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第三章
41話街に出て一人お散歩
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あれから、2年後。僕は7歳になった。グイリオは9歳の年になってエクリプススパーダに入学した。年齢を遅れて入学する者も多い、エクリプススパーダ。儀式になかなか合格しない者が多いという噂が流れている。でも、グイリオはあの時、合格したんだな。それはグイリオは強いってことか。ティモシーもルッカと会えてるのかな、グイリオは。置いてけぼりな悲しい気持ちを抱きながらも、自分の悲しみを押し殺した。
そして、僕はひとしきりに街を歩き続けた。あの赤いスカーフの少年が僕の頭の脳裏に霞む#かすむ#。蓮に似てるあの少年が…。蓮…。蓮。
あぁ、もう。僕は何を思っているんだ。僕はもうれっきとした一国の王子のチーロという人物なんだ。前世の記憶なんていらないんだよ。僕は街に足を踏み出して、一つのお店の壁にもたれて、立ち止まった。
僕の心に蓮が残ってる。蓮が僕の頭から離れない。くそ、僕は剣も魔力も使いこなせるようになって、住み慣れてきたのに。まだ、僕の心は前世と変わらず弱いのかよ。もう、僕はあの時の僕なんかじゃあないんだ。
「ん?お前、あの時のやつじゃね?」
「へ?」
眉をしかめて、じっと見て言った犬耳少年に僕は見覚えがなく、僕は呆気(あっけ)な声を出して、顔を上げた。
「お前、あん時より強そうな奴になったんだな」
「は?」
「お前、東の教会で会ったチーロだろ。獣人の俺にびびった奴」
犬耳少年はどこかツンとした顔立ちで威勢#いせい#を張るように言い放った。
「え、あの時の子?名前聞けてない。名前教えて」
僕は犬耳少年を思い出して、聞いた。
「なんだよ。思い出したのか。モルデーラ国の王子。俺は一国の王子に仕える従者になるんだ。でないと、ただの能無しとして扱われるんだ。お前の情報は調べた」
「従者#じゅうしゃ#?え、僕のこと調べたって?!」
犬耳少年の言葉に僕はついていけなかった。なんだか、獣人の中は複雑だと知った。僕は犬耳少年の言葉に圧倒されながらも、耳にした。犬耳少年は揚々#ようよう#と僕に言い続ける。
「だいたい、あの教会に来るやつはどこかの国の王子やら姫ばかりだからな。その中でもこれまでに感じたことの無い探し求めてた魔力をお前から感じた」
「……」
犬耳少年は勢いよく言い終えて、どこか上機嫌にニヤリと僕に笑んだ。僕はすぐに返事ができず、犬耳少年を見つめた。
「俺の主は……、お前だ!チーロ・ステファーノ!学校で会ってから契約しようと思ったが、今会ったのも神からの伝えらしいな…」
「神からの伝え?」
犬耳少年はブワッと飛び上がり、金色にキラキラと光りに包まれた。僕はあまりの眩しさにグッと両腕を目元に塞いで、目を閉じた。
目を開けると、少年は栗色にキラキラと金色に輝く毛並みのハスキー犬のような姿に変わっていた。
そして、犬は僕に飛びかかって来た。
「うわー!ちょ、ちょっと…」
僕の言葉には気にもとめず、僕は後ろに押し倒された。
そして、7歳の僕には大きな犬が僕のお腹に前足を乗せている。僕は首を上げた。犬は力強い金色にキラキラと潤った瞳を向けてきた。僕はそんな犬の綺麗な瞳に目を奪われた。とても綺麗な瞳だった。
見つめていたつかの間、犬は僕の首に狙って噛みついてきた。そして、僕の首からは七色の光りが出て、首輪を付けられたかのようにグッと首の周りが痛んだ。
「…え、な、に……」
それから、僕は気を失った。
•*¨*•.¸¸☆*・゚
ーピヨピヨッ
と楽しげな小鳥の声と共に僕は目を開けた。目を開けると、左からの窓から太陽の光りが僕を照らす。どうやら、僕はどこかの部屋のベッドに寝ているようだった。
「よ!起きたか」
「ん……?」
声のする方に顔を向けると、そこには特徴的な栗色の犬耳のある少年がいた。
「お前とはもう、契約をした。首に俺の従者としての誓いの文字を入れた。お前、色んな魔力持ってるみたいだな」
「色んな魔力?僕には、君主剣と飛力くらいしか持っていないはず…だよ」
僕は犬耳少年の言葉に思い当たる節が思い当たらず、言った。犬耳少年はどこか前の時のおぼっこさから抜け、凛々しく僕に言い張る。
「いや、お前はもっと魔力持ってる。従者の俺が保証する。俺はお前の従者だ。お前の魔力の強化を手伝ってやるからな」
「強化を…手伝う…」
「そうだ」
僕はただただ、獣人の少年の言葉を聞き入った。
──────「それと、俺の名前は……」
そして、僕はひとしきりに街を歩き続けた。あの赤いスカーフの少年が僕の頭の脳裏に霞む#かすむ#。蓮に似てるあの少年が…。蓮…。蓮。
あぁ、もう。僕は何を思っているんだ。僕はもうれっきとした一国の王子のチーロという人物なんだ。前世の記憶なんていらないんだよ。僕は街に足を踏み出して、一つのお店の壁にもたれて、立ち止まった。
僕の心に蓮が残ってる。蓮が僕の頭から離れない。くそ、僕は剣も魔力も使いこなせるようになって、住み慣れてきたのに。まだ、僕の心は前世と変わらず弱いのかよ。もう、僕はあの時の僕なんかじゃあないんだ。
「ん?お前、あの時のやつじゃね?」
「へ?」
眉をしかめて、じっと見て言った犬耳少年に僕は見覚えがなく、僕は呆気(あっけ)な声を出して、顔を上げた。
「お前、あん時より強そうな奴になったんだな」
「は?」
「お前、東の教会で会ったチーロだろ。獣人の俺にびびった奴」
犬耳少年はどこかツンとした顔立ちで威勢#いせい#を張るように言い放った。
「え、あの時の子?名前聞けてない。名前教えて」
僕は犬耳少年を思い出して、聞いた。
「なんだよ。思い出したのか。モルデーラ国の王子。俺は一国の王子に仕える従者になるんだ。でないと、ただの能無しとして扱われるんだ。お前の情報は調べた」
「従者#じゅうしゃ#?え、僕のこと調べたって?!」
犬耳少年の言葉に僕はついていけなかった。なんだか、獣人の中は複雑だと知った。僕は犬耳少年の言葉に圧倒されながらも、耳にした。犬耳少年は揚々#ようよう#と僕に言い続ける。
「だいたい、あの教会に来るやつはどこかの国の王子やら姫ばかりだからな。その中でもこれまでに感じたことの無い探し求めてた魔力をお前から感じた」
「……」
犬耳少年は勢いよく言い終えて、どこか上機嫌にニヤリと僕に笑んだ。僕はすぐに返事ができず、犬耳少年を見つめた。
「俺の主は……、お前だ!チーロ・ステファーノ!学校で会ってから契約しようと思ったが、今会ったのも神からの伝えらしいな…」
「神からの伝え?」
犬耳少年はブワッと飛び上がり、金色にキラキラと光りに包まれた。僕はあまりの眩しさにグッと両腕を目元に塞いで、目を閉じた。
目を開けると、少年は栗色にキラキラと金色に輝く毛並みのハスキー犬のような姿に変わっていた。
そして、犬は僕に飛びかかって来た。
「うわー!ちょ、ちょっと…」
僕の言葉には気にもとめず、僕は後ろに押し倒された。
そして、7歳の僕には大きな犬が僕のお腹に前足を乗せている。僕は首を上げた。犬は力強い金色にキラキラと潤った瞳を向けてきた。僕はそんな犬の綺麗な瞳に目を奪われた。とても綺麗な瞳だった。
見つめていたつかの間、犬は僕の首に狙って噛みついてきた。そして、僕の首からは七色の光りが出て、首輪を付けられたかのようにグッと首の周りが痛んだ。
「…え、な、に……」
それから、僕は気を失った。
•*¨*•.¸¸☆*・゚
ーピヨピヨッ
と楽しげな小鳥の声と共に僕は目を開けた。目を開けると、左からの窓から太陽の光りが僕を照らす。どうやら、僕はどこかの部屋のベッドに寝ているようだった。
「よ!起きたか」
「ん……?」
声のする方に顔を向けると、そこには特徴的な栗色の犬耳のある少年がいた。
「お前とはもう、契約をした。首に俺の従者としての誓いの文字を入れた。お前、色んな魔力持ってるみたいだな」
「色んな魔力?僕には、君主剣と飛力くらいしか持っていないはず…だよ」
僕は犬耳少年の言葉に思い当たる節が思い当たらず、言った。犬耳少年はどこか前の時のおぼっこさから抜け、凛々しく僕に言い張る。
「いや、お前はもっと魔力持ってる。従者の俺が保証する。俺はお前の従者だ。お前の魔力の強化を手伝ってやるからな」
「強化を…手伝う…」
「そうだ」
僕はただただ、獣人の少年の言葉を聞き入った。
──────「それと、俺の名前は……」
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