ダンジョンコアの始まり

Teruru52

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次の日の朝、また昨日と同じように僕が助けてあげた人達が逃げて行った方へ走っていると、突然に人の悲鳴が聴こえてきた。


「魔物に襲われてるのかなっ?助けたら早く人里を見つけられそうだぞ!」


急いで声の聞こえた方へ向かうと、街道を見つけた。
どうやら相手は魔物ではなくて同じ人のようだ。


「盗賊か・・・。なんで人間同士で奪い合うんだ?」


アハヴァー様の言った通り、この世界の人は愚かみたいだ。こんなに自然もあるし魔物もいるんだから、生活には困らないだろうに・・・。

襲われている人達は見える範囲には6人、道の真ん中にある馬車の中にもまだ人がいるかもしれない。
対する盗賊の数は15人、やられるのもこのままじゃ時間の問題だろう。

子犬の姿で助けに入ったら、勝てるとは思うんだけど受け入れてもらえるかなぁ?
バレないところから魔法で仕留めた方が良い気がする。

手遅れになる前にと、5匹の僕を分身で作って散らばらせ、急いで近くにあった木に登って、そこから目には見えないように風属性魔法を使って風の刃を盗賊たちへ飛ばす。


「ぐあっ!」
「なんだっ!?どこから攻撃されてる!?」
「敵の姿が見えないぞ!ぎゃぁ!」
「いろんな方向から攻撃が来るぞ!これじゃかわしきれない!」


散らばった僕の分身達は上手いこと茂みの中から風魔法を放って、相手に気づかれるよりも先に仕留めていく。
突然の事に馬車を囲んで応戦していた人達が何もできずにいるうちに盗賊たちを全滅させることに成功した。


「どうなってんだ!?」
「わからんが俺たちには攻撃は来なかったな、相手の狙いも分からんから、今のうちに逃げよう!」
「そうしよう!」


どうやら今の内に引き上げることにしたようで、馬車を囲んでいた人達は馬車に乗り込んでいく。
多分走り出しても追いかけられる自信はあるけど、しんどいだろうしバレないように張り付いてしまおう。

ちょうど体も分裂のおかげで小さくなっていたので、木の上から大きくジャンプして馬車の上にあまり音を立てないように着地する。
こういうときは軽いスライムで良かったなと思うね。

多分護衛?の人達が乗り込み終わるとすぐに馬車は走り出した。



そのまま馬車は日が暮れる前まで走り続けたあと、街道を少し逸れた広まった場所で止まった。


「なんとかなってほんとによかったな。でもいきなり盗賊だけ殺してくれたのは何だったんだろう?」
「俺たちには何もなかったしもしかしたら精霊様じゃないか?」
「そんな訳はないだろう、精霊なんておとぎ話じゃあるまいし。」

出てきた人達はそんなことを話しながら野営の準備を始める。

今のうちだなと思って、僕はずっと後ろから追いかけていた分身達を馬車から降りて少し離れたところで自分の体に戻した。


「うおっ!すごい力が溢れて来る!」


人を倒すと得られる力はこうも違うのか。というより森で倒してきた魔物たちは弱いのばっかりだったからたくさん入るのは当たり前か。

ステータスを確認してみると、


ーーーーーーーーーーーーー

ハティ

ステータス

HP      750
MP      500
STR     350
VIT     230
INT     180
DEX     200
AGI     220

スキル

吸収
分裂
繁殖
火属性魔法  Lv7
風属性魔法  Lv7
水属性魔法  Lv6
土属性魔法      Lv4
雷属性魔法      Lv1
光属性魔法      Lv1
無属性魔法      Lv2
消化速度up     LvMAX
形態変化       LvMAX
超硬化    Lv1
気配察知         Lv2
擬態               Lv2
鑑定               Lv1

ユニークスキル

慈愛

ーーーーーーーーーーーーー


今までの努力はなんだったんだろう、ってくらいステータスが上がってる。2ヶ月頑張ってきた分が今日一回の戦闘で覆されるなんて・・・。

でもそんなことより、倒した盗賊たちの中に、ずっと欲しかった鑑定持ちがいたみたいだ。これで戦う前に相手のステータスをチェックできるな!
その他にも雷属性魔法と無属性魔法を手に入れたみたいだ。
雷属性は分かるとして、無属性ってなんだ?

さっそく手に入れた鑑定を使ってみよう。

無属性魔法
火や水などといった、属性を持たない魔力を純粋にそのまま扱う魔法。

魔力をそのまま扱うってどういうことなんだ?
説明が短いのは鑑定のスキルレベルが低いからかな?

とりあえず実験は後回しにして、なんとか野営の準備が整って夕食を始めた人達に受け入れてもらえないか頑張ってみよう。

食べている人達を見ると、盗賊に襲われていたときは馬車の中にいたのであろう恰幅の良い中年の男性とまだ10歳にはなってなさそうな女の子がいる。

女の子だったら子犬を見たら飼いたがってくれるかもしれないな。
そう思って子犬の姿に擬態して少し離れた暗がりから可愛い?声で小さく鳴いてみる。


「クゥーン」

「っ!旦那様、下がっててください!フォレストウルフの子供かもしれねぇ!」
「もしそうだとしたら親や他の大人のウルフたちが近くに群れてるかもしれねぇ、やべえぞ!」

護衛の人達が慌ただしく中年の男性と少女を守るように円を描いて僕の方辺りを睨め付ける。
森の中で犬の鳴き声なんか聞いたらそうなるか、どうしよう・・・。
このままじゃラチが開かないし、相手の見えるとこまで出てみよう。

ということで恐る恐る、火の明かりの届くところまでゆっくり進んでみる。


「・・・なんだ、あれはフォレストウルフじゃねえな。ただの子犬だ。」
「確かに、耳の形も毛の色もフォレストウルフとは違うな。気が気じゃなかったぜ。」
「旦那様、安心してください、魔物ではなかったので大丈夫です。」

護衛の1人がそう言うと、他の護衛の者たちも円陣を解いて食事を再開する。
すると怯えて男性の後ろに隠れていた少女が僕のところへ駆けてきた。

「わぁっ!このわんちゃんすっごく可愛い!お父さん、ちゃんと面倒見るから一緒に連れて行っちゃダメ?こんなとこに放って行ったらそのうち他の魔物に食べられちゃうよ。」

そういうと父親の男性は少し考える仕草をした後に

「うーん、ちゃんと面倒見れるならいいよ。」

と許可してくれた。

「わーい!お父さんありがと!わんちゃんよろしくね、大事にするからね!」
「飼ってあげるからには名前をつけてあげないとな。シルビア、名前は何がいいと思う?」
「うーんとね・・・。真っ白な毛が可愛いからシロにする!それでいいよね、シロ?」

「ワンッ!」

どうやら僕の名前はシロになったらしい。すごく優しそうな人達だし、この子のもとでしばらくはお世話になってもいいかもしれない。
警戒されたときはダメかと思ったけど、上手くいってよかったな。

僕はシルビアに抱き上げられて、その後ミルクをもらい、みんなが食事を終えた後はシルビアとお父さんのテントに一緒に入って寝た。


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