唯一の魔法使い3

u2death

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ゼロの時間、某月13日

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これはゼロの時間の物語。
時をさかのぼる。
全ての魔法少女の物語が始まる前。


目玉「車が止まったな。」
大きなサービスエリアに止まった。
彼らは人の車にこっそりと、勝手に乗っていた。

東名高速を行く車なら、なんでもよかった。
上手く乗り継げば東京へと向かうだろう。

猫「いい加減、気持ち悪くなってきた。少し休憩して行こうぜ。」

妖精「東京までまだ大分ありそうね。確かにうんざりしたわ」

目玉「まあ、ドイツからはるばる来たわけだからな。
誰かさんのせいで」

猫「仕方ねえだろ」

妖精「なんて言ったからしら、OSAKA?
SUZUKA、NAGOYA?
駄目だったわね。
あと何回魔法使えるかしら。」

目玉「SUZUKAは田舎びた町だった。
あそこで魔法を使ったのはどう考えても間違いだったぞ、猫?」

猫が体を伸ばしている。
猫「聞こえないにゃーん。
おいらは気ままな猫さんにゃーん」

妖精「その姿、結構気に入ってるのね。
まあドイツでも色々あったものね。
あなたって意外と人情に弱いのよね。。」

猫「な!誰がだよ!
すぐやめる!
俺は本当は地獄の番犬とか、ベヒーモスがイメージだったんだぜ!」

妖精「ハイハイ、強がらない。
お似合いよ。気まぐれな猫ちゃん。」

目玉「心に魔法の種を持った清らかな乙女は、
百万人に一人とかの確率だ。
この程度の確率で、探知魔法だと言うのだから、片腹が痛いが。
仮にいたとしても、見つけるのは結局目視だ。
至難の業だ。
魔力の弱った我々では、
もう首都に賭けるしかあるまい。」

花火が一発上がった。
「!」

目玉「猫?!」
妖精「バカ。。」

赤い光が夜空を照らす。

猫「使っちゃった。。てへっ♥」

目玉「こんな中途半端な場所で使ってどうするんだ!」

探知魔法をまた一発、消費してしまった。

妖精「くっ、使っちゃったものは仕方がないわ。
マリア、どう?」

妖精「あなたが一番魔力が残っているはずよ」

目玉「居るわけないだろう、まだ東京から50キロ以上離れているぞ。
周囲には田畑が広がっていて、人口密集地と呼ぶには。。」

マリア「いる」

「!」

猫「まじか!」

マリア「いそう」
ニュアンスが弱まった。

マリア「いるかも」

マリア「いたらいいな」
妖精「どんどん弱気になってるけど。」

妖精「どっち?!どっちの方角?!」

マリアは北東を指さす。
雨が降り始めている。

猫「この天気じゃあんまり行きたくねえなあ。。
俺、今飛べないし。」

目玉「お前が魔法使っちゃったんだろうが!」

妖精「北東だって!行くわよ!
マリアは飛ばないで。
魔力の消費が大きい。」

妖精「猫と一緒に近所を探して!」

---

カッパをきて歩いてきたマリアと猫。
マリア「小学校」
安土市立草園  そうえん小学校。

子供がわらわら出てきた。
どうやら下校時間の様だ。
都合がいい。
この中に種を持った乙女がいるだろうか。

俺とマリアは近くの公園で小学生たちを眺めた。
俺はこの身体が濡れるのが非常に不快なので、
遊具の陰で雨をしのぐ。
しのぎ切れていないが。

マリアはレインコートを着て、少し離れている。
マリアが近すぎると子供たちが警戒するかも知れない。
猫である俺に子供がよってこないと困る。
子供が俺に近づいたら、種があるかどうかを、俺とマリアで確認する。

雨が強くなってきた。
傘をさした子供たちは足早に家に帰る。

猫「いるか?」
マリア「わからない。足が速すぎる。
せめてもっとゆっくり歩いてくれれば。」

クソッ、なんだってこんな天気が悪いんだ!
ついてないぜ!

晴れていれば俺様の愛らしい肢体で小学生どもを魅了して近づけたものを。


「。。猫ちゃん?
大丈夫?どうしたの?」

お、誰かきた!
うわ、なんだこいつ!

「あーあ。。」
ため息をついている。

そこには雨でぐっしょり濡れた少女が立っていた。
長い髪が完全に濡れている。
なんで急いで帰らないのか。
服も完全にびちょびちょだ。

変な奴だ。。
お前の方こそ大丈夫か?!

「なんでわたしはいつも傘を忘れちゃうんだろう。。
ばかだなあ。。」

自分で自分に喋っている。

悲しそうな瞳。
なんか学校であったのか?

猫(マリア、どうだ、こいつ?)
マリア(違うみたい)

そうか。。
風邪ひくぜ、早く帰れよ女子よ。

「危ない!」
-----
俺は気を失った。
気が付くと、別の場所にいた。
室内だ。
経緯はわからないが、捕獲されたようだ。

何が起きたのかはわからない。

足が痛い。
何か怪我をして、連れてこられたようだ。

「起きた?大丈夫?」
ずぶ濡れだった少女だ。
今はすっかり乾いている。

こいつは「違う」とマリアが言っていたな。
悪いが早く行かなければ。

(いたたたた)

「駄目だよ、無理しちゃ。」

探知魔法が消えてしまう。
早く探さなければ。

「ほら、お食べ」

腹が。。減った!

え!
なにこれ!
うめえ!

「レタスだよ、気に入った?よかった。」

レタスうまい。
レタスうまい。

「いい子だよー。今日からお前はレタスだよー」
にゃーん
------

にゃーんじゃねえ!
こんなところで油売ってる時間はねえ!

俺は急いで美味いレタスを喰った。
腹が膨れたので急いで眠りについた。
急がねば!

小一時間、急いで寝たので、急いで目を覚ました!
サボってないよ?(笑)
急いでるよ!

おーい、
現場のマリアさーん、そっちはどうなってる?

マリア(駄目。妖精も目玉も、
種の保有者を見つけられないみたい)

マリアがどこにいるのかはわからないが、
小魔法で、マリアの声が聞こえる。


失敗か。
やはり首都まで行かないと駄目か。

では、あばよ!
親切なロンゲ!

俺は隙を見て家を抜け出した。
これ以上はのんびりしていられない。

まだ雨が降っている。

いたたた。
足痛  あしいた。。

濡れるのは最悪だが、やむを得ない。

そういえば、さっきまで身体は乾いてたな。
サラッとして快適だった。

あいつ、乾かしてくれたのか。。
ありがとよ!

さて、この足では歩けない。
仲間を呼んで、サービスエリアから首都を目指さなければ。

「どこ行ったのー!」

ヤバい!

「レタスー!」

もたもたしてたら気づかれた。
俺は物陰に隠れた。
女子が家から飛び出してきた。

なんだ、あの女!

なんで傘をささないのか!
イギリス人か?


「レタスー!どこいったのー!」
最初に見たのと同じ、悲しい瞳。

。。。


「レタスー!危ないよー!レタスー」

。。。

マリア(その娘、そうかもしれない)

猫(まじか!さっきお前違うって言ったじゃん!)

マリア(即答を求められても困る。まだよくわからない)

。。。



マリア(どうするの、あの子。泣いてるけど)

。。。

どうするって。。





「にゃーん」

---

猫「ここで始めようと思う」

妖精「え?!東京に行くんじゃなかったの!?」
猫「とりあえず首都と言っただけだ。」

目玉「理由は?
随分、世界中回ってきたが。
ここにする理由は?
この場所が一番適しているとは思えない。」

妖精「そうね、ここよりもっと東京に近い方が、
可能性は絶対に高いんじゃないかしら。
人口密度が違うわよ?」

猫「一番じゃなきゃ駄目なのか?
俺はここがいい。ここが気に入った。
もちろんそれは俺の勝手な意見だ。
だからお前たちの考えを聞きたい」

猫「種の保有者を見つけたんだ」

目玉「なんだって?!猫?」
妖精「それを先に言いなさいよ!」

マリア「嘘。見つけてない。」

目玉「どっちなんだ?」

マリア「一人見つけたけど、可能性は低い。
あの程度の素養の持ち主は、OSAKAなら幾らでもいた」

妖精「なあーんだ。駄目じゃない。
東京よ、東京」

猫「俺はかおりとやってみたい。
かおりには、何かを感じるんだ。」

妖精「なんなのよ、名前まで知ってるの?!
無駄に深入りして!
馬鹿じゃないの?」

猫「頼むよ。
あいつは、いい奴なんだ。。」

妖精「はあー?!
友達を探してるんじゃないでしょうが!
私たちの目的を忘れたの!
それとももう、全部諦めるって言うの?!」


目玉「マリア、どうだ。未来は見えるか?」
マリア「。。あまり見えない」

妖精「駄目よ、さっさと行きましょう!」

マリア「でも未来につなげることはできる」

妖精「無理よ、止めましょう」

目玉「妖精よ、確かにお前が言うように、我々は友達を探しに来た訳ではない。
だが、種の持ち主と、深い信頼関係を築かなければ、目的を達する事はできない。
その意味で、これは悪手ではない」

猫「!」

目玉「妖精よ」

妖精「しょうがないわねー。
絶対東京の方がレベルが高くて可愛くて賢い
私好みの娘がいるのに。。
なんだってこんな中途半端な場所で。。」

猫「すまん」


猫は記憶を失う前に、自分の魔法書に呪文を刻んだ。
妖精「あんたの最初の魔法、それにするの?」
猫「あいつの心の声を聞いた。
これでやろう。」

妖精「der begleiter?freundじゃなくて?」
猫「ドイツで、色々あってね」

目玉「では、始めよう、マリア!」

妖精「世界の調和が新しい時間を作りだす。
その為の忘却、その為の原初の魔法を!」

マリア「原初の開始魔法を始めます。
世界を再構築します。
世界の記憶は操作され、原初の時が始まります」

マリア「原初へ!」
魔法少女の物語の、最初のページが開かれた。
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