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1‐1:御浪荘
じゅうに
しおりを挟むあの時は緊張していたのもあり、特に気に止めることもなかったが、確かに今と同じように電気のようなものが走った。
今日は乾燥しているわけでもないのに……。なんでだろう。
羽奈は小さく首を傾げた。
もともと帯電しにくい体質なのか、冬でも静電気で痛い思いをしたことがほとんどないのだが、なんとなく違和感がある。
ぱちん、と電気が走るような感覚だったから静電気かと思ったが、よく考えたら何か違うような気がしてきた。
それが何かわからず、きゅっと眉を寄せた羽奈だったが、ドアを開けて家のなかを見た瞬間、考えていたことが吹き飛んだ。
「わぁ……!」
すごくきれいだった。
柔らかな白い壁に、やさしい色合いの木目の廊下。天井には3つのお花の形の照明が取り付けられており、玄関の横に設置されたシューズボックスは大きく、収納性の高さがうかがえる。
そして、シューズボックスの上に置かれたピンクの可愛らしい花が、羽奈を優しく迎え入れてくれた。
羽奈はカギを閉め、パンプスを揃えて脱ぐと、玄関に一番近いドアを開けた。
「あ、トイレだ」
ゆったりとした空間には、洗面台と収納棚が設置されている。
次にトイレの隣のドアを開けると、そこは脱衣室と浴室だった。
広めの脱衣室は洗濯機がすでに設置されており、その横には乾燥機まで置いてあった。
「すごい。かごまで置いてある」
2段の棚に納まった4つのおしゃれなかごを見て、羽奈は目を丸くした。
さらに正面には楕円形の鏡が、その下の洗面台はセンサー式で、扉つきの棚は横に長く収納性が高い。
浴室のドアを開ければ、足を伸ばして座っても余裕があるくらい大きなバスタブと、壁には全身鏡が嵌め込まれていた。
脱衣室から出て玄関の正面のドアを開けると、そこは予想通りリビングだった。
リビングにはローテーブルと2人掛け用のソファ、32V型のテレビが置いてあり、左側はキッチンになっていた。
課長に渡された資料で見た通り、キッチンスペースは広く、L型のシステムキッチンが設置されていた。調理台は広く、ガスコンロではなくIHクッキングヒーターが搭載されている。
そして、冷蔵庫に電子レンジ。棚には最低限の調理器具に食器が収納されていた。
「すごい……。至れり尽くせりだ」
採用が決まってから渡された引っ越しに関する書類には、生活するのに必要最低限の物は揃っている、と書いてあったが、まさかここまでとは思わなかった。
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