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メインストーリー
14.噂と現状
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あれから数ヶ月が経った。
未だ魔界のみんなからの賛同はもらえていない。
しかし、勇者様の噂を少しずつ聞くようになったのは喜ばしいことだった。
あれから、魔界も人間界も反戦争の団体が内乱を起こした。
そのせいかしばらく人間と魔物の大きな争いは起きていない。
小さな小競り合いで、今日も数百の生命は死んでいくのだ。
「とうしたのかにゃ? そんな暗い顔しちゃって」
幹部のみんなとは仲良くなれたし、魔界の外にも私の噂は広がっているようだ。
だけど、その噂のせいで私はしばらく城にいないと危険という意見が出た。
私のお父さんの意見を世迷いごととぼやく老人や若者も少なくなかった。
血の気の多い連中や古き軍人魂とやらを持った奴は、とことんお父さんの意見に反対した。
その反乱分子は未だに外にいるようだった。
「まあ、ナノ様の言いたいこともわかるにゃ。あなたに力があることも知ってるにゃ。でも、それだけじゃ変えられないのが現状なんだよ」
いつも明るいアカネが悲しそうな声で私に言った。
みんな分かっているはずなのに、この戦争に意味なんてないことが。
猫又の一族は魔物の中では貧弱なために、馬鹿にされたりすることが多い。
彼女は自分が力を示し、一族を守るために幹部になった。
今も人気を出すためにアイドル見たいこともしてるし、政治にも積極的に意見を出している。
だけど、未だに猫又への偏見は無くならない。
その経験から私に話してくれているのだろう。
「でもにゃ! リーダーがそんな顔しちゃダメにゃんだよ、笑ってなくちゃね」
彼女なりの慰め方なのだろうと私は思った。
魔物だってこんな優しいのに、人間と争うなんて間違ってる。
「ありがとね」
アカネは営業スマイルをして私のもとを去って行った。
(カラカラコロコロボキ)
「訳すね、お前の父親は迷っても止まらなかった。女子だとしてもお前が止まることは許されない」
スカルはお父さんのことを幹部で知っている数少ない中の一人だ。
お父さんに賛成派の魔物は揃って、反乱分子に殺された。
中立の立場に立っていたスカルは、お父さんを殺すこともしなかったし、助けることもしなかった。
昔は憎んで憎んで憎んでいたが、今となれば彼の気持ちも少しわかる気がしてしまった。
「相変わらず手厳しいな~スカルさんは」
(ガラボキ、ゴキボギボギゴギ)
「減らず口を叩くなら、目元のクマをとっととなくせ、まあ、もっと訳すとしっかり寝ろだね」
なんだかんだ言って、私を支えてくれる彼らが私は大好きだ。
とにかく明るい蛇娘も、真面目なイカ娘もカルロもスカルもジェントルゾンビだって猫だって全員大好きだ。
だからこそ、私の見ている桃源郷を私は必ずみんなに見せたい。
「僕が入ってないのは悲しいものだな」
「忘れてたね、うん」
この妖怪は妖怪で、減らず口ついでに魔界の状況について教えてくれた。
本当に性格が治ればいい奴なのに、つくづく惜しいものだ。
勇者様もだいぶ進んできたんだ。
裏切ってしまっていることは忘れて、今はみんなの意見を一つにまとめるために頑張りたい。
未だ魔界のみんなからの賛同はもらえていない。
しかし、勇者様の噂を少しずつ聞くようになったのは喜ばしいことだった。
あれから、魔界も人間界も反戦争の団体が内乱を起こした。
そのせいかしばらく人間と魔物の大きな争いは起きていない。
小さな小競り合いで、今日も数百の生命は死んでいくのだ。
「とうしたのかにゃ? そんな暗い顔しちゃって」
幹部のみんなとは仲良くなれたし、魔界の外にも私の噂は広がっているようだ。
だけど、その噂のせいで私はしばらく城にいないと危険という意見が出た。
私のお父さんの意見を世迷いごととぼやく老人や若者も少なくなかった。
血の気の多い連中や古き軍人魂とやらを持った奴は、とことんお父さんの意見に反対した。
その反乱分子は未だに外にいるようだった。
「まあ、ナノ様の言いたいこともわかるにゃ。あなたに力があることも知ってるにゃ。でも、それだけじゃ変えられないのが現状なんだよ」
いつも明るいアカネが悲しそうな声で私に言った。
みんな分かっているはずなのに、この戦争に意味なんてないことが。
猫又の一族は魔物の中では貧弱なために、馬鹿にされたりすることが多い。
彼女は自分が力を示し、一族を守るために幹部になった。
今も人気を出すためにアイドル見たいこともしてるし、政治にも積極的に意見を出している。
だけど、未だに猫又への偏見は無くならない。
その経験から私に話してくれているのだろう。
「でもにゃ! リーダーがそんな顔しちゃダメにゃんだよ、笑ってなくちゃね」
彼女なりの慰め方なのだろうと私は思った。
魔物だってこんな優しいのに、人間と争うなんて間違ってる。
「ありがとね」
アカネは営業スマイルをして私のもとを去って行った。
(カラカラコロコロボキ)
「訳すね、お前の父親は迷っても止まらなかった。女子だとしてもお前が止まることは許されない」
スカルはお父さんのことを幹部で知っている数少ない中の一人だ。
お父さんに賛成派の魔物は揃って、反乱分子に殺された。
中立の立場に立っていたスカルは、お父さんを殺すこともしなかったし、助けることもしなかった。
昔は憎んで憎んで憎んでいたが、今となれば彼の気持ちも少しわかる気がしてしまった。
「相変わらず手厳しいな~スカルさんは」
(ガラボキ、ゴキボギボギゴギ)
「減らず口を叩くなら、目元のクマをとっととなくせ、まあ、もっと訳すとしっかり寝ろだね」
なんだかんだ言って、私を支えてくれる彼らが私は大好きだ。
とにかく明るい蛇娘も、真面目なイカ娘もカルロもスカルもジェントルゾンビだって猫だって全員大好きだ。
だからこそ、私の見ている桃源郷を私は必ずみんなに見せたい。
「僕が入ってないのは悲しいものだな」
「忘れてたね、うん」
この妖怪は妖怪で、減らず口ついでに魔界の状況について教えてくれた。
本当に性格が治ればいい奴なのに、つくづく惜しいものだ。
勇者様もだいぶ進んできたんだ。
裏切ってしまっていることは忘れて、今はみんなの意見を一つにまとめるために頑張りたい。
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