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メインストーリー
18.師匠は常に一途です
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今日はやる気が出ないので、ずっと考えていた師匠に会うことにした。
師匠は私とは似ても似つかない性格をしている。
唯一似ているところと言えば、自由奔放でいたいが、苦労しているというところだろうか。
師匠が住んでいるのは迷宮の森という一度入ると生きて帰ってこれないと言われている場所だ。
「テレポート」
まあ、私からしたらそんなことは関係なく、師匠の家に到着なんですけどね。
【不死身の魔女ノーム】なんて言われている師匠ですが、デタラメな魔力で作り出したマジックのようなものです。
一言で言ってしまえば、自分に永久的に回復系の魔法を付与しているのです。
自動回復に通常の回復魔法、状態異常回復魔法、蘇生魔法、これらを常に自分に付与し続けている。
これは流石に、私の魔力量でもカバーしきれません。
適当に説明をしていると、師匠の家の前についていました。
怪しい館を期待している方には申し訳ありませんが、こじんまりとしていて可愛いお家です。
「シショ~! 愛弟子のお帰りですよー」
扉をノックしながら、大きい声で叫んだ。
きっと、泣きながら私の訪問を喜んでくれるはず。
私の予想に反して、師匠は野獣の如く勢いで扉をぶち壊して、私の首元にナイフを当ててきた。
「アルフレッドォォ! 最後に一言ぐらい弁明させてやるよ」
「ひっ! し、ししょー! 私ですよ、ナノですぅ~!」
アルフレッドというのは、師匠の婚約相手で、浮気性な悪魔族の男だ。
師匠が本気で怒ると、少し前に説明した回復系の魔法の付与だけでなく、肉体強化や、武器強化までもが自動で付与される。
「ナノ? ……あら! ナノちゃんじゃない、久しぶり~」
ようやく私がアルフレッドではないと気づいた師匠が、嬉しそうに私の顔を見つめた。
「あらあら、だいぶ背が伸びたわね。小さい頃とは違って、オトナの魅力も出てきたわ」
「ししょー! 本当にお久しぶりです」
師匠と会うのは数年振りになる。
見ての通り、怒りさえしなければとても優しい人だ。
アルフレッドさんには、そろそろノームさん一筋で生きていってほしいものだ
「ごめんなさいね、アルがまだ他の女とね…」
今にも泣いてしまいそうな師匠を私は必死になだめた。
こんな健気な彼女が恐れられている理由、この森が迷宮の森と言われている理由をそろそろ話しておこう。
この森に入ったものは二度と出れないというのは真っ赤な嘘だ。
師匠は、この森に入った人間を魔法で眠らせ、嘘の記憶を植え付けた。
そして、森に入った人間は自分が森に入ったことなど忘れ、あの森が恐ろしいものだと、なぜか思い出す。
そして、その噂は種のように広がり、根付き、迷宮の森が完成するということだ。
「ちょっと待ってくれノーム」
師匠がやっと落ち着いてきたのに、アルフレッドさんが現れた。
「彼女は違うんだ!」
「あら、アル。私ってば森に篭ってるせいか何が違うかわからないわ」
師匠のただでさえ莫大な魔力が、さらに倍増した。
これはもう、私でもアルフレッドさんを助けられない。
「これ」
アルフレッドさんは持っていた小さな箱を開け、彼女に差し出した。
「お前と結婚したときは、俺ってまだ下っ端で金がなくて指輪買えなかっただろ」
なんなんだこの甘い展開は、私はこんなところに来て、感動的シーンを見せられてしまうとでも言うのか。
「上級悪魔になった今ならって、仲間のセンスいい奴と選びに行ったんだ。たまたまそいつが女だっただけなんだ」
「今日は確か…結婚記念日だったわね。ありがとう、アル」
二人はゆっくりとハグをして、泣いたり、笑ったりしていた。
「えっと、あの…その、ご馳走様でしたぁぁぁ!」
師匠は私とは似ても似つかない性格をしている。
唯一似ているところと言えば、自由奔放でいたいが、苦労しているというところだろうか。
師匠が住んでいるのは迷宮の森という一度入ると生きて帰ってこれないと言われている場所だ。
「テレポート」
まあ、私からしたらそんなことは関係なく、師匠の家に到着なんですけどね。
【不死身の魔女ノーム】なんて言われている師匠ですが、デタラメな魔力で作り出したマジックのようなものです。
一言で言ってしまえば、自分に永久的に回復系の魔法を付与しているのです。
自動回復に通常の回復魔法、状態異常回復魔法、蘇生魔法、これらを常に自分に付与し続けている。
これは流石に、私の魔力量でもカバーしきれません。
適当に説明をしていると、師匠の家の前についていました。
怪しい館を期待している方には申し訳ありませんが、こじんまりとしていて可愛いお家です。
「シショ~! 愛弟子のお帰りですよー」
扉をノックしながら、大きい声で叫んだ。
きっと、泣きながら私の訪問を喜んでくれるはず。
私の予想に反して、師匠は野獣の如く勢いで扉をぶち壊して、私の首元にナイフを当ててきた。
「アルフレッドォォ! 最後に一言ぐらい弁明させてやるよ」
「ひっ! し、ししょー! 私ですよ、ナノですぅ~!」
アルフレッドというのは、師匠の婚約相手で、浮気性な悪魔族の男だ。
師匠が本気で怒ると、少し前に説明した回復系の魔法の付与だけでなく、肉体強化や、武器強化までもが自動で付与される。
「ナノ? ……あら! ナノちゃんじゃない、久しぶり~」
ようやく私がアルフレッドではないと気づいた師匠が、嬉しそうに私の顔を見つめた。
「あらあら、だいぶ背が伸びたわね。小さい頃とは違って、オトナの魅力も出てきたわ」
「ししょー! 本当にお久しぶりです」
師匠と会うのは数年振りになる。
見ての通り、怒りさえしなければとても優しい人だ。
アルフレッドさんには、そろそろノームさん一筋で生きていってほしいものだ
「ごめんなさいね、アルがまだ他の女とね…」
今にも泣いてしまいそうな師匠を私は必死になだめた。
こんな健気な彼女が恐れられている理由、この森が迷宮の森と言われている理由をそろそろ話しておこう。
この森に入ったものは二度と出れないというのは真っ赤な嘘だ。
師匠は、この森に入った人間を魔法で眠らせ、嘘の記憶を植え付けた。
そして、森に入った人間は自分が森に入ったことなど忘れ、あの森が恐ろしいものだと、なぜか思い出す。
そして、その噂は種のように広がり、根付き、迷宮の森が完成するということだ。
「ちょっと待ってくれノーム」
師匠がやっと落ち着いてきたのに、アルフレッドさんが現れた。
「彼女は違うんだ!」
「あら、アル。私ってば森に篭ってるせいか何が違うかわからないわ」
師匠のただでさえ莫大な魔力が、さらに倍増した。
これはもう、私でもアルフレッドさんを助けられない。
「これ」
アルフレッドさんは持っていた小さな箱を開け、彼女に差し出した。
「お前と結婚したときは、俺ってまだ下っ端で金がなくて指輪買えなかっただろ」
なんなんだこの甘い展開は、私はこんなところに来て、感動的シーンを見せられてしまうとでも言うのか。
「上級悪魔になった今ならって、仲間のセンスいい奴と選びに行ったんだ。たまたまそいつが女だっただけなんだ」
「今日は確か…結婚記念日だったわね。ありがとう、アル」
二人はゆっくりとハグをして、泣いたり、笑ったりしていた。
「えっと、あの…その、ご馳走様でしたぁぁぁ!」
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