【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓

文字の大きさ
14 / 27

14

しおりを挟む
 あの騒動が起きてから三日が経った。
 最初こそまた引き留められるのではと心配していたのだが、彼の諦めが良かったのか、それとも別の要因なのかは分からないが話しかけて来る事はほとんど無くなった。
 しかし、あの日はあれだけ必死に引き留めようとしてきた人が一切行動を起こして来ないのは少し不穏に感じられて、私の中ではまだ警戒が続いていたりする。

「お嬢様、到着しましたよ」

 ぼーっとしている所にルドルフの声が馬車の中に響き、ハッとしながら窓の外に目を向けると、彼の言った通り学園の校門がすぐそこにあった。
 私はルドルフに返事をしながら馬車を降りると、校門の前でこちらをじいっと見つめているクラーラらしき姿が見え、慌ててルドルフを振り返る。

「それじゃあ、行ってくるね。また後で」

「はい、お気をつけて」

 そう言って優美な一礼を見せたルドルフは御者席へと戻り、私はクラーラがいる方へ小走りで向かう。
 
「おはようございます。昨日出された課題、終わりました?」

「終わったけど分からないところの方が多かったんだよね」

「私もなんです……エルケに頼ってみます?」

「あの子は尚更出来なさそうだけど……」

 私はそう言いながらも、もしかしたらと言う期待が募る。
 あの子は勉強をしないだけでやったらそれなりに出来る子だ。何かの偶然でも課題に取り組んでいれば、きっと課題も全て熟してくれるだろう。
 そんな期待をしていると前の方を柄の悪い友人らと歩くフロイデンの姿が見えてしまい、私はクラーラの手を引いて少し歩く速度を落とすように合図する。
 彼女はそれでどういうことなのか察してくれたようで、歩く速度を私に合わせてくれた。

「タイミング最悪でしたね。今度からもう少し遅めにした方が良いかもしれないです」

「そうだね。私も同じ事考えてた」

 時間に余裕をもって学園に来ているが、もう少し遅くした方が良いかもしれない。
 と、フロイデンと一緒に歩いている男の一人がこちらを振り返り――ハッとしたような顔をしてフロイデンに何かを言った。
 何となく嫌な予感がしているとフロイデンもこちらを振り返ったのが見えて、私は慌てて顔を伏せる。
 しかし、そんな行動は手遅れだったらしく、人混みを掻き分けてこちらへ近付いて来るのが分かり、観念して顔を上げると。

「今から話がある。付いて来い」

「いやです」

「断るならそれでもいい。結局困るのはお前の家だからな」

「……どういうことです?」

 嫌な予感は大的中していたらしく、性格の悪そうな笑みを浮かべるフロイデンが、今は悪魔のように見えて来たのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

裏切られた令嬢は婚約者を捨てる

恋愛
婚約者の裏切りを知り周りの力を借りて婚約者と婚約破棄をする。 令嬢は幸せを掴む事が出来るのだろうか。

婚約者をないがしろにする人はいりません

にいるず
恋愛
 公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。  ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。  そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ? 

青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。 チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。 しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは…… これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦) それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。

心から信頼していた婚約者と幼馴染の親友に裏切られて失望する〜令嬢はあの世に旅立ち王太子殿下は罪の意識に悩まされる

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アイラ・ミローレンス・ファンタナルは虚弱な体質で幼い頃から体調を崩しやすく常に病室のベットの上にいる生活だった。 学園に入学してもアイラ令嬢の体は病気がちで異性とも深く付き合うことはなく寂しい思いで日々を過ごす。 そんな時、王太子ガブリエル・アレクフィナール・ワークス殿下と運命的な出会いをして一目惚れして恋に落ちる。 しかし自分の体のことを気にして後ろめたさを感じているアイラ令嬢は告白できずにいた。 出会ってから数ヶ月後、二人は付き合うことになったが、信頼していたガブリエル殿下と親友の裏切りを知って絶望する―― その後アイラ令嬢は命の炎が燃え尽きる。

好き避けするような男のどこがいいのかわからない

麻宮デコ@SS短編
恋愛
マーガレットの婚約者であるローリーはマーガレットに対しては冷たくそっけない態度なのに、彼女の妹であるエイミーには優しく接している。いや、マーガレットだけが嫌われているようで、他の人にはローリーは優しい。 彼は妹の方と結婚した方がいいのではないかと思い、妹に、彼と結婚するようにと提案することにした。しかしその婚約自体が思いがけない方向に行くことになって――。 全5話

最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜

腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。 「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。 エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました

柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》  最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。  そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。

処理中です...