涙する太陽

暁色の桜

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日課③

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 賛成してもらえなかった腹立たしさや、悲しさは生まれなかった。生じたのは父を裏切ることの申し訳なさだけで、父に認めてもらえるなんて、これっぽっちも思っていなかった。
「父さん……、俺はどうしても野球がやりたいんです」
 父に反対されて、簡単に諦める程度の弱い意志で挑んじゃいなかった。もう既に気持ちは固まっていた。親の反対を押し切って結婚するのは、こういう気持ちなのかもしれない。
 父が自分を見る。何も言わないが、目線を逸らしてはいけないのだと悟り、俺も父の目を真っ直ぐに見つめた。父は無表情のままだった。しかし不思議と、父の悲しみが伝わってくるようだった。
「お前は父さんの誇りだ」
 昔に一度、俺がある剣道の試合で優勝した時に、喜ぶ父が俺に言った。俺も、父の期待を背負うことは満更でもなかったし、誰かに期待されることに悪い気はしなかった。
 今さらながら、父を裏切ることの罪悪感が、凄まじいものであることに気付かされた。父の期待を背負うということが、どれだけ重いのかを知った。ただの一言二言の会話を交わしただけで断ち切れるようなものではなかった。俺の考えが甘すぎた。

 あれが、どういう終わりを迎えたのか記憶にない。忘れようと何度も試みた結果、本当に記憶から消えてしまった。分かっていることは、あれをきっかけに、父との会話が極端に減ったことだ。
 バットのグリップを握り直す。思い出したくない過去を頭から振り払うために、思い切りの素振りを試みる。しかし突如、遠くで俺を呼ぶ声がしてその機会を失った。きっとあの声は、俺に似ても似つかない、二つ年下の妹の声だ。
 空を見上げる。そこには大きく欠けた月が浮かんでいた。欠けてもやがて元に戻る月が、俺には堪らないほどに羨ましかった。
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