月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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悲壮は音無く近付く

~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 22話

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ゼファ「よし、ここでの任務も終わりだね」

フェズ「ほんっとに、自分で動く王だよな…」

サラテリ「ねー? 今お城に王族不在って事だよ?」

国王になっても、ゼファのやる事は変わらない。

悪神獣の一件にも、その他、世界のための行動も、全部自ら動いていた。

とはいえ、最近は目立つ暗殺行為もなく、

ゼファの活躍で負が減って来たのか、悪神獣の数も強さも減っていた。

エルブ「でも、比較的平和ですね」

エピナール「今までの事を考えたら確かに」

セピア「ワタクシ達はゼッ君と関わった日から結構平和に暮らしていますわ」

そう言ってもらえると嬉しいが…。

プリムローズ「私も不自由ないし、仇も取れたし」

グラファイト「僕に関しては今さらだしね。ゼファと冒険してるのも何だかんだ楽しいし」

フロスティ「そうそう、息抜きできるときにのんびりするのが一番じゃ」

ゼルシェード「いつ、休む暇がなくなるか分からないからな。

こういう時間は大事にしろ」

父が殺された事で、あまりにも危険と言う事もあり、

オペラは自分達が任務をしている間は、城で兵士たちに守ってもらうようになった。

だから、今日も着いて来ていない。


ゼファ「そういえば、ゼルシェード。神の力を持った化け物…

我の父上を殺した奴。あれについて、何か分かったかい?」

フェズ「そーいや、なんか調べるって言ってたよな。」

ゼルシェード「ああ……」

………

ゼルシェード「一人…だけ…思い当たる節があるんだ」

サラテリ「誰誰?」

ゼルシェード「…神になるには、魔力の高さと、

世界を管理し支えるだけの器であることを認められなければなれない。」

プリムローズ「…つまり、もともと人間って事?」

そうだ。と短く答えた。

ゼルシェード「ある奴が…人間の時に神に憧れた。

そして、神になるために、自分を偽り慈善行為ばかりをしていたんだ。

そのせいですっかり神の地は騙され、そいつを神の一員にした。」

グラファイト「それ、不味くない?」

ゼルシェード「実際まずかった。

神になった途端にそいつは、神の身で人間は殺すし、

人同士の争いが見たいという理由で争いの火種を振り撒くし、

あまりに禁忌が目に余るから、俺は神の座を剥奪。

神の地を強制的に追放した。」

エピナール「じゃあ、今、この世界のどこかにいるのですか?」

追放されて、生きているという事ならば、そうなるだろう。

ゼルシェード「……神の禁忌を犯した者は、翼の色が淀む。

服も暗い色に染まる。髪も、時間が経つと真っ黒だ。

そこでだ…覚えているか? エピナールが仕留め損ねたという暗殺者」


エピナール『逃がしましたか。すみません。

ゼファ様を暗殺しようとした何者かがいましたので…』

ゼファ『ありがとう。どこから…』

エピナール『窓の外です。ですが、そこに人が立てる場所なんて無いですよね?』


ゼルシェード『この通り、神は翼を持っている。が、

夜にこんな翼、目立つ事この上ない。

髪は全体的に白っぽい姿をしているし、暗殺には向かない。』


…まさか、その時の襲撃者は…

エピナール「元、神だったと!?」

エルブ「え、え、どうして…神様が陛下を!?」

ゼルシェード「あいつは、神の頂点に立ちたがっていた。

その座には俺がいた。だが…俺には及ばない奴でな。

さらに今は地位の剥奪。俺との差はさらに開いた。

……俺が狙いか、俺の力を貸してもらっている「人間」に妬みを持ったのか…」

ゼルシェードの意志だ。こんなのは。

ゼルシェードの意志を周りにとやかく言われる筋合いなんて無いじゃないか。

セピア「結構性根が腐っていそうですわね」

ゼファ「……僕のこの流変剣は君の力で創られたんだ。

その神は、ゼルシェードに及ばないんだよね?

…もしもの時は戦う。この剣なら、きっと勝てるはずだ。」

それに、能力スキル持ちも多くいる。何かあっても勝てるはず。

フロスティ「念のため、聞かせてくれ。そいつの名は?」

ゼルシェード「………ベレイザ」




その彼らの移動を、遠くから見ているものが一人。

???「頃合い、ね…

…優しき王子様。いいえ、国王様。

そいつの力を受け取ってしまった自分を呪え。

そして、その優しさは…仇となるでしょうね」

そう言って姿を消した。


ゼルシェード「ん…?」

ゼファ「どうかしたかい?」

ゼルシェード「いや……」

(今の感覚…俺は知っている…まさか……)


その晩……

ゼファ「…今日は帰らなくていいのかい?」

オペラ「はい。このお城から見る夜景が好きなんです」

事実、バルコニーから見渡せる城下は夜でもとても綺麗だった。

オペラ「私も、能力スキル覚えられたらいいのに…」

ゼファ「君は無理しなくても…。君の回復だけでも役に立つし、

あまり危険な所に連れて行きたくない」

オペラ「…ゼファ様こそ、無理してませんか?

戦いは激化している気がしますし…」

ゼファ「いや、そうでもないよ。

悪神獣も落ち着いて来てるし、最近は暗殺者も来ないしね」

…………

ゼファ「…今夜は、やたら月が光って見えるね…」

オペラ「そうですね…綺麗な三日月…」

フロスティ「兄よ!」

声に振り返る。

ゼファ「フロスティ、来たんだね」

オペラ「フロスティ様…眠らなくてよろしいので?」

フロスティ「二人が仲良さそーに話をしていたから、加わりに来た」

まったく……

フロスティ「月でも眺めていたのか?」

ゼファ「ああ、すごくきれいだと思ってね」

フロスティ「…二人とも、頼むから死なないでくれ」

オペラ「フロスティ様?」

不安だった。正直。

フロスティ「…これ以上、家族を失うのは嫌じゃぞ」

ゼファ「もちろんさ。死なないよ、フロスティ。

君こそ、死ぬんじゃない」

…そう、死んではいけない。絶対。

それにしても、綺麗な月だ…。今までで一番綺麗で、綺麗すぎて、怖い。

何か、起きる気がする。今夜は…。


ゼルシェード「お前達…すまないな。夜に呼び出して」

サラテリ「なんかあったの?」

エピナール「私達と四零士に招集をかけるという事は、

ゼファ様と姫様に関わる事ですか?」

ゼルシェードはそれに頷いた。

フェズ「なんだよ? 遠慮なく言えって」

プリムローズ「明日の任務でもあるの?」

ゼルシェード「いや、違う…お前達に頼みがあるんだ」

グラファイト「頼み?」

ゼルシェード「……全員生きて、あいつらを守ってやってくれ」

ゼファとフロスティとオペラの事だ。

セピア「どうして急に…もちろん、守りますけれど」

エルブ「はい…当然です」

ゼルシェード「……ならいいんだ。

……明日が来るか、分からない状況まで来てしまったからな…」

それって、どういう……

そう聞き返そうとした時、物凄い爆発音が。

フェズ「なんだよ!?」

サラテリ「外!?」

ゼルシェード「来たか…!!」

慌ててエルブが近くの窓を覗く。

エルブ「悪神獣…! 一、二…十体以上いますよ!?」

何だその数は…っ!?

エピナール「セピアさん、サラテリさん、フェズさん。

私達は悪神獣の討伐に向かいましょう!」

プリムローズ「私とエルブは王城の兵士と合流する!

グラファイトは陛下達の所へ行って!!」

グラファイト「言われなくても!! ゼルシェードも来て!!」

ゼルシェード「ああ…あとで全員で合流しろ!

今起きている事の首謀者は…恐らくベレイザだ!」

ベレイザ…昼間、話をしていた堕ちた神…!?

セピア「わかりましたわ、また後で!」


グラファイト「ゼファ!!」

ゼファ「グラファイト! ゼルシェード! 一体何が…悪神獣の群れが!!」

フロスティ「襲撃か!?」

ゼルシェード「ベレイザの仕業だ…恐らくな」

……おそらく、とは言うが、ほぼ確定だろう。

オペラ「ゼファ様…っ」

ゼファ「……君は……」

…どうするべきだ。この城に居たって安全とは言えない。

だが、外だって…。

オペラ「ゼファ様! どのみちここに居ても危険なら…

貴方の傍にいさせてください!」

ゼファ「……くっ…」

フロスティ「ゼファ、この城だって無事では済まぬ!

近くにいてやったほうがいい!」

ゼルシェード「俺もオペラの事は守る。連れ出してやれ」

……そう、だよな。傍にいない間に、自分の知らない間に死なれることほどつらいものはない。

ゼファ「わかった。でも、君は自分の身を最優先して。

こっちはあまり気にしなくて平気だから」

オペラ「はいっ」

フロスティ「皆はどこにおる?」

グラファイト「エピナールとセピア、フェズとサラテリは悪神獣の討伐に。

プリムローズとエルブは城の兵士と合流してるはず」

ゼルシェード「城内も破壊された箇所がある。

いずれ全員外に出るだろう。俺達もフェズ達の所へ行こう」

そうなると、エルブとプリムローズも最終的には外に行くだろう。

ゼファ「わかった!」

何でこんな事に…とは言わない。何か起こる事は予想できた。

……ベレイザ。勝つのは我らだ。
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