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メインストーリー
19.相談
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「なるほど…つまりは血祭りにしろと」
「違いますよ! どうしてそうなるんですか」
師匠に今まで私が経験したこと、そのせいでとても悩んでいることを打ち明けてみた。
その結果が冒頭の台詞となる。
穏やかな性格と打って変わって、面倒ごとになると拳で語れとなるのが師匠だ。
元々、天然な部分があるにはある。
少し前に話した魔王や幹部たちが無残に殺された感じの話だが、これは師匠がやったということで間違えはない。
知っての通り旦那の話になると何をしでかすか分からないのが師匠である。
彼らが森に入った日がXデー、つまりはアルフレッドさんが他の女と不倫した日だったのである。
「師匠はもうちょっと穏便に済ませようとは思わないんですか?」
師匠は可愛く首を曲げ、不思議そうに私を見つめてくる。
性別が一応、女である私でさえ惚れてしまいそうだ。
じゃなくて!
師匠ならもっとまともな案を出してくれるのかと思っていたのに、ここに来たのが無駄足になってしまう。
「私的には一番穏便なんだけどな~」
ほわほわーんとした緩い声のトーンで師匠は答えた。
血祭りにあげるのが一番平和的って、元ヤンか何かですか。
最近、馬鹿みたい感想しか出てこないのには理由があって欲しいと思う今日この頃。
そんなこんなで一人で頭を掻き回していると、キッチンにいたアルフレッドさんが料理を持って戻ってきた。
「飯できたぞ」
イイ香りとともに運ばれてきた料理は、私が見たこともないようなものばかりだった。
「毒キノコのソテーに毒魚の塩焼き、毒牛のステーキ赤ワイン煮だ」
あまりの輝きに手を伸ばしかけていた矢先、アルフレッドさんからの料理の説明があった。
オシャレな名前の料理ばかりでとっても美味しそう。
「じゃねーよ! 毒が食べられるのは悪魔のあなたと無限治癒魔法の師匠だけですから」
目の前に美味しそうな料理があるというのに、食べたら死ぬ、とかどこの拷問ですか。
私は人間に近い魔物なので、身体の作りは、さして変わらない。
師匠は私の嘆きが聞こえないのか、料理を口に運び、感嘆の声を漏らしていた。
裏山けしからん。
「くっ…殺せ」
「それは違う意味になるだろ」
アルフレッドさんからの的確なツッコミを受けた私は、一人食卓から追放されたニートのように部屋の隅で木の実を食べていた。
「ナノちゃーん! 美味しいわよ、これ」
故意ではないことは分かっている、なのに、なのに、殺意が湧くのは何故なのでしょう。
顔近くに近づけられたそれは、私の理性を簡単に壊してしまったのです。
「ええい、ままよっ!」
口に広がる芳醇な香り、私は今、天国にでもいるのでしょうか。
「こんな美味しい料理食べ…ぐっ」
バタッ
おかしいですね。
ここは魔界なのに天使族の姿が見えます。
「リザレクション!」
遠くから聞こえたその声が、今はとても近く聞こえた。
「ねっ、美味しかったでしょう」
「は…はいっ」
師匠は良い意味でも悪い意味でも天然である。
旦那の料理を食べさせるために弟子を殺すとか、サイコパスですか。
「ご馳走様でしたぁぁ~!」
あれっ、デジャヴ。
「違いますよ! どうしてそうなるんですか」
師匠に今まで私が経験したこと、そのせいでとても悩んでいることを打ち明けてみた。
その結果が冒頭の台詞となる。
穏やかな性格と打って変わって、面倒ごとになると拳で語れとなるのが師匠だ。
元々、天然な部分があるにはある。
少し前に話した魔王や幹部たちが無残に殺された感じの話だが、これは師匠がやったということで間違えはない。
知っての通り旦那の話になると何をしでかすか分からないのが師匠である。
彼らが森に入った日がXデー、つまりはアルフレッドさんが他の女と不倫した日だったのである。
「師匠はもうちょっと穏便に済ませようとは思わないんですか?」
師匠は可愛く首を曲げ、不思議そうに私を見つめてくる。
性別が一応、女である私でさえ惚れてしまいそうだ。
じゃなくて!
師匠ならもっとまともな案を出してくれるのかと思っていたのに、ここに来たのが無駄足になってしまう。
「私的には一番穏便なんだけどな~」
ほわほわーんとした緩い声のトーンで師匠は答えた。
血祭りにあげるのが一番平和的って、元ヤンか何かですか。
最近、馬鹿みたい感想しか出てこないのには理由があって欲しいと思う今日この頃。
そんなこんなで一人で頭を掻き回していると、キッチンにいたアルフレッドさんが料理を持って戻ってきた。
「飯できたぞ」
イイ香りとともに運ばれてきた料理は、私が見たこともないようなものばかりだった。
「毒キノコのソテーに毒魚の塩焼き、毒牛のステーキ赤ワイン煮だ」
あまりの輝きに手を伸ばしかけていた矢先、アルフレッドさんからの料理の説明があった。
オシャレな名前の料理ばかりでとっても美味しそう。
「じゃねーよ! 毒が食べられるのは悪魔のあなたと無限治癒魔法の師匠だけですから」
目の前に美味しそうな料理があるというのに、食べたら死ぬ、とかどこの拷問ですか。
私は人間に近い魔物なので、身体の作りは、さして変わらない。
師匠は私の嘆きが聞こえないのか、料理を口に運び、感嘆の声を漏らしていた。
裏山けしからん。
「くっ…殺せ」
「それは違う意味になるだろ」
アルフレッドさんからの的確なツッコミを受けた私は、一人食卓から追放されたニートのように部屋の隅で木の実を食べていた。
「ナノちゃーん! 美味しいわよ、これ」
故意ではないことは分かっている、なのに、なのに、殺意が湧くのは何故なのでしょう。
顔近くに近づけられたそれは、私の理性を簡単に壊してしまったのです。
「ええい、ままよっ!」
口に広がる芳醇な香り、私は今、天国にでもいるのでしょうか。
「こんな美味しい料理食べ…ぐっ」
バタッ
おかしいですね。
ここは魔界なのに天使族の姿が見えます。
「リザレクション!」
遠くから聞こえたその声が、今はとても近く聞こえた。
「ねっ、美味しかったでしょう」
「は…はいっ」
師匠は良い意味でも悪い意味でも天然である。
旦那の料理を食べさせるために弟子を殺すとか、サイコパスですか。
「ご馳走様でしたぁぁ~!」
あれっ、デジャヴ。
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