月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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出会い

~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 2話

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それから一月後ほど経った日、またいつものように勉強会をしていたら、

その途中で、ゼファが妙な事を言い出した。

ゼファ「よーし、明日から自分の足で各地を回って、問題を自力で解決していこう!」

………ん??? んん???

現在、各地で問題が山積みらしい。

兵士の力で何とか繋いでいるが、限界があるとか。

グラファイト「え……王様から許可は…?」

王様から許可さえ下りていなければ、止められる。

けど、その希望はあっさりと砕かれて…

フロスティ「もちろん、もらっているぞ」

駄目だった。王様…いいんですか。

というよりも…

グラファイト「……え? もしかして、姫様も一緒…???」

フロスティ「うむ。」

ゼファ「そうそう、それでさ。父上がグラファイトも連れて行ってあげてくれって」

グラファイト「僕も!? …ま、まあいいけどさ」

元より自分は二人の護衛も兼ねている。断る理由はない。

というより断れない。

フロスティ「兄よ。セピアはどうするのじゃ?」

ゼファ「彼女も連れて行くよ。とことん振り回して棘を抜かないと!」

この前舞踏会で知り合ったばかりなのに…しかもかなり威嚇されたのに。

グラファイト「いつ蹴り飛ばされても知らないからな…」

ゼファ「そうならないためにだよ! ほら、グラファイト、セピアに会いに行こー!」

グラファイト「ち、ちょっ…まだ勉強の時間終わってない!!」

ゼファ達に引っ張られる形でセピアのもとを訪ねることになってしまった。


たまたま城のすぐ外を歩いていたセピアと出くわす。

ゼファ「セピア! いいところに! 君に話があるんだ!」

セピア「………何ですの、今日は」

フロスティ「明日から兄の行動が変わる。セピアにも手伝ってほしいのじゃ」

何のことか分からないが、話があるのだから付いて行くことに。

どこにって? 城下町にあるカレー屋さん。

本来王族貴族は来ないはずの店。

ゼファ「いつものカレー頼むよ!」

「いやあ、王子様に贔屓にしてもらえると嬉しいもので!」

セピア「……贔屓…?」

グラファイト「ゼファ…様は、ここの常連みたいなものだよ。」

王子なのに……。

フロスティ「兄が頼むカレーは気を付けるが良い」

???

セピア「それより、話って何ですの?」

カレーができるまでの間、セピアはゼファに話を聞いた。

ゼファ「ああ、実はね…

僕は明日から、父上の許可ももらって、各国の問題に自ら赴く事になったんだ!」

セピア「………はあ?」

王子がそんな事をするなんて異例だろう。

ゼファ「それで、フロスティとグラファイトも付いて来るんだけど、

セピアも連れて行こうと思ってさ!」

フロスティ「貴族じゃろう。世界の事を見ておくのはいいと思うぞ」

グラファイト「何かあったら僕も戦えるし…いや、本当にごめん。王子の行動に付き合わせて」

なんか申し訳ないなぁ、とは思ったのだが。

セピア「はあ…まあいいですわ。ワタクシの両親もその辺りは緩いですし。

退屈なので付き合いますわ。後、戦いに関してはお気になさらず。」

そう言うと、杖をつりだした。

セピア「ワタクシ、魔法は得意ですわ。

その上特殊属性の血属性持ちですの」

特殊属性は、並の人には持てない属性だ。

それを持っているなら、魔力は結構高い。

フロスティ「特殊属性持ちか。それなら頼りになりそうじゃな」

グラファイト「フロスティ様も同じような物でしょう」

ゼファ「そうだね。フロスティは星属性。特殊属性だ。

ちなみにグラファイトは水属性、僕は無属性だよ」

この中だとフロスティとセピアの魔力の方が高い。

ゼファは無属性。真価を引き出せない人間では無属性はそこまで強くない。

けど、ゼファは実力と根性で、特殊属性と並べるまで強くなったのだ。

ゼファ「あ、カレーできたみたいだよ!」

フロスティ「…セピアは平気な口かのう…」

セピア「さっきから何の……!!!???」

セピアが食べたカレー。見事に辛いのだ。

セピア「え、う…か、辛い!?」

グラファイト「あ、無理か…」

ゼファ「僕とフロスティとグラファイトは平気なんだけど…

セピアは苦手かぁ、あはははっ!」

セピア「っな、何を言いますの! これぐらい平気ですわ!」

元からプライドが高かったセピアは、負けじと苦い顔しながら食べ続ける。

フロスティ「む、無理しなくてもいいんじゃぞ…」

セピア「ケホッ…うううう…カレーぐらいカレーぐらい平気ですわぁ…!」

「あっはは…セピア嬢には今後、甘口でも作りましょうか?」

グラファイト「そうしてあげてください…」


そして翌日、準備をしてセピアと合流。

セピア「今日はどちらへ向かうんですの?」

ゼファ「鉱石洞っていう場所がある、鉱石で生計を立てる人が多い村だよ。

そこに魔物が住みついたらしくて、鉱石が取れなくて困ってるんだって」

ようはそこの魔物の討伐が任務。

つくづく、王子、姫、貴族の娘に護衛一人。という…

変なパーティだ。

グラファイト「その村には騎士の家系の名家があるらしいよ。

一人娘がいるって話。もしかしたら会えるかもね」

セピア「…その子にもワタクシみたいに絡まないでくださいな」

フロスティ「兄は気にしないからのぅ…」


そんなに遠い村ではないので、比較的早い時間に村には着いた。

ゼファ「さーてと、聞き込み開始だね。」

「あの…貴方方は…」

さっそく声をかけてきた。恐らく村人だろう。

フロスティ「我らはここの魔物を討伐しに来た。」

ゼファ「僕はゼファ・セイル・クレセディア。妹のフロスティ・セイル・クレセディアに、

ロージェバード家の令嬢セピア。護衛のグラファイト・リカス」

一通り名前を教えると、やはり面食らったようだ。

「お、王子様と姫様!? それにロージェバード伯爵の娘さんまで!?」

セピア「ワタクシ達は国王に頼まれてきましたの。気にしなくていいですわ」

グラファイト「結構実力者揃いなので、何とかなるでしょう。

僕も、彼らを守りますので。これでも医学の心得はあります」

あまりにもきっぱり言い切るので、心配する方が馬鹿らしくなってくる。

「え、えーと…では、お願いします…

問題の魔物は鉱山の最奥。私達では太刀打ちできなくて…」

確かここには以前も兵士が来ていたはず。でも勝てなかったとか。

ゼファ「なるほどね。わかったよ。ちゃちゃっと倒して戻ってくる」

「あ、あの…所々、魔物の影響か蒸気が噴き出す穴ができています。

そこに落ちたら一たまりもありませんので…気を付けてください」

フロスティ「了解じゃ」

セピア「はあ…重労働そうですわね」

ゼファ「じゃあ行こうか。待っててください」

そう言って、ゼファ達は鉱石洞へ向かっていった。


「……ゼファ様達なら、彼女を助けられるだろうか…

彼女も、あのままではもたない…いくら騎士の家系とはいえ…

ろくに回復もせず、もう二日も鉱石洞の中だぞ…」

「……きっと、助けてくださいます。

信じましょう、ゼファ様達を」
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