ゆびわさがし

杉本けんいちろう

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ー第ー章ー

たかちゃん

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『僕ね、えみちゃんの事が好きなんだ。』

『ホントに!?私も、たかちゃんの事が大好きだよ。』

『えみちゃん、僕たち結婚しよう。』

『うん!いいよ!結婚しよう!』

『よかった!これで僕たち、ずーっと一緒だね。』

『うん!でもね、たかちゃん。結婚する二人にはね、指輪が必要なんだよ。』

『指輪?』

『そう!大きなダイヤモンドが付いた結婚指輪!』

『結婚指輪かぁ。分かった!じゃあ僕、えみちゃんのために今から結婚指輪を見つけてくるね!』

『ホント!?あ、じゃあ私も…。ううん。待ってるね!』

たかちゃんは、遊びに来ていた、えみちゃん家を飛び出して、指輪を探しに行きました。

『でも、指輪って、どこにあるんだろう…。指輪を買えるお金なんて無いしな…。』

勢い良く飛び出して行ったのは良いものの、たかちゃんは、どこに指輪があるのか分かりませんでした。

『どこかに落ちてるのかなぁ…。』

『あれ?たかちゃん?こんな所で何してるの?』

『ひろくん!指輪を探してるんだ。』

『指輪?』

『そう。僕とえみちゃんの結婚指輪。』

『えみちゃん!?結婚指輪!?ホント!?』

『うん。ひろくん、指輪ってどこにあるか知らない?』

『うーん…。僕もよく分からないけど、とりあえず、こんな道ばたには落ちてないと思うよ。』

『そうだよね…。』

『僕も一緒に探そうか?』

『うーうん。大丈夫!ありがとう!』

たかちゃんは、川のほとりや公園の隅々に至るまで探してみました。

『うーん。どこにもないなぁ…。あ!もしかしてウチに行けばあるかも!』

たかちゃんは、急いで家へと帰りました。家に着くなり、洋服ダンスから食器棚まで色んな所を隈なく探しました。

『あったー!』

たかちゃんは、指輪を見つけました。それは、ちょっぴり古びてはいたけれどシルバーの立派な指輪でした。

『これで、えみちゃんと結婚できるんだ!早く持って行って、えみちゃんにあげよう!』

たかちゃんは、えみちゃんの所へと急いで戻りました。

『えみちゃん!』

『たかちゃん!見つかったの!?』

『うん!あったよ!ほら!結婚指輪!』

『わー!ホントだ!でも、ダイヤモンドが無いよ。それに、なんか古そう。でも、いいや。ありがとう!私のために探してくれたんだもんね!たかちゃん!嵌めて!嵌めて!』

『うん!』

『早くぅ!』

『これ、どこに嵌めればいいの?』

『薬指!結婚指輪はね、左手の薬指にするんだよ。』

『そうなんだ。薬指ね…。はい!』

『ねぇ、たかちゃん。これ全然サイズ合ってないよ。すごい大きいんだけど…。これ、どこから持ってきたの?』

『どこって…。おばあちゃんのタンスの中からだよ。』

『じゃあ、これって、おばあちゃんの指輪なんじゃない?』

『え?』

『絶対そうだよ。おばあちゃんの結婚指輪なんだよ。私、おばあちゃんのこんな大事な指輪もらえないよ。』

たかちゃんの見つけ出した指輪は、おばあちゃんの結婚指輪でした。ちょっぴり古びていたのは、おばあちゃんが若い時に、おじいちゃんから貰った結婚指輪だったからです。

指輪を返された、たかちゃんは指輪を持ってウチへと帰りました。たかちゃんは、少しうつむいていました。そんな、たかちゃんの姿を見つけた、おばあちゃんは心配になりました。

『たかちゃん、どうしたの?元気ないね?』

『おばあちゃん…。今日ね、えみちゃんに結婚しようって言ったんだ。そしたらね、えみちゃんが結婚指輪が欲しいって言うから、これを見つけて持って行ったんだ。』

『あら!これは…!』

『やっぱり、これ、おばあちゃんのだったよね?ごめんなさい。おばあちゃんの大事な指輪を勝手に持ち出して…。』

『ううん、いいのよ。それより、えみちゃんは、この指輪を受け取らなかったの?』

『うん。えみちゃんは、こんな大事な指輪もらえないよって…。』

『そう…。えみちゃんは偉いね。やっぱり女の子だね。この指輪の意味が分かるんだね。』

『意味…?』

『そう、結婚指輪ってね、何でもいいってわけじゃないのよ。その人のために、その人にふさわしい指輪があるの。だから、えみちゃんは、この指輪を見て、まだ早いって思ったんじゃないのかな。』

『そっかぁ…。』

『じゃあ、たかちゃん。この指輪は、たかちゃんにあげる!』

『え?だって、これは、おじいちゃんに貰った大事な結婚指輪なんでしょ!?』

『そうだよ。だから、たかちゃんにあげるの。死んだおじいさんに貰った大事な結婚指輪だから、たかちゃんにあげるの。』

『ホントに、いいの?』

『うん。だけど、一つ約束して欲しいの。たかちゃんが大きくなって結婚する時に、この指輪を、相手のお嫁さんにあげて欲しいの。』

『うん!…でも、おじいちゃんはいいの?』

『大丈夫よ。おじいさんもきっと、それが良いって喜んでくれるわ。』

『分かった!約束するね!絶対、相手は、えみちゃんだから!もうちょっと大きくなったら、えみちゃんにあげるね!』

『うん。きっと、その時は、ちゃんと受け取ってくれるよ…。』
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