貴族様の愛の囁き

赤木 水月

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第3幕

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「い、一体……コレはどういう事なの!?」

このままでは、埒が明かないと執務室へ強制連行された瞳である

「前もってお伝えしようと思ったのですが……」

あまりの瞳の浮かれた様子を見てしまったら、伝え難かったのだ。

「だから、どうしてサギリ様達のキャラクターが変わってるの?」
「大変、申し上げ難いのですが……この世界の歪みが原因かと」
「世界の歪み……?」
「そして、おそらく歪みは……貴女が、この世界にいらした事が理由かもしれません」
「えっ!私!?」

確かに移動中に激しい痛みを感じた。アレが予兆だというのか。
冷静に考えてみればバーチャルの世界に生身の人間が入り込んだのだから、何かしら問題が起きても不思議じゃないのかもしれない

「そ、そんな……」
「申し訳ございません。まさか、このような反動が起きようとは。私は、ただ貴女を喜ばせたかっただけなのです」
「っ……」

ただ喜ばせたかった。などと言われたら、これ以上は何も言えなくなる
このような言葉に瞳は弱い

「私の方こそゴメン。ケインは私の為に、この世界に連れて来てくれたというのに…」
「瞳さん…」

どうやら、サギリに対し理想を高く持ちすぎていたかもしれない。例え公式と性格が違ってしまっていても、サギリはサギリなのだ。そう思う事にする。

しかも大好きなゲームの世界でまさに、この自分自身がヒロインなのだ
贅沢を言うべきではない
現実とは違う薔薇色の逆ハーレムを味わう事が出来るのだ

「ケイン!私、サギリ様に愛されるよう頑張るね」
「お詫びと言ってはなんですが、貴女に護衛を着けたいと思います」
「護衛!?で、でも……私はメイドだし」

つまり騎士って事だよね!?もしかして騎士団長とか!?
いやいや、高望みし過ぎよね。私は、あくまでメイドなんだから!

でも、この世界に出て来る騎士様もイケメンで素敵だった気がする。

って!ダメダメ!私は例え、キャラ崩壊しててもサギリ様一筋なんだから!
サギリ様、一瞬でも浮気してごめんなさい

「いえ、貴女様は私がお呼びした大事な方です。ですので御身の為に攻撃と守護の精霊を着けさせて下さい」
「せ、精霊……?」

ケインが精霊使いだなんて初耳だけど。
そんな設定あったっけ?
でもキャラ崩壊有りなんだから、設定がズレてても不思議ではないのかな?

「では呼びますね。攻撃と守護の精霊、我が命に応えよ!召喚!」

そしてケインが復唱すると、眩い光と共に……小柄の神々しい『ピンクの豚』が降臨した。よく見ると背中には小さな羽が生えている……

『ブヒ!』
「え?ちょっと待って……え?」

いや、可愛いけれども。何故に子豚さん?
精霊のイメージとは……ちょっと違うと言いますか……うん。

「この子が貴女の護衛をしてくれますから、ご安心下さい。他の人には見えません」
「あ、有難う……」
「トンちゃんと呼んであげて下さい」
「……トンちゃん」
『ブヒ!』

いやいや!名前!安直過ぎない?
精霊なのに豚だからトンちゃんだなんて……いくら何でも可哀想な気が……。

「トンちゃんは愛称でして、真名は『トンカツ』です」
「え?トン……?」
「トンカツです!」
「あ……うん……」

トンちゃん。真名がトンカツで良いの?
加工されて揚げられちゃってるよ!?
どうしよう……カツ専門店のカツ丼が無性に食べたくなって来た!

「瞳さん?瞳さん、どうかなさいましたか?」
「あ、ううん!何でもないよ」

言えない、言える訳がない。
トンちゃんを見ながら、カツ丼食べたいと思っていたなんて……。

「宜しくね、トンちゃん。そしてサギリも!」
「お任せ下さい」
『ブヒ!』



心強い協力者と精霊と共に、意気込みは十二分な瞳は決意を新たにする。

愛しのサギリ様の為に、尽くしてみせると……。

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