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あの騒動が起きてから三日が経った。
最初こそまた引き留められるのではと心配していたのだが、彼の諦めが良かったのか、それとも別の要因なのかは分からないが話しかけて来る事はほとんど無くなった。
しかし、あの日はあれだけ必死に引き留めようとしてきた人が一切行動を起こして来ないのは少し不穏に感じられて、私の中ではまだ警戒が続いていたりする。
「お嬢様、到着しましたよ」
ぼーっとしている所にルドルフの声が馬車の中に響き、ハッとしながら窓の外に目を向けると、彼の言った通り学園の校門がすぐそこにあった。
私はルドルフに返事をしながら馬車を降りると、校門の前でこちらをじいっと見つめているクラーラらしき姿が見え、慌ててルドルフを振り返る。
「それじゃあ、行ってくるね。また後で」
「はい、お気をつけて」
そう言って優美な一礼を見せたルドルフは御者席へと戻り、私はクラーラがいる方へ小走りで向かう。
「おはようございます。昨日出された課題、終わりました?」
「終わったけど分からないところの方が多かったんだよね」
「私もなんです……エルケに頼ってみます?」
「あの子は尚更出来なさそうだけど……」
私はそう言いながらも、もしかしたらと言う期待が募る。
あの子は勉強をしないだけでやったらそれなりに出来る子だ。何かの偶然でも課題に取り組んでいれば、きっと課題も全て熟してくれるだろう。
そんな期待をしていると前の方を柄の悪い友人らと歩くフロイデンの姿が見えてしまい、私はクラーラの手を引いて少し歩く速度を落とすように合図する。
彼女はそれでどういうことなのか察してくれたようで、歩く速度を私に合わせてくれた。
「タイミング最悪でしたね。今度からもう少し遅めにした方が良いかもしれないです」
「そうだね。私も同じ事考えてた」
時間に余裕をもって学園に来ているが、もう少し遅くした方が良いかもしれない。
と、フロイデンと一緒に歩いている男の一人がこちらを振り返り――ハッとしたような顔をしてフロイデンに何かを言った。
何となく嫌な予感がしているとフロイデンもこちらを振り返ったのが見えて、私は慌てて顔を伏せる。
しかし、そんな行動は手遅れだったらしく、人混みを掻き分けてこちらへ近付いて来るのが分かり、観念して顔を上げると。
「今から話がある。付いて来い」
「いやです」
「断るならそれでもいい。結局困るのはお前の家だからな」
「……どういうことです?」
嫌な予感は大的中していたらしく、性格の悪そうな笑みを浮かべるフロイデンが、今は悪魔のように見えて来たのは言うまでもない。
最初こそまた引き留められるのではと心配していたのだが、彼の諦めが良かったのか、それとも別の要因なのかは分からないが話しかけて来る事はほとんど無くなった。
しかし、あの日はあれだけ必死に引き留めようとしてきた人が一切行動を起こして来ないのは少し不穏に感じられて、私の中ではまだ警戒が続いていたりする。
「お嬢様、到着しましたよ」
ぼーっとしている所にルドルフの声が馬車の中に響き、ハッとしながら窓の外に目を向けると、彼の言った通り学園の校門がすぐそこにあった。
私はルドルフに返事をしながら馬車を降りると、校門の前でこちらをじいっと見つめているクラーラらしき姿が見え、慌ててルドルフを振り返る。
「それじゃあ、行ってくるね。また後で」
「はい、お気をつけて」
そう言って優美な一礼を見せたルドルフは御者席へと戻り、私はクラーラがいる方へ小走りで向かう。
「おはようございます。昨日出された課題、終わりました?」
「終わったけど分からないところの方が多かったんだよね」
「私もなんです……エルケに頼ってみます?」
「あの子は尚更出来なさそうだけど……」
私はそう言いながらも、もしかしたらと言う期待が募る。
あの子は勉強をしないだけでやったらそれなりに出来る子だ。何かの偶然でも課題に取り組んでいれば、きっと課題も全て熟してくれるだろう。
そんな期待をしていると前の方を柄の悪い友人らと歩くフロイデンの姿が見えてしまい、私はクラーラの手を引いて少し歩く速度を落とすように合図する。
彼女はそれでどういうことなのか察してくれたようで、歩く速度を私に合わせてくれた。
「タイミング最悪でしたね。今度からもう少し遅めにした方が良いかもしれないです」
「そうだね。私も同じ事考えてた」
時間に余裕をもって学園に来ているが、もう少し遅くした方が良いかもしれない。
と、フロイデンと一緒に歩いている男の一人がこちらを振り返り――ハッとしたような顔をしてフロイデンに何かを言った。
何となく嫌な予感がしているとフロイデンもこちらを振り返ったのが見えて、私は慌てて顔を伏せる。
しかし、そんな行動は手遅れだったらしく、人混みを掻き分けてこちらへ近付いて来るのが分かり、観念して顔を上げると。
「今から話がある。付いて来い」
「いやです」
「断るならそれでもいい。結局困るのはお前の家だからな」
「……どういうことです?」
嫌な予感は大的中していたらしく、性格の悪そうな笑みを浮かべるフロイデンが、今は悪魔のように見えて来たのは言うまでもない。
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