追放された逸材剣士は王女と魔眼使い連れて無双

優木王

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Prologue〜結婚式〜

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「エメ好きだよ。永遠を誓おう」

「はい。ティモテ様」



𓏸𓈒𓂃



「Timotei·Bernard…will you take Aime・Mercie to be your wedded wife to live together in the celestial of marriage? Will you love her, comfort, hornor and keep her so long as you celestial shall live?……」



────────「「はい、ここに誓います」」




煌びやかで神聖なセレスティアル国のお城で村人たちが待ちに待っていた結婚式が開かれた。神々こうごうしく輝く、真っ白いドレスに身を包んだエメ・メルシエ王女プリンセス。白いタキシードに身を包んだ青年が手を取り合い、誓いのキスをしようとしているところだった。


「大変だ!!!逃げろー!オーガが三体も城に向かってるぞ!」

とドアを勢いよく開け、中年の村人男性が入ってきた。そして、その瞬間にお城は大きな音を立て、オーガに破壊され始めた。大事な王女との結婚式は一気に騒然となる。キャーキャーと村人たちが逃げ回る。

「ティモテ様……、オーガですって。怖いです」

「エメ!何してる!こっちに来なさい!」

「エメ、逃げるわよ!」

エメ王女はティモテの腕を掴み、恐怖に怯えていた。そこに父母がエメを呼びかけた。エメは両親の声に振り向き、ティモテに呼びかけようとしたら、さっきまで隣りにいたであろうティモテはいなくなっていた。

「ティモテ様………。ティモテ様……?どこに行ってしまったの…」

「何しているのですか!エメ様!逃げますよ!」

「アレン……、でも、待って!ティモテ様がいないの!」

「…っ、あーもっ!あの奴、また、どこに行ったんだ!」

エメを呼びかけ、ティモテがいないと聞いた、エメ王女の執事のアレンは苛立った。だが、その時、一体のオーガはもう城に入っていて、エメ王女とアレンに向かって大きな巨大な拳を振りかざそうとしていた。アレンはとにかくエメ王女の身を守るために腕を引っ張り、奥の部屋へと駆けた。




「お前ら来たのか!俺の魔力でも嗅いできたか?こーなったらしょうがないな!…受けて立ってやるさー!」

とティモテ·ベルナールは言って、オーガ三体に向かって、愛剣である大きな剣を振りかざした。


━━━━━━━━━━━━ドンッ、ズザザッ

勢いよく、振りかざされた剣は大きな音を響かせる。オーガは次々に切り裂かれ、倒れていく。そして、激しい音がお城全体に響いた。




「ティモテ様………、ひくっ、……、うぅ」

「…エメ様。落ち着いてください」

エメ王女は目に大粒の涙を溜め、ポロポロと頬に零していた。そんな彼女にアレンは哀れんだ気持ちを抱き、エメ王女を抱きしめ慰めた。アレンは嬉しい気持ちも半ば持っていた。


時間は過ぎ、誓い合った結婚式から3日も過ぎていた。エメ王女の心はぽっかりと空いた虚しさを抱えていた。

「ティモテ様………」

「エメ様、お忘れになりましょう。どこぞの王子かも分からないお方なのですよ!」

「アレン、ティモテ様はマカロン国の王子ですわ。ティモテ様のお口から私、ちゃんと聞いたもの」

エメ王女はそう言って、窓際の机に頬杖をついて、外を眺めた。

「ま、マカロン国…。こほんっ、美味しそうな国ですね。エメ様」

「アレン…、もういいわ。あっちに行ってちょうだい」

エメ王女の言葉にアレンはすぐに聞けなかった。そして、伝えた。

「エメ様、よく聞いてください。マカロン国なんてありません。ティモテ・ベルナール王子なんて王子の中でいないのです。ですから、あの方は王子ではないのです。それに、この平和で厳重に守られている、セレスティアル国のお城にオーガが来るわけないのです!

今、色々と調査をし、判明したのですが………。オーガが来た理由わけはどうやらあのお方が原因のようです。村人たちも、エメ王女のお父様、お母様までも恐れているのです。もしも、またこちらに戻って来ましたら、あのお方を死刑とすると決められました」


「なんですって!それは本当なの!…そんなの、私が許さない。そんなこと誰が決めたのよ!」

とエメ王女は頬を膨らまし、顔を真っ赤にし、腹を立てた。でも、自分だけではどうにもできないことにも歯痒はがゆい気持ちを抱いた。

アレンは想像としていた通りのエメ王女とはまったく違っていた。想像では、エメ王女も村人たち同様に、恐がると思っていたが、逆に腹を立てた。可愛らしい顔から怒った顔も堪らなく、可愛いとは思ったが、アレンの気持ちは晴れなかった。





────────「キャーーーーーーーーっ!」

とエメ王女のお母様の叫びが廊下から響いた。それを聞いた、アレンはすぐに廊下へと出た。


「どうしたのですか?!」


と声を上げたら、アレンの目の前に立ちはだかったのは、白のタキシードにベッシャリと真っ赤な血しぶきを付けた、血だらけのティモテだった。

「俺のこと?俺は大丈夫だよ」

「お前じゃない!僕は断じて貴方様に言ってはいない!戻ってきたのか」

アレンはふつふつと湧き上がる怒りを抑えられずにいた。ティモテは平然とした顔で抜けた言葉を言ったのだから。

「ティモテ様ー!」

とエメ王女は部屋から飛び出し、歓喜な声を上げた。そして、血だらけのティモテに構わず、抱きしめた。そして、ティモテもエメ王女をぎゅっと抱きしめた。

「会いたかったです」

「俺も会いたかったよ。エメ」

その様子を見たアレンは、さらに怒りを覚えた。


「死刑だ!お前は死刑だー!」


とアレンは叫び散らした。そして、ティモテは周りにいた近衛兵ロイヤルガードによって取り押さえられた。

「ふっ、化け物なお前には檻が一番ぴったしだな」

「なんだとーーー!」

アレンは意味深な言葉をティモテに言い、ティモテはアレンの言葉に歯向かおうとしたが、取り押さえられ、言葉をはばかられた。

「アレ…、アレン。な、何してるのよ。アレン。ティモテ様に何してるのよ……」

エメ王女にとって悲惨に呆気に取られ、パタリと床に座り込んでしまった。そんなエメ王女に気がつき、アレンはにこやかな笑顔ですぐにエメ王女に振り向いた。

そんなアレンの笑顔にエメ王女はアレンに対して、初めて怖くなった。

「エメ様、もう大丈夫ですからね」

とアレンはエメ様に手を差し伸べたが、パシッとエメ王女から手を弾かれた。

「そんな手なんかいらない……。いらないわ」


「エメ様……………」








「ティモテ·ベルナール…、お前は死刑とす。明日には首を落とす」

「し、死刑。明日には首を落とすだと!どういうことだよ…」

近衛兵の一人にそう告げられ、ガシャンと檻のドアが閉められ、鍵を付けられた。地下であろう檻の中はとても薄暗く、とても不気味にティモテは思った。


「明日だなんて、早すぎるだろ。さすがにこれは俺にとって悲しすぎるし、早すぎる死すぎる。どうしてくれんだよー」





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