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メインストーリー
12.囚われの魔法使い
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カルロまで呼び出してしまったこの状況、かなりまずいです。
「魔物と話すことなんかない!」
ここで勇者と魔王を闘わせても、勝敗は目に見えている。
「私を攫え」
小声で私は言った。
魔王は少し戸惑っていたが、意図を理解したのか小さく頷いた。
「ならばこの娘は預からせてもらう! 精々経験を積んで魔界に来るんだな」
魔王のセリフに合わせて私は、テレポートの魔法を使った。
此処からどうしたらいいものかと少し迷ったが、答えは簡単だ。
魔界で私が生きていることを伝えるのが一番手っ取り早い、それは魔法使いとしてではなく、先代魔王の娘としてだ。
勇者様たちが先走らないかは少し心配だが、魔界の初めの荒野では手こずらない程度には鍛えたつもりだ。
「初めにありがとう、そしてどうしよう」
この後が全くもってノープランなのは状況からわかってもらいたい。
「そもそもよく私の暴走に気づいたな」
「魔物たちに監視をさせていました」
成る程、やけに酒の準備がいいと思っていたが今まで監視されていたのか。
それのおかげで助かったわけだし、今回は何も言わないようにしよう。
「これからなんだが、考えた結果私は師匠に会いたい」
ここで、私の師匠について話しておきたい。
師匠は魔界の中でも最も暗いと言われている森に住んでいる。
何百年も生きる魔女らしい。
昔、まだ今見たい力がない時に、力をくれと言ったら、龍の血を身体に注入された。
暴走すると、ツノと尻尾が生えるのはそのせいだ。
「師匠とは誰ですか?」
「不死身の魔女 ノーム」
彼女は魔界では名の知れた魔女だ。
冷酷非道の不死身人形なんて言われている。
「ノームって…魔王でも手がつけられないと言われているあのノームですか」
「うん」
昔、魔王と幹部数人がノームの家を訪れたら帰ってきたのは片手の無くなった幹部一人だったという昔話をお父さんから聞いたことがある。
本人からは寝ているところを妨害されたので森の肥料にしたと聞いていた。
「カルロ~ヒマだにゃ!」
話をしている途中で、猫耳の少女が勢いよく入ってきた。
「うおっ! 誰かにゃそれ」
カルロは必死に誤魔化そうと色々言っていたが、まずは城から私の認識を広めようと思った。
「私はナノ! 先代魔王の忘れ形見と言えばいいかしら」
「でも、ナノ様って死んだはずじゃにゃいのか」
やはりこれだけでは信じてもらえないだろうか、かくなる上は実力を見せるという選択以外がなくなってしまう。
「ナノ様は本物だ。私はこの方に負けた」
そんなんで信じるほど魔物は甘くないと思っていたが。
「堅物カルロが言うにゃら間違いにゃいにゃ」
この子は結構馬鹿なのだろうと声には出さず、心の中で思った。
「私は幹部の一人、猫又のアカネです。よろしくにゃー」
何はともあれ、魔界での私の生活は少しずつ動き出したのだった。
「魔物と話すことなんかない!」
ここで勇者と魔王を闘わせても、勝敗は目に見えている。
「私を攫え」
小声で私は言った。
魔王は少し戸惑っていたが、意図を理解したのか小さく頷いた。
「ならばこの娘は預からせてもらう! 精々経験を積んで魔界に来るんだな」
魔王のセリフに合わせて私は、テレポートの魔法を使った。
此処からどうしたらいいものかと少し迷ったが、答えは簡単だ。
魔界で私が生きていることを伝えるのが一番手っ取り早い、それは魔法使いとしてではなく、先代魔王の娘としてだ。
勇者様たちが先走らないかは少し心配だが、魔界の初めの荒野では手こずらない程度には鍛えたつもりだ。
「初めにありがとう、そしてどうしよう」
この後が全くもってノープランなのは状況からわかってもらいたい。
「そもそもよく私の暴走に気づいたな」
「魔物たちに監視をさせていました」
成る程、やけに酒の準備がいいと思っていたが今まで監視されていたのか。
それのおかげで助かったわけだし、今回は何も言わないようにしよう。
「これからなんだが、考えた結果私は師匠に会いたい」
ここで、私の師匠について話しておきたい。
師匠は魔界の中でも最も暗いと言われている森に住んでいる。
何百年も生きる魔女らしい。
昔、まだ今見たい力がない時に、力をくれと言ったら、龍の血を身体に注入された。
暴走すると、ツノと尻尾が生えるのはそのせいだ。
「師匠とは誰ですか?」
「不死身の魔女 ノーム」
彼女は魔界では名の知れた魔女だ。
冷酷非道の不死身人形なんて言われている。
「ノームって…魔王でも手がつけられないと言われているあのノームですか」
「うん」
昔、魔王と幹部数人がノームの家を訪れたら帰ってきたのは片手の無くなった幹部一人だったという昔話をお父さんから聞いたことがある。
本人からは寝ているところを妨害されたので森の肥料にしたと聞いていた。
「カルロ~ヒマだにゃ!」
話をしている途中で、猫耳の少女が勢いよく入ってきた。
「うおっ! 誰かにゃそれ」
カルロは必死に誤魔化そうと色々言っていたが、まずは城から私の認識を広めようと思った。
「私はナノ! 先代魔王の忘れ形見と言えばいいかしら」
「でも、ナノ様って死んだはずじゃにゃいのか」
やはりこれだけでは信じてもらえないだろうか、かくなる上は実力を見せるという選択以外がなくなってしまう。
「ナノ様は本物だ。私はこの方に負けた」
そんなんで信じるほど魔物は甘くないと思っていたが。
「堅物カルロが言うにゃら間違いにゃいにゃ」
この子は結構馬鹿なのだろうと声には出さず、心の中で思った。
「私は幹部の一人、猫又のアカネです。よろしくにゃー」
何はともあれ、魔界での私の生活は少しずつ動き出したのだった。
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