月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 外伝 ~未来(イマ)に至るためのプレリュード~

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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悲壮は音無く近付く

~未来(イマ)に至るためのプレリュード~ 25話

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迎えに来たインフェヌムに乗って、神殿に向かっていた一行。

ゼルシェード「……大丈夫か、ゼファ」

ゼファ「平気だよ。…立ち止まっていいわけないじゃないか。

…次に泣くのは、世界が平和になった後だよ」

…強いな。

フロスティ「そういえば、ゼルシェードが神という事は、

我ら以外は知っておるのか?」

グラファイト「いや、混乱させないために、城の人とあんた達しか知らないよ」

ゼルシェード「そうなると、威光も使わない方がいいな」

威光…?

ゼルシェード「威光は神の力の一つ。生物が俺に逆らえなくなる光だ。

動けなくなるだけだが、神の存在を知らない奴らが急に喰らったら怖いだろう。

それに、長時間使い続けると人の意志を奪いかねん。」

ベレイザとの戦いがどれだけ続くか分からない。

それだけ使っていたら、まずいのだ。

人の意志を奪うなんて、管理神としての禁忌中の禁忌だろう。

サラテリ「威光以外の神の力は?」

ゼルシェード「ベレイザが神界で戦おうと言ってくれれば問題なく、俺は使える。

だが…ベレイザの事だ。ここでやる、と言い出すだろう。

そんな場所で本気で神同士が力を衝突させたら、世界が滅ぶ。」

フェズ「そこらの魔物や神の力の混ざった魔物はともかく、

神自体と衝突させられねぇって事か」

セピア「世界が滅んだら、元も子もありませんわ」

エピナール「ええ、私達だけでやるしかないでしょう」

ゼルシェード「一応、神界には誘ってみるが、聞く耳もたない方が確実だと思っておけ。

…ただ、俺も戦闘には参加しよう。…人としての力しか出せんがな」

プリムローズ「それでも大助かりだよ」

エルブ「戦力は増えますしね」


神殿到着。

ゼファ「えっと…これを…っと」

鍵を使うと、神殿の扉は開いた。

グラファイト「…内部はこれでも神殿跡だからね。

多分、足場も悪いし、気を付けた方がいいと思う」

ゼルシェード「あいつの事だ。自分の待機してる範囲だけ、綺麗な状態に戻してるだろう」

サラテリ「うえー、ま、いいけどさ」

プリムローズ「そうだね。その方が戦いやすいし」

フェズ「そういや、ゼルシェードの武器って何だ?」

ゼルシェード「神としてなら、武器はいらん。

が、今は剣だな」

見せてくれたのゼファが持ってるのと同じ流変剣。

ゼルシェード「俺の力の一部だと言っただろう。

この通り、俺の武器と同じだからだ」

なるほど……。

ゼファ「そうだ、エピナール、セピア。

四零士のみんなも。まずは普通に戦ってみて、様子を見よう。

それでだめそうだったら、オーブと零術の使用を頼むよ」

セピア「良いんですの?」

ゼルシェード「あれでも神になれるだけの魔力はある。

即死はしないだろう」

けれど…辺りに被害は行かないだろうか…。

フロスティ「セピアたちは、それを使ったところで、我らの区別がつかなくはならんじゃろ」

エピナール「た、多分…?」

エルブ「僕は…」

ゼファ「君は無理しなくていいよ。使いたくないというなら、そっちを優先してくれ」

やっぱり、優しい王だ。

フェズ「俺達も最初は使わないでおく」

グラファイト「そうだね、結構使うのに力必要だし、切り札として、ね」

それから…とゼファが続けた。

ゼファ「相手が倒れたら、トドメは待ってくれるかな?」

フロスティ「兄?」

ゼファ「もしも、相手が全ての罪を償う、と言うのなら…

殺しはしたくないんだ」

ゼルシェード「…どこまでいってもお前なんだな。

まあ、オペラも贖罪の意志ある者をお前が死なせるところ等見たくないだろう…」

ゼファ「ごめん…甘いかな」

………

ゼルシェード「普通に考えて、王としては失格だろう。

だが…そんなお前だから、民も着いて来たんだ。」

「民」が…?

ゼルシェード「俺は世界中が見れるからな。

お前の事が大好きだった国民みんな、武器をとって魔物と戦っている。

フロスティ「皆…っ」

ゼファ「まったく…戦わなくていいのに、君達は…」

セピア「それだけ人望があるのですわ。」

プリムローズ「陛下のいるクレセディアが好きなんだもんねー」

フェズ「俺達は俺達の仕事をしようぜ。

ベレイザだけは俺達じゃねえと無理だろ」

……その通りだ。

ゼファ「じゃあ、行こうか!」


神殿内部は、グラファイトの言ったとおり、荒れていた。

ゼファ「………」

フロスティ「………」

サラテリ「なーんか、凄く行きたくない雰囲気」

フェズ「幽霊とかか?」

サラテリ「うっ…」

図星だったようだ。

グラファイト「そんなこと言ってないで早く…」

プリムローズ「うーらーめーしーやー」

セピア「貴方の血、くださいませんか~…?」

ゼファ・サラテリ・フロスティ「うわああああああああああ!?」

ものすっごいリアクション。

エピナール「何やってるんですか…」

エルブ「セ、セピアさん…今のは怖いですよ…」

ゼルシェード「……緊張をほぐしてくれたんだろ」

ゼファ「うん…そうだね」

……せめて、彼らだけでも…守り抜かないと…。

ゼルシェード「行くぞ。時間が無いんだからな」

サラテリ「ねー、余計怖くなったんだけどー!?」

ゼファ「フェズは全然平気そうだし、守ってもらったら?(悪気ゼロ)」

サラテリ・フェズ「誰がこんな奴に(を)!!」

グラファイト「息は合ってると思うんだけどなぁ…」

相性が悪いんだろうか…?

プリムローズ「じゃー、そろそろ進もうー」

ゼファ「ああ」

セピア「それで、血は?」

ゼファ「あげないよ!!」

冗談、だよな????


足場の崩れもやっぱり酷い。

所々、飛び越えないと渡れないようなところも多い。

ゼファ「よっと。フロスティ、渡れるかい?」

フロスティ「うむ、問題ない」

ゼファ「さすが!」

身軽にフロスティも飛び越える。

グラファイト「姫様はもっと力を借りていいと思うけどな。…ほら」

プリムローズ「え? 私、ハンターやってたし平気だよ?」

グラファイト「それでも女の子だし…」

うーん…グラファイトもこういうところ、騎士の鑑。

エピナール「セピアさん、男性相手ですから嫌かもしれないですけど、掴まってください」

セピア「このメンバーの男は別に嫌じゃないですわよ」

エピナールはお姫様抱っこで軽々超えていくから、紳士のレベルが桁互いだ。

……こんな態度…自分達以外だったら男は終わってるな…。

エピナール「ほら、エルブも。ドジ踏んで落下したら笑えない」

エルブ「あ、ありがとう、兄さん」

緊張するような場面になるほど、危なっかしいので手を差し伸べる。

で、残ってるのはゼルシェードとサラテリとフェズなんだが。

ゼルシェード「早く行け」

………

サラテリが踏み出す気配がない。

…ただ、高い所に立つのとはわけが違うか。超えないといけないんだし。

サラテリ「………っ、う…」

フェズ「………振りほどくなよ!?」

サラテリ「え、は!? ちょっと!!! っ!?」

フェズがサラテリの手を掴んで飛び越えてきた。

ゼルシェード「まったく、お前らもう付き合え」

ゼルシェードにもそう言わせるとは;;;

サラテリ「それは嫌だよ!!」

いやそんなズバッと…。

フェズ「急いでるんだから早く行こうぜ」

あ、ぜんぜん応えていないのね。

ゼファ「じ、じゃあ行こうか?」

ゼルシェード「この先から強い魔力を感じる。ベレイザのものだ」

この先に……。
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