままで、逝かせてあげて……】
シオン(クロッカスに頼まれたんだ。絶対に…)
「ジェイド! お前を化け物の姿で死なせはしない!
ブローディアとアイリスはいつも通り遠距離で!
俺は……!」
とは言っても、聖武器でやったらこいつには勝てないだろう。
よって、翼は使えない。
なら、衝撃波で斬る技を使えばいい!
ブローディア「シャープ! バリア!」
アイリス「レインスコール!」
ブローディアの補助魔法で攻撃力と防御力を上げた上で
アイリスの矢がドラゴンに降り注ぐ。
幸い、図体が大きいので外す事はまず無いだろう。
シオン「双裂波!」
地上から空中に切り裂いて攻撃する。
何とかそれなら届きそうだ。けど……
ブローディア「! 来る!」
地が揺れたんじゃないかと思うような咆哮が轟いた後、
ドラゴンのブレスが飛んで来る。
シオン「させるか…!」
剣を盾に構えて、ブレスをそのまま受け止める。
アイリス「シオン! 無茶しないで!」
ブレスの勢いは強い。押し切られて吹っ飛ばされる。
シオン「……っ…くっ……!」
流れ込んできた。攻撃を受けた時に…
過去が…
ジェイド「どちらかでいいんだな? だったら、俺が魔族になる。
兄さんは、叶えたい夢がある。潰させなりしない」
カイヤ「僕は、貴方を化け物とは呼びませんよ」
ジェイド「は? 何の事……大体初対面で何を…」
カイム「コールドスリープ明けで申し訳ないが…融合始めるぞ」
カイヤ「……はい」
マリン「私、ジェイド様が魔王になればいいと思います……」
ジェイド「俺が、王に?」
マリン「すごく強い魔獣も従えてるし…兵士の皆さんも、従うと思います」
カイヤ「ふっ…あははははははっ!」
ジェイド「カイヤ! 笑いすぎだ! 俺が王になるのが、そんなに変か?」
マリン「ジェイド様…熱が下がらなくて、心配です…」
カイヤ「あれほど魔獣バジリスクはやめろと忠告したのに、何で挑むんですか」
マリン「私、ジェイド様に叱られてばっかで…」
カイヤ「おかしいですね。私が貴方の事をジェイドから聞くと、
いつも貴方の事を褒めちぎっていたのですが?」
ジェイド「それ以上何も言うな! なぶり殺しにされたいか!?」
カイヤ「照れながら言われても、何も怖くありませんよ」
アメシス「シオンさん達と戦う前までには読んでください…」
ジェイド「……何が書いて……」
マリンを殺したのは魔王マーカサイト様です。
あのお方は、貴方方を捨て駒としか見ていない…
私はここから離れられませんが…貴方達は、逃げる気があったなら、逃げてください…
ジェイド「これは……!?」
シオン「ぐあっ…!」
その場に膝をつく。
ブローディア「ま、不味いよ、これ……! あーもう! アクアボルト!」
アイリス「プラチナチェッカー!」
その全てが命中する。若干怯むものの、致命傷には程遠い。
シオン「……駄目だ…このままじゃ……」
ドラゴンがこちらに向かって飛んで来る。このままだと三人とも…
その時…
シュロ「君達だけで背負おうとしないでくれ! メタルスコール!」
シュロの技が飛んできた。…シュロ? まさか……
レオノティス「俺達を忘れてもらっては困るな…! 業火翔弾!」
立て続けにレオノティスの銃弾が飛んできて、
ドラゴンの高さがかなり下がって近接も届くようになる。
その直後、シュロとレオノティスが姿を現す。
ブローディア「二人とも!」
リナリア「私もいるわ! 聖光一刀!」
シスル「諦める事は許さないからな…暗牙邪閃!」
リナリアとシスルの技がドラゴンを斬りつけた。
アイリス「リナリア、シスル……!」
アスター「魔王を討ちに行くんだろう! デスルーイン!」
フクシア「諦めないで! みんな一緒だから! アンジュロウ!」
フクシアとアスターの魔法が炸裂する。
シオン「……みんな……」
その時、ドラゴンの体が完全に地に落ちる。
「「「「「「「「シオン!!」」」」」」」」
全員がシオンに後を頼む。
シオン「…っ、これで、終わりだぁぁぁぁぁぁ!!!」
聖十華剣・ガイアリカーランスを構えて駆ける。
シオン「そのふざけた運命を断つ! 鳴月英界剣!」
その6連撃は地水火風、光と闇の全属性が使われていた。
その剣の前に、ドラゴンが光を発して崩れ去る。そこに残るは、ジェイドの姿。
シオン「………は、ぁ………」
ジェイド「ぐっ……俺は……」
シオン「…何だ、まだ生きてたのか、しぶといな」
とか言いながら、憎んでいる目ではなくて…
ああ、こいつ、俺の過去でも見たのか…
ジェイド「…シオン。これ、渡しておく」
渡されたのは一つの宝玉。
シオン「なんだこれ?」
ジェイド「聖武器の刀を巡ってアイスクレピウス山で戦った後、手に入れたものだ…
本当は、俺が持っているべきものじゃない。そうだろ、クロッカス」
その名前を聞いた時、宝玉が光って透過しているが、クロッカスが姿を現す。
シオン「嘘、だろ…夢、なのか?」
クロッカス「夢じゃないよ…あの日、ジェイドに拾われてから、色々な事を話したわ。
シオンを殺さないでって何度も説教した事もあるの。」
ああ、じゃあアイリスを助けに行ったあの時は…
ジェイド「うるさいな……黙ってろ」
クロッカスに言ってたのか…
クロッカス「魔族も、人間と同じだった。
戦いがない時は楽しそうで、喧嘩して、熱も出して…
シオンも見たんでしょ? 過去を…」
シオン「ああ…見た。だから、なんでだろうな。
今、君の姿を見れたのもあるけど、…憎いって感情は、あまりないんだ」
それがいいのか分からないけど…と続けると、
クロッカス「いいんだよ。私、シオンに私の事、割り切ってほしかったんだ。
青い空、見てほしかったから…。
あと、そのアイリスの花、ずっと大切にしてくれてありがと♪
私、今すっごく幸せだよ」
幸せ。その一言がとんでもなく救いだった…
シオン「お前、本当は俺達がマリンを殺してないって知ってたんだろ?」
ジェイド「まあ、な。戦うための口実にさせてもらっただけだ……」
呆れる。普通に決着をつけたいでも、いいだろうに…
ジェイド「……この先をずっと行けば、玉座の間に行ける。
……所詮俺達はーー」
風を切る音。
アイリス「何この音?」
また、風を切る音。
アスター「どんどん近付いて来てないか?」
フクシア「あれ!!」
奥の通路から一つの光…の、矢?
マーカサイト「英雄の子孫と裏切り者共々、役立たずは消えるが良い」
ジェイド「っ! どけっ!!!」
ジェイドの一番近くにいたシオンとアイリスが突き飛ばされる。
シオン「いって!?」
アイリス「な、なに…が……」
ジェイドの体を一つの矢が貫いている。浅くじゃない。かなり深く。
致命傷を与えたのを確認したのか、矢はひとりでに消えた。
ジェイド「カハッ……」
シオン「お前!? 何で…!?」
なんで、助けてくれたのか分からない。何で、どうして…
ジェイド「マリンも、これに貫かれたんだろうな…くそっ。
…俺達は、魔王にとっては捨て駒だ。
死んだら死んだで構わない。生きてたなら生きてたでもう少し頑張れ…
…裏切ったなら、即消す。魔王の肉体が戻るまでの…捨て駒だった…
って、さっき、気付いたんだけどな」
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なのに……
シュロ「カイヤとやる事が似ているな。あいつも、僕達のために装置を作動させたんだ」
シュロはカイヤがやってくれた事をシオンたちに話した。
ジェイド「はは、最期の最期であいつとやる事が同じかよ…」
クロッカス「ジェイド……私、あなたに殺されたし、痛かったし、苦しかったけど…
話ができたのは、楽しかったよ」
自分が殺した相手にそう言われるのも変な気分で…
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シオン「……最初から、そのつもりだ。な? アイリス」
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それを聞くと、特に恨み言を言うわけでもなく、
仲間の救いが約束された事を安心したように息を引き取った。
シオン「……そうか。アメシス以外の幹部は全員倒したんだな」
ブローディア「……無事で良かった…うん。」
アイリス「シオン……」
アイリスが言いたい事は分かっていた。
シオン「魔王を討とう。忠誠を誓っていた部下を、捨て駒扱いするなんて…ふざけている。」
村の人とクロッカスの敵討ちのためにジェイドを追っていた自分が言うのも何だが、
でも…今は…
シオン(必ず、お前らの仇は討つ。)
過去を見て、そう思わない奴がいるだろうか。
人間と、何ら変わらなかった。でも魔王の指示で、魔王のために、ずっとーーー
カイムという奴の事も気になるが、それは後回しだ。今は、やる事がある。
さあ、行こう。残るは最終決戦だ。
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