4 / 11
04
しおりを挟む
王太子妃の補佐にするという提案も、わたしへの嫌がらせに思いついたのだろう。
修道院に入ったと知れば、イーサン殿下も満足するはず。令嬢の墓場なんて言われている場所だもの。
わたしは修道院に運び込む荷物を見て頷いた。
準備は完璧よ。
特注品のベッドも持ち込んだのだ。完璧ではないわけがない。
「ようこそお越しくださいました。ミランダ・オロレイン公爵令嬢」
「今日からよろしくお願いしますね」
「こ、こちらの荷物は?」
「わたしの荷物です。これが入る陽当たりのいい部屋をよろしくお願いしますね」
わたしはにこりと笑った。
こういうのは最初が肝心よ。有無は言わせない。
だって、わたしはここに反省しに来たわけではないのだから。
執事がにこにこと笑顔で金貨がたんまり入った袋を渡す。
賄賂。これが一番だということは、いつもグータラしているわたしにもわかる。
幸い、オロレインは裕福で金はばらまくほどあった。
わたしが快適に暮らすための賄賂くらいいくらでも用意するわ。……、まあ、もちろん後々回収させてもらうつもりだけど。
修道女はべたついた笑みを浮かべる。
「そういえば、とても陽当たりがよくて広いお部屋が一つあいておりました。そちらをミランダ様にご用意しましょう」
「あら。助かるわ」
「ご案内します」
わたしはここまで荷物を運ぶためについて来た使用人に指示を出し、案内された部屋にすべての荷物を入れた。
石造りの修道院は室内も肌寒かった。
夏とは思えない気温だわ。冬になったらどれほど寒いだろうか。
もっと暖を取るためのアイテムが必要そう。
お父様にお願いすればすぐに届けてもらえるけど、毎回それを続けるのは無理があるわよね。
もう少し自給自足できるようにならないと。
快適のためなら、努力を惜しまない。それが、わたしだもの。
わたしは案内された部屋を見て、頷いた。
「悪くないわね」
わたしの部屋には広さは劣るけれど、最上階のこの部屋はとても見晴らしがいい。
気に入った。
最高級の寝具も持ち込んだ。
ここをわたしの楽園にするわ。
「あなたの部屋もいい部屋にしてもらったから安心ね」
「私にまで気遣いいただきありがとうございます」
「いいのよ。わたしのものは大切にする主義なの」
わたしのために働いてくれる人はみんな宝物よ。グータラするには何よりも人が財産になる。わたしだけでは百時間かかる仕事も最高の人材がいれば、最小限で済むもの。
「これからいかがなさいますか?」
「まずは手紙を書くわ」
わたしが言うやいなや、執事はささっとレターセットを用意した。そして「紅茶を入れてまいります」と言って、去っていく。
修道院に入ったと知れば、イーサン殿下も満足するはず。令嬢の墓場なんて言われている場所だもの。
わたしは修道院に運び込む荷物を見て頷いた。
準備は完璧よ。
特注品のベッドも持ち込んだのだ。完璧ではないわけがない。
「ようこそお越しくださいました。ミランダ・オロレイン公爵令嬢」
「今日からよろしくお願いしますね」
「こ、こちらの荷物は?」
「わたしの荷物です。これが入る陽当たりのいい部屋をよろしくお願いしますね」
わたしはにこりと笑った。
こういうのは最初が肝心よ。有無は言わせない。
だって、わたしはここに反省しに来たわけではないのだから。
執事がにこにこと笑顔で金貨がたんまり入った袋を渡す。
賄賂。これが一番だということは、いつもグータラしているわたしにもわかる。
幸い、オロレインは裕福で金はばらまくほどあった。
わたしが快適に暮らすための賄賂くらいいくらでも用意するわ。……、まあ、もちろん後々回収させてもらうつもりだけど。
修道女はべたついた笑みを浮かべる。
「そういえば、とても陽当たりがよくて広いお部屋が一つあいておりました。そちらをミランダ様にご用意しましょう」
「あら。助かるわ」
「ご案内します」
わたしはここまで荷物を運ぶためについて来た使用人に指示を出し、案内された部屋にすべての荷物を入れた。
石造りの修道院は室内も肌寒かった。
夏とは思えない気温だわ。冬になったらどれほど寒いだろうか。
もっと暖を取るためのアイテムが必要そう。
お父様にお願いすればすぐに届けてもらえるけど、毎回それを続けるのは無理があるわよね。
もう少し自給自足できるようにならないと。
快適のためなら、努力を惜しまない。それが、わたしだもの。
わたしは案内された部屋を見て、頷いた。
「悪くないわね」
わたしの部屋には広さは劣るけれど、最上階のこの部屋はとても見晴らしがいい。
気に入った。
最高級の寝具も持ち込んだ。
ここをわたしの楽園にするわ。
「あなたの部屋もいい部屋にしてもらったから安心ね」
「私にまで気遣いいただきありがとうございます」
「いいのよ。わたしのものは大切にする主義なの」
わたしのために働いてくれる人はみんな宝物よ。グータラするには何よりも人が財産になる。わたしだけでは百時間かかる仕事も最高の人材がいれば、最小限で済むもの。
「これからいかがなさいますか?」
「まずは手紙を書くわ」
わたしが言うやいなや、執事はささっとレターセットを用意した。そして「紅茶を入れてまいります」と言って、去っていく。
47
あなたにおすすめの小説
薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される
あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた……
けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。
目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。
「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」
茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。
執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。
一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。
「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」
正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。
平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。
最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます
由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。
だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。
そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。
二度目の人生。
沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。
ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。
「今世は静かに生きられればそれでいい」
そう思っていたのに――
奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。
さらにある日。
皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。
「沈薬は俺の妃だった」
だが沈薬は微笑んで言う。
「殿下、私は静王妃です」
今の関係は――
皇叔母様。
前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。
それを静かに守る静王。
宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる