腐男子異世界転生して王子になる〜チートになっちゃった僕でゴメンね!〜

優木王

文字の大きさ
50 / 53
閑話

ルッカとアダン先生

しおりを挟む
「ルッカ……、お前はティムのことが好きなのか」

「……っ!?アダン先生!ティムってティモシーですか?」

「あいつしかいないだろ」

ルッカはアダン先生からもらったブルーベリーの飲み物を1口含んで口に入ったまま大慌てで吐き出し喋った。

「俺は別に……好きとかじゃ…」

「先生もわかってるいよ。なんせ、先生は君らのお父さんとは知り合いだからね」







アダン先生は何を言いたいんだ。俺とティムは変わらずにいるつもりでいるのに……。

やっぱり、何か俺の魔力のことで噂でも広まっているのか…。どうせ、俺の魔力は雷の魔力なんてものは低いとでも言われているんだろうな。それでも俺はティムとは隣りに並んでいたい。

───────負けたくない。あいつなんかに。

決めたんだ。お父さんの仇を取るためにも。なのに何でだろう。変な感情が俺を襲う。あーーーー!違うんだよ!好きなんて…思ってなんかない。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ねぇねぇ、聞いた?ティム」

「何を?」

僕に声掛けてきたのはクラスが同じ女生徒。どこか嬉しげに声かけてくる。

「ルッカ、ティムのこと好きなんだって!アダン先生が言ってたよ」

「ルッカが?そんなこと……。うん、ある訳ない。まして男だなんて。ルッカが好きな子は女だよ」

と僕は返した。同じ寮の部屋でも茶化して声かけたら、ルッカは慌ててたし。きっと違う。小さい頃から、遊んでいるし、ルッカのことなら僕がすごく知っている。ルッカの仕草も…。全て知っている自信はある。

でも、なんだかそんなことを聞くと、心が疼く。あー、早くルッカとカミーユ引っ付かないかな。そんなことを思い馳せながら、窓から差し込む光を見つめた。

好き………か…。


難題なことなのかな。恋を本気でしようと思えない僕には無理なことだ。ルッカはちゃんと女の子に恋心を抱いている立派な男だと僕は思う。でもあの試合は譲れないからな。絶対に僕が勝つ。勝って、お父様のエンベルトの血をこれからも引き継ぐ男として、進んでいかなきゃいけないんだ。
ハー兄はやり遂げたところは見てない。きっとやり遂げたんだろう。

────────今度は僕の番だ……。


決めた瞬間、強い風の音がゴオッと鳴り、僕の髪が揺れる。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ルッカもティムも頑張ってきた。今回の試合は別に勝ち負けなんていらないものにしてはいかがではないでしょうか?」

「それはな、アダンくん。それはしたくないが、確かに次に入学してくるものの中にはこれまで待っていた人物がいるからな」

「そうですよ、サニーラ教授。だから、今回は赤の炎のドラゴンを新入生に叩かせてはどうでしょうか?」

薄暗い、教員たちの室内は慌ただしく動いていたが、隣の部屋ではアダンとサニーラ教授が何やら話をしていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...