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俺が異世界転移して帰って来るまでの話 2
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現れたのは、ヨーロッパの軍服っぽい服を着た、西洋人っぽい見た目のイケメンだった。俺よりちょっと年上くらいか?栗色の短髪に青い目のマッチョ。
その軍服マッチョは、向かいの壁際に座り込む俺を見て、にこやかに話し掛けてきた。
「いらっしゃい、お客人。見たところ、トウヨウジンかな?俺の言葉分かる?」
「……はい。」
驚いた。何か予想していた対応と違う。
え?東洋人って言った?
言葉が分かるのは異世界召喚あるあるなのでそれはいいとして(きっと魔法陣に翻訳機能が組み込まれていたんだろう)、何でこの人は地球の人種を知ってるんだ?
「はは、いきなりビックリしたよね。異世界転移って言ったら意味わかる?」
「…わかります。」
「お!さては君、ニホンジンだな!いやぁ、最近のニホンジンの若者は理解が早くて助かるんだよね。」
うぉ、秒で国までバレた。っていうか、最近の日本人てなんだ。もしや俺が知らないだけで、異世界転移って結構普通のことなの?え?ウソでしょ?
でも、この対応で分かったことがある。
俺は、救世主として召喚されたのではなく、なんか間違ってこっち来ちゃった系だ。しかも巻き込まれたわけでもない、完全に迷子系のやつだ!
迷子系はヤバいぞ。下手すると奴隷とかになっちゃうやつじゃないか!日本人の黒髪黒目で小柄な身体が珍しくて、悪いやつに目を付けられちゃうやつ!
俺は正に黒髪黒目だ。日本にいればそうでもないが、目の前の男に比べたら細身で小柄な方に分類されてしまうだろう。
しかも水野が言うには、俺はなかなか可愛い顔をしているのだ。そう、あれだ、歌って踊れるアイドル系ってやつだ。いや、うそ、ごめんなさい姉ちゃんもの投げないで!!
…まぁ、アイドルは言い過ぎたが、顔立ちはまぁまぁ整っているし、スタイルも悪くないと思う。目は二重でパッチリしているし、口と鼻は小振りで鼻筋はスッと通っている。体つきはやや細身で背は172センチ。
付き合ったことはないが、女の子に告白されたこともある。
お?やっぱり俺ってけっこうイケてるのでは?
ま、いつも隣にモテモテイケメン水野がいるから霞むけどな!
水野はバスケ部でガッシリしてるし身長は190センチ近くあるから、対比で俺がモヤシに見えるけどな!
あ…。高校の時、久しぶりに実家に水野を連れて行ったときの事思い出した。
会わないうちに背がグングン伸びて超絶イケメンになった水野に、姉ちゃんと母ちゃんがこれでもかってほどチヤホヤしまくってたな。
俺の食べたことの無い高そうなチョコとバニラが何層にもなってるアイスを出してきたり(ちなみに俺の分はなかった。仕方ないからいつものカップのバニラアイスを食べていたら、水野が一口あーんしてくれた。めちゃくちゃうまかった。)、部活の様子を聞いては褒め称えたり…。俺との対応の差に泣いた。
…はっ!こんな回想をしている場合ではない。奴隷にされちゃたまらないぞって話だ。
ん?でも、この目の前の男は事情を知ってるっぽいし、いらっしゃいお客人って言ってたな…。
俺が黙ったまま考え込んでいると、軍服マッチョが色々と教えてくれた。
聞いた事によると、俺の思った通り俺は異世界に迷い込んでいる状態らしい。
この世界ではこういうことが年に5~6回あるので、軍服マッチョたちは対応に慣れているとのことだった。
何故こんなことが起こるかは解明されておらず、防ぐ事はできない。
ただ、俺には理解できなかったが、時流とか魔素の凝りとか何やかんやを魔法で(そう、やっぱり魔法があるのだ!)どうにかこうにかして、転移に遭った人を必ずこの石の部屋に着地させるようにしてあるそうだ。天井のステンドグラスがその仕掛けらしい。
すげぇ。進化型異世界だ。っていうか、年に5~6回ってけっこう多くないか!?
一先ずおかれている状況が分かり、危険はなさそうだとホッとする。
軍服マッチョが俺を騙しているという可能性もあるだろうが、俺はどちらかというと人を信じたい派だ。姉にはチョロいと言われるが、俺は自分の人を見る目に自信がある。
何を隠そう小学一年生の時、同じクラスになった水野に1番に話しかけたのはこの俺だ。
やつはあの頃は人見知りが激しくて、休み時間に一人ポツンとしていた。後から聞いたが、引っ越してきたばかりで同じ幼稚園の友達とかもいなくて、どうしていいか分からなかったらしい。
そんな水野に、俺は話しかけた。俺は一人寂しくしている子を見ると、ほっておけない派なのだ。それにあの時、こいつとはなんか気が合いそうだなと、何となく思ったのだ。
そうしたらどうだ!話したら普通にいいやつだし、好きなテレビもゲームの趣味も合うし、小中高大と同じ学校に通って、今じゃすっかり自慢の親友だ。俺の目は間違ってなかった!
ちなみに、水野の人見知りはミニバスを始めた頃にはすっかり治った。それどころか、運動神経の良さが露呈してからは、ヤツの周りは人でいっぱいだ。ポツンと寂しく座ってた頃のお前が、今や人気者に…。俺は嬉しい。ひな鳥が巣立つ姿を見る親鳥のような心境だ。
まぁ、そんな話はいいとして、軍服マッチョが俺を騙そうとしてるかどうかって問題だ。
俺は俺を信じる!
このマッチョは良いマッチョだ!だってずっとニコニコしてるし!
そんなことを考えていると、軍服マッチョがまた話しかけてきた。
「いやー、しかし君、運が良かったね。星の巡りからいったら、明日あたり帰れるよ。」
その軍服マッチョは、向かいの壁際に座り込む俺を見て、にこやかに話し掛けてきた。
「いらっしゃい、お客人。見たところ、トウヨウジンかな?俺の言葉分かる?」
「……はい。」
驚いた。何か予想していた対応と違う。
え?東洋人って言った?
言葉が分かるのは異世界召喚あるあるなのでそれはいいとして(きっと魔法陣に翻訳機能が組み込まれていたんだろう)、何でこの人は地球の人種を知ってるんだ?
「はは、いきなりビックリしたよね。異世界転移って言ったら意味わかる?」
「…わかります。」
「お!さては君、ニホンジンだな!いやぁ、最近のニホンジンの若者は理解が早くて助かるんだよね。」
うぉ、秒で国までバレた。っていうか、最近の日本人てなんだ。もしや俺が知らないだけで、異世界転移って結構普通のことなの?え?ウソでしょ?
でも、この対応で分かったことがある。
俺は、救世主として召喚されたのではなく、なんか間違ってこっち来ちゃった系だ。しかも巻き込まれたわけでもない、完全に迷子系のやつだ!
迷子系はヤバいぞ。下手すると奴隷とかになっちゃうやつじゃないか!日本人の黒髪黒目で小柄な身体が珍しくて、悪いやつに目を付けられちゃうやつ!
俺は正に黒髪黒目だ。日本にいればそうでもないが、目の前の男に比べたら細身で小柄な方に分類されてしまうだろう。
しかも水野が言うには、俺はなかなか可愛い顔をしているのだ。そう、あれだ、歌って踊れるアイドル系ってやつだ。いや、うそ、ごめんなさい姉ちゃんもの投げないで!!
…まぁ、アイドルは言い過ぎたが、顔立ちはまぁまぁ整っているし、スタイルも悪くないと思う。目は二重でパッチリしているし、口と鼻は小振りで鼻筋はスッと通っている。体つきはやや細身で背は172センチ。
付き合ったことはないが、女の子に告白されたこともある。
お?やっぱり俺ってけっこうイケてるのでは?
ま、いつも隣にモテモテイケメン水野がいるから霞むけどな!
水野はバスケ部でガッシリしてるし身長は190センチ近くあるから、対比で俺がモヤシに見えるけどな!
あ…。高校の時、久しぶりに実家に水野を連れて行ったときの事思い出した。
会わないうちに背がグングン伸びて超絶イケメンになった水野に、姉ちゃんと母ちゃんがこれでもかってほどチヤホヤしまくってたな。
俺の食べたことの無い高そうなチョコとバニラが何層にもなってるアイスを出してきたり(ちなみに俺の分はなかった。仕方ないからいつものカップのバニラアイスを食べていたら、水野が一口あーんしてくれた。めちゃくちゃうまかった。)、部活の様子を聞いては褒め称えたり…。俺との対応の差に泣いた。
…はっ!こんな回想をしている場合ではない。奴隷にされちゃたまらないぞって話だ。
ん?でも、この目の前の男は事情を知ってるっぽいし、いらっしゃいお客人って言ってたな…。
俺が黙ったまま考え込んでいると、軍服マッチョが色々と教えてくれた。
聞いた事によると、俺の思った通り俺は異世界に迷い込んでいる状態らしい。
この世界ではこういうことが年に5~6回あるので、軍服マッチョたちは対応に慣れているとのことだった。
何故こんなことが起こるかは解明されておらず、防ぐ事はできない。
ただ、俺には理解できなかったが、時流とか魔素の凝りとか何やかんやを魔法で(そう、やっぱり魔法があるのだ!)どうにかこうにかして、転移に遭った人を必ずこの石の部屋に着地させるようにしてあるそうだ。天井のステンドグラスがその仕掛けらしい。
すげぇ。進化型異世界だ。っていうか、年に5~6回ってけっこう多くないか!?
一先ずおかれている状況が分かり、危険はなさそうだとホッとする。
軍服マッチョが俺を騙しているという可能性もあるだろうが、俺はどちらかというと人を信じたい派だ。姉にはチョロいと言われるが、俺は自分の人を見る目に自信がある。
何を隠そう小学一年生の時、同じクラスになった水野に1番に話しかけたのはこの俺だ。
やつはあの頃は人見知りが激しくて、休み時間に一人ポツンとしていた。後から聞いたが、引っ越してきたばかりで同じ幼稚園の友達とかもいなくて、どうしていいか分からなかったらしい。
そんな水野に、俺は話しかけた。俺は一人寂しくしている子を見ると、ほっておけない派なのだ。それにあの時、こいつとはなんか気が合いそうだなと、何となく思ったのだ。
そうしたらどうだ!話したら普通にいいやつだし、好きなテレビもゲームの趣味も合うし、小中高大と同じ学校に通って、今じゃすっかり自慢の親友だ。俺の目は間違ってなかった!
ちなみに、水野の人見知りはミニバスを始めた頃にはすっかり治った。それどころか、運動神経の良さが露呈してからは、ヤツの周りは人でいっぱいだ。ポツンと寂しく座ってた頃のお前が、今や人気者に…。俺は嬉しい。ひな鳥が巣立つ姿を見る親鳥のような心境だ。
まぁ、そんな話はいいとして、軍服マッチョが俺を騙そうとしてるかどうかって問題だ。
俺は俺を信じる!
このマッチョは良いマッチョだ!だってずっとニコニコしてるし!
そんなことを考えていると、軍服マッチョがまた話しかけてきた。
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