月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 8話

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バロックが心配だという事で、プリムローズも城まで同行していた。

「…分かった。彼の事はこちらで何とか生きれるようにしよう」

プリムローズ「あ、ありがとうございます!」

後ろの方で待機していたバロックに声をかける。

プリムローズ「どうか、もうあんな無理しないでね。

……君の両親の仇は、私が探してあげる」

バロック「何で、ここまで気にしてくれる?」

プリムローズ「……放っておけないからだよ」

そこでゼファも口を開く。

ゼファ「プリムローズ、最近出てきた魔物について、何か知ってる事はある?」

プリムローズ「まず、あれは普通の魔物じゃないね。

最近急に出てきた魔物で、神獣に近いんだけど、禍々しさがある。

悪神獣っていうところかな」

フロスティ「今のところは我らだけでも対処できるが、

戦いに不慣れの人や、そこいらの一般兵や傭兵ぐらいでは勝てぬ」

…それでもこの城だけでもう二件も任務があった。

多くの犠牲者が出てしまうのも時間の問題かもしれない。

「…また、お前達に頼む事があるかもしれん。その時は頼まれてくれるか?」

ゼファ「もちろんだよ」

プリムローズ「……あの、国王様! 差し出がましいのですが、

私を、ゼファ様の護衛に付けてくれませんか?」

それはゼファが頼もうとしていた事だった。

プリムローズ「ギルドではそんな情報は入ってこなかった。

でも、この城には既に二件も情報が来ています。」

フロスティ「プリムローズの弟、バロックの両親はその類の魔物に殺されたらしいのじゃ。

だから、敵討ちがしたいと…」

少し悩んだ後に、

「君はハンターって職をやってるって聞いた。

…実力もあるようだ。君がそれでいいなら、頼めるか?」

プリムローズ「はい! ありがとうございます!」


こうしてプリムローズが護衛メンバーに加わったわけだが…

サラテリ「ねえねえ、何か正式に役職名とかつけない?」

グラファイト「護衛じゃ駄目なの」

プリムローズ「ださい!!」

女の子ってそういうところ気にするよなぁ。

ゼファ「世界の悪を零にする王子の護衛…」

なんだそのカッコつけは。

ゼファ「零士…とかどうかな? 騎士だとありきたりだし」

セピア「ワタクシは関係ないですから、何でも良いですわよ」

サラテリ「あたしはそれでもいいよ! 三零士?」

プリムローズ「個々の呼び方も決めたいね。色が元とかは? 私は黄零士。」

となると……

サラテリ「あたしは白零士だね!」

グラファイト「…僕は黒零士?」

色がまんまである。

ゼファ「うん、それでいいかもね!」

フロスティ「兄…所有属性でもいいと思うのじゃが…」

ゼファ「駄目だ。これはもう決定事項だ!」

セピア「どうして、そこにこだわっているんですの」

この時に初めて零士という役名が付いた。

セピアはあくまで友達という立ち位置。

意図せず護衛になっている気もするが。

ゼファ「さてと、少し城下に出てこようかな」

フロスティ「我も行く。」

グラファイト「…僕が付いて行く。みんなはもう休んで」


グラファイトを護衛に付けて城下町へ出た。

グラファイト「で、何をしに行くんですか?」

ゼファ「情報収集だよ! 後は、街の人達の暮らしもちゃんと見ておかないと!」

ゼファはそういうところがあるのだ。

街で苦しんでいる人がいないかどうか、

できることは何かないのか、調べに行くのはいつもの事だ。

フロスティ「あっ、兄! 花が売ってるが、サラテリとプリムローズに買って行かぬか?」

ゼファ「ほんとだ。そうだね、買って……」

売っている人がやたら美人だ。

グラファイト「……ゼファ様?」

フロスティ「……まさか…ひとめぼれ!?」

いやいやいや、王族だから結婚するとしたら誰か決められるような感じで…

いや、まだだから恋をするぐらいは勝手だが…。

ゼファ「そ、そんなんじゃないよ! ただ、綺麗な人だなぁ…って。」

グラファイト「……」

(………あれは…違うな)

グラファイト自身、怪しいとは思っていたが、

もうゼファが買いに歩いてしまっていたので、言うのが遅れた。


「いらっしゃいませー!」

ゼファ「あ、えっと…白い花と黄色い花で花束作ってもらえますか?

あ、あと藍色の花も!」

「あれ? ゼファ様じゃないですかー。王子様に来ていただけるなんて光栄ですー」

そこまで言って後ろから追って来たフロスティとグラファイトに気付く。

フロスティ「兄! なにをデレデレしておる」

グラファイト「花屋さん。…僕の目は誤魔化せませんからね?」

ゼファ「え、え、何の話!?」

グラファイトの目を見た花屋の女性はため息をつくなり、

「あー…ゼファ様の護衛に勘の鋭い方がいるって聞いてはいましたけど…

あなたの前で隠し事は駄目ですね」

ずいっと近付いて耳打ちする。

「内緒にしてくださいね? ……俺は男だ」

ゼファ「ぶっ!?」

フロスティ「あーあー……黒歴史追加じゃなぁ…」

ゼファ「な、何でそんな紛らわしい格好と話し方を!?」

「俺、この見た目だから、美貌を利用して客を引かないと勿体ないだろ?」

中性的な見た目なので、女装して口調を変えて、

声色を変えれば男性と思えないのだ。

グラファイト「まあ、今言った花を頼みます。

…ゼファ様。」

ゼファ「え、ああ、うん……」

(一生の不覚だ……!!)

「ごめんなさいね、ゼファ様♪」

すぐにまたいつもの口調に戻った。

ややこしい。というか、この言い方だと、ゼファが自分に惚れたのは気付いているのか。


その後、色々聞いて回ったが、

何人かのお手伝いをしただけで、悪神獣についての情報は城下町ではなかった。

ゼファ「あー、収穫なしかぁ」

フロスティ「王子が使いパシリのような仕事をしていた剣について」

グラファイト「手伝っていた姫様も同じですよ」

ゼファの部屋まで三人で戻って来て、休憩。

フロスティ「ん? 机の上に何かあるぞ」

ゼファ「え? ほんとだ。……封筒にハートのシール…?」

…………

ゼファ「ま、ま、まさかラブレターとかそんな…ね!?

し、しかも部屋にあるんだったら、差出人は城の中の誰か!?」

フロスティ「使用人の誰かか…!?」

グラファイト「誰宛てなのか書いてないの?」

封筒には書いてない。中に書いてあるかもしれないが…

ゼファ「え、え、ど、どうしよう…!?」

フロスティ「ドギマギしすぎじゃ」

仕方ないから、開けてみる。

中身の便箋。冒頭。


「グラファイト様へ」


……………

グラファイト「僕!?」

ゼファ「な、なんでグラファイト宛てのが僕の部屋にあるんだよ!?」

フロスティ「誰かがパニックになって部屋を間違えたのか…

渡す勇気が無くて、兄に渡してもらおうと思ったのか。」

ええええ…

グラファイト「封筒に宛名を書いてない所を見ると、焦った感じもするよね」

フロスティ「グラファイト……モテるの」

ゼファ「何で…;;;」

今日はゼファの恋愛事情がグッダグダだ。

ゼファ「今日、厄日なのかなぁ…」

フロスティ「働きすぎだから、休めという暗示ではないのか?」

グラファイト「だからそれは姫様もだって。

…でもこれ…誰からなのか分からないし…どうしよう」

フロスティ「そう思ってくれている人がいるって事だけわかってればいいのじゃ。

差出人を書かないというのは、恋人になりたいというより、

好きでいる人がいるって事を知っておいてくださいって意味だと思うしの」

………

ゼファ「働きすぎかぁ……父上に交渉して、みんなで旅行にでも行こうか?」

フロスティ「それはいいの。サラテリ達にも伝えておこう」

グラファイト「はあ……また面倒ごとに巻き込まれなければいいけど…」

その旅行先で、また新たな出会いがある事は、

この頃はまだ知る由もなかった。
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