月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
16 / 30
出会い

~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 16話

しおりを挟む
南方の平原。

そこが悪神獣の目撃場所。

プリムローズ「っ……」

セピア「プリムローズ。落ち着いて。…一人で突っ走らないで」

プリムローズ「すぅ…はぁ……わかってる」

口ではそう言うが、やっぱり口数が少ない事も考えると…

グラファイト「……相当、気が立ってるね…」

サラテリ「あたし達でサポートしないと…」

フロスティ「仇がいるんじゃ。こうなるのも仕方がないが…」

……死さえ、恐れていない、ような…。

エピナール「死さえ恐れないのは、ゼファ様も大概ですけどね」

ゼファ「僕!?」

エルブ「ほんとですよ…インフェヌムさんの時は焦りました…」

ゼルシェード「まったくだ」

胡散臭い。

オペラ「…緊張感が;;;」

ゼファ「変に緊張しすぎるよりはいいと思わない?

プリムローズが緊張しすぎだしね」


プリムローズ「………ゼファ、来る!!」

プリムローズの声でハッとする。物音…。

こちらに駆けてくる足音がする。

オペラ「癒しの道を辿れ…ロードヒール!」

ゼファ「オペラ、今のは…」

オペラ「持続回復ってものです。相手の一撃が大きい時は、役に立つかと」

大助かりだ。少し距離を取れば勝手に回復されるのはありがたい。

姿を現したのは話通り、二角獣。そして、その背には…

セピア「剣と矢……間違いありませんわね」

エピナール「これは…魔物で言うなら、バイコーンの類でしょうか」

角が二つあるから、そうだろう。

エルブ「ただの魔物と間違って、挑んでしまったら被害が増えます! ここで倒しましょう!」

皆が構えた時、誰よりも早くプリムローズが斬りかかってしまった。

サラテリ「ちょっ、プリムローズ!!!」

フロスティ「無茶じゃ!」

プリムローズ「迅雷双覇!!」

物凄い速度で魔力を展開させて刃を展開させる。

プリムローズ「感電せよ…スパークゼロ!!」

一気に畳みかけるが、悪神獣だって黙っていない。

武器の突き刺さった体で、プリムローズに攻撃してくる。

プリムローズ「ぐっ!…!」

ゼファ「プリムローズ! 無理しないでくれ!」

グラファイト「何してるんだよ、まったく!」

咄嗟にプリムローズの周りに駆け寄るが、聞こえていないよう。

プリムローズ「バロック君の両親の仇…

私の弟の仇…!」

フロスティ「プリムローズ!」

セピア「落ち着いて!?」

サラテリ「っ! 輝く光線…ブリリアレイ!」

そうこうしている間に、攻撃が起草だったので、サラテリが対応する。

プリムローズ「この…!!」

ゼファ「あっ!!」

セピア「もう!!」

プリムローズに続いてゼファとセピアも動く。

ゼファ「連絶剣!!」

セピア「内なる血を爆発させん…ブラッドバーン!!」

とにかく、プリムローズに負担が集中しないよう、できる限りフォローに入る。

だが…それにも限界がある。


ゼルシェード「……ゼファ! お前達も! いったんそいつから離れろ!」

ゼファ「え? …こいつの足元…!」

何か瘴気のようなものが出ている…。

まさか……これが病にするもの!?

セピア「間に合わない…!?」

プリムローズ「っ、はあっ!」

こうなってもプリムローズは避けようともしなかったからその瘴気をまともに喰らう。

ゼファとセピアも避けるのが間に合わず喰らってしまった。

あげく、動けないところを吹っ飛ばされた。

サラテリ「うわっ、セピア!!」

エピナール「プリムローズさん!?」

エルブ「ゼファ様!」

ゼファ「っ…参ったな…思ったより強い、かも…」

何か様子が……

フロスティ「まずい…全員毒を喰らっておる。」

さっきの霧のせいだ。

オペラ「私なら、治せると思うけど…でも」

ゼルシェード「その間、時間稼ぎがいるな…」

………

グラファイト「…オペラ。ゼファ様達を頼むよ。」

オペラ「は、はい! 浄化の雨よ…リキュアレート!」

グラファイト「ゼルシェード様…みんなの事、守護ぐらいはできる?」

ゼルシェード「できるが……どうする気だ?」

鎌を握って、一人悪神獣の前に立つ。

グラファイト「あんたの霧で病に伏して、死んだ人が…どれだけいると思ってる。

今だって、ゼファ達に…」

そこまで言って鎌を手に持ち直す。

フロスティ「…グラファイトは、城では人々の治療もしていた。

頻繁に教会には通うし、病で苦しむ人を放っておけず、

城下の人々の所にまで行った事もある。その上金をとらない。

…頼りになる神官のような立場じゃ」

だからこそ、病を振り撒くこの悪神獣が…。

そのせいで死んだ人がいるかもしれない事実が…。

グラファイトには許せなかった。

グラファイト「あんた自身は…病に伏せった事なんてないんだろうね。

…同じ苦しみ、味わえよ!」

グラファイトの意志に、応えた何か。

ゼルシェード「覚醒したか…」

ゼファ「え?」

次の瞬間、それは発動した。

グラファイト「苦しむ獣パーティ・ベスティア!」

グラファイトが放ったそれ。

そう、散々ゼニス達が苦しめられた能力スキル

それが発現した瞬間が、この時だった。

グラファイトの能力スキルを喰らった悪神獣は、

ゼファ達と同じ毒の効果を受けて、その場で苦しみ出した。

グラファイト「悪神獣といえど、毒はやっぱり応えるんだな!」

オペラ「グラファイト! 回復、終わりました!」

プリムローズ「っ! みんな、私に行かせて…!」

エピナール「プリムローズさん…!! あなたは…」

プリムローズ「平気、ごめん。もうあんな後先考えないやり方しない。

でも、私がやらないと…っ」

それを黙って見ている事もできなくて、ゼファとフロスティも立ち上がる。

ゼファ「僕とフロスティで特攻しよう。

エピナールとエルブ、援護頼めるかい?」

エピナール・エルブ「はい!」

エピナールとエルブも立ち上がり、魔法を撃つ構えに入る。

ゼファ「…うん、グラファイト! そこを避けて!」

ゼファがそう言うと同時に、二人が魔法を放つ。

エピナール「悪で凍らせ…ディストフローズ!」

エルブ「氷の刃…アイシクル!」

毒で動きが鈍った悪神獣に命中させるのは容易くて、

二人の魔法は命中。

フロスティ「星閃舞!」

フロスティが一撃かます。

ゼファ「……」


ゼルシェード『代わりに、一つ属性を増やしてやろう。

万等属性。本来奥義として使うのが限界だが、

俺の力を少し宿せば一般的な技としても使えるだろう』


ゼファ(今、試してみようかな…)

「…歩みを止めろ…フィニスアクト!」

万等属性の魔法が放たれた。

ゼファ「やった!」

ゼルシェード「…使えたか。…ゼファ! 斬り込め!」

ゼルシェードの声に弾かれるように、その足を踏み込む。

ゼファ「瞬絶黎絶!!」

ゼファも一撃斬りつけ

ゼファ「プリムローズ! トドメは君が!」

プリムローズ「……うん!」

プリムローズも悪神獣の前に立った。

プリムローズ「…私は目の前の敵を倒す。それだけの力を今振り絞る。

…バロック君の両親と、私の弟の仇よ!」

この時、プリムローズの意志にもそれは応えた。

セピア「!! プリムローズも…!」

サラテリ「うっそ!?」

プリムローズ「殺戮の悪魔ベルム・ディアボリ!」

そう叫んだ途端、プリムローズの全体的な能力が一気に底上げされた。

エピナール「今のは…」

オペラ「魔力が…急に…」

プリムローズ「はああっ!! 雷破殺環!! 迅雷双覇!!」

エルブ「速い!!」

動きも底上げされている。

ゼルシェード「…ふっ、まさか、二人も覚醒するとはな…」

プリムローズ「っ、魔雷裂傷!!」

プリムローズが悪神獣に放った最後の一撃が、トドメになった。

それを喰らったが最後、悪神獣は消滅した。


プリムローズ「はあ…はあ…。……っ」

気が抜けたのか、その場にしゃがみ込む。

ゼファ「プリムローズ! 大丈夫!?」

プリムローズ「うん…ちょっと、疲れちゃったぁ…」

フロスティ「…グラファイトも平気か?」

グラファイト「僕は平気。一番消耗したのはプリムローズだし」

確かに、一番くたびれているのはプリムローズだ。

オペラ「皆さん、怪我は?」

セピア「平気ですわ」

エピナール「今日は一度城に戻りましょう。全員疲れているでしょうから」

エルブ「そうですね…」

ゼファ「オペラ、全員分の毒の治療、ありがとう。

…魔力の消耗、酷かったんじゃ?」

オペラ「いいえ。ゼファ様達が全員無事で、良かったです」

毒に関しては、オペラのおかげでどうにかなった。

つくづく、大助かりだ。

グラファイト「そう言えば、さっきのは…」

ゼルシェード「以前話しただろう」

以前…。


ゼルシェード『能力スキル。それは意志に応えてくれる力だ。

他者に与えられるものではない。あくまで自分の中の決意が強くなった時、自然と与えられ、

同時にその名も使い方も効果も分かるだろう』


サラテリ「あれが、能力スキル…」

セピア「グラファイトとプリムローズの決意に応えた、という事ですのね」

ゼルシェード「そうなる。まさか二人も覚醒して、

ゼファも万等属性の魔法が普通に使えた。

残りの奴らの覚醒も、そう遠くないかもしれんな」

何はともあれ、物凄い力だ。

ゼルシェードと会えなかったら、これさえ分からなかったのだろう。

ゼファ「じゃあ、城に戻ろうか!」

プリムローズ「…仇は、とったよ…」


城下に戻り、ゼファ達は城へそのまま報告に向かったが、

プリムローズは先にバロックの所へ寄った。

バロック「プリムローズ……」

プリムローズ「バロック君、仇、とって来たよ!」

その報告を聞くなり、バロックの顔が笑顔になった。

バロック「……っ、ありがとう、仇、とってくれて…!

あと、生きて帰って来てくれて、ありがと、な…!」

プリムローズ「約束したから! …ただいま! 

黄零士プリムローズ、約束果たして帰還しました!」

恐らくプリムローズもバロックも、大切なものを失ってからの間で、

この日、今が一番の笑顔だったかもしれない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...