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四章 遺跡探索
遺跡探索 6
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「つまりこれは……、遺跡から出てきた、ということでいいんじゃな?」
シュナはナスカに斬られて残骸と化した蟻型ロボットを指差しながら僕に聞いてきた。
「そうだね。そしてこのロボットは、多分だけど……、魔法が使えなかった時代の主力兵器だったはずだよ。だから遺跡の中は似たようなロボットだらけだと思うよ」
僕は頷きながら自分の考えをシュナに語る。
憶測ではあるが、外れてはいないと思う。
天界で二人の話しを聞いた限り、だけどね。
「なるほどのぉ……。となると」
シュナはゆっくりと頷きながら神父をボコボコにしている三人の方を向いた。
「遺跡へ行くのは今日はヤメじゃ! 明日、朝一で行くぞ!」
「「「は、はい!」」」
驚いた三人はこちらを振り向いて駆け寄ってきた。
僕はそれと入れ違いに神父の方へと近寄る。
「はぅほれへ……」
まだ息はあるようだ。
てか、よくあの三人の攻撃で死ななかったね。
そんなことは置いておいて……。
―――再現魔法“シュナのパーフェクトヒール”。
「みぃ」
実験ついででやってみたんだけど、どうやら成功みたいだ。
休んだことで折角回復していた魔力が根こそぎなくなっていく感覚と同時に、神父の身体が緑色の光に包まれてアザだらけになった身体も、レーザーで貫かれた肩の傷もキレイに消えていった。
「お、お、お、おおおぉぉぉぉ!」
自分の肩や身体の傷が消えたことに驚きの声をあげた神父に、僕は『これで借りは返したぞ』という意味を込め膝に肉球を置いて「みぃ」と鳴いた。
「ねねねね猫様ああぁぁぁぁ!!」
僕を抱き上げ涙を流す神父に向こうの女性陣が若干引いているのが窺える。
「猫様あぁぁ! 猫様あぁぁ! このフェデリコ・ビアンコ、今のは猫様の魔法だと、ハッキリ分かりましたぞ! 猫様の愛が! この身体に! 流れていくのが!! はっっっっっっきりとぉぉ!! このご恩に! 必ずや報いますぞぉぉ!!」
やぁめぇろぉぉぉ!
はぁなぁせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
ベチベチベチと猫パンチの連打を神父の頬にお見舞いするが、恍惚とした表情を更に赤らめるだけだった。
一時遺跡を離れた僕たちは明日への準備も兼ねて、三年の間シュナが引き籠って……、もとい、拠点をい置いていたという、黄昏の森の奥まったところにひっそりと佇んでいた小屋の前へと来ていた。
「神父よ。貴様はその物置小屋で寝るといいのじゃ」
小さな掘っ立て小屋を指差してシュナは笑う。
「はい! 女神様のご指示とあれば、このフェデリコ、どんなところでも寝てご覧にいれましょう」
彼女の嫌味になんの疑問もなく答える神父は、正に女神の従順な使徒だった。
「ところで女神様。水場はございますか?」
「み、水場かの? それならあそこに……」
先ほどの神父の答えで調子を崩したシュナは、少したじろぎながら小屋の後ろにある井戸櫓を指差す。
「おお! 私、こう見えても綺麗好きでして……。一日でも沐浴しないと、身体が気持ち悪くて……」
顔を赤らめて恥ずかしそうに言う神父に、シュナとその後ろにいたナスカたちは青筋を立てて絶句していた。
そうなるよね!
僕もそうなったもん!
「それでは、私は暫く井戸を使わせていただきますが、皆さんは……」
「要らんわ! 早く行け!」
「分かりました。それでは皆さん」
シュナの怒声も意に返さず、神父は恭しく頭を下げて井戸の方へと歩いていった。
「何なんじゃ、アイツは……」
「「「……」」」
プルプルと拳を震わすシュナと、後ろで激しく首を縦に振る彼女たちを見て僕は思う。
まぁ、言いたいことは分かるよ。
でもね、もう遅いからね。
明日のために、休むべきだと思うんですよ。僕は、はい……。
そういう意味合いを込めて僕は「みぃ」と泣き、首を横に振ってシュナの左足に右前足を乗せた。
「うぐっ……。分かっておる……」
「も、もう、今日は休みましょう、先生」
「そうじゃな……」
そう言ってシュナは踵を返すと、明かりの点いていない小屋の中へと入って行き、その後を僕たちも追って行った。
「この前荷物は持っていってしまったからのぉ。ロクなモノはないが、休むだけなら充分じゃろ」
部屋の隅に腰を落ち着けながらシュナは話す。
初めて来た僕は、確かに何もないなぁと思いながら、六畳ほどの間取りの部屋の隅に腰を落ち着け、毛繕いを始める。
「この前掃除はキチンとしたので、埃もそんなにないと思うけど」
「そうですわね。あれは大変でしたから」
言いながら思い出したのか、ナスカとウェンディの二人が苦い顔をしながらシュナの隣の壁に背を預けた。
「ねぇ……、ニート。顔貸しなさいよ」
いつもの三人組の輪に入らず、部屋の中央に垂れ下がったランプに火を灯したハルカが、僕の首根っこを付かんで睨んできた。
―――僕、何かしました……?
「み、みぃぃ……」
首が絞まっているので掠れた声で鳴き声をあげてみるが、どうして僕の抗議の鳴き声はこんなに効果がないんだろう。
「あまり手荒に扱うでないぞ」
声をあげようとしたナスカたちを手で制し、シュナは目だけ向けてハルカに声をかける。
「分かってます」
彼女はシュナに小さく頷き、僕を胸に抱いて外へと出て行った。
「あんた……、パーフェクトヒール使ったわね?」
小屋から少し離れた切り株の上に腰を落ち着けたハルカは、僕を横に置いてそう切り出した。
あぁ、アレね。
確かに使いました。
実験してみたかったし、あの変態に借りを作ったままだったのは嫌だったので……。
そんな思いを込めて「みぃ」と一声鳴いてみる。
「ふ・ざ・け・る・な!」
ガシッと頭を捕まれ強制的に目線を合わせられた。
ナジラもそうだったけど、ここら辺“師弟”て感じするわ。
そんな馬鹿な考え、口が裂けても言えない僕は、身の危険を感じて再現魔法で声を“再現”した。
「使った、と思うよ。一応……、多分……」
あれが本当にパーフェクトヒールなのかどうか改めて考えると、段々と自信がなくなってきた。
「何でそんなに自信なさげなのよ」
「だって僕、最近魔法使えるようになったばかりなんだよ。
どこら辺からパーフェクトで、どこら辺からそうじゃないのか線引きが分からないんだよ」
「先生の近くでずっと見てきたあたしが言うんだから、あれがパーフェクトヒールよ!」
ムスッとした態度で彼女は僕の顔を両手で包み込み、おにぎりのようにニギニギしてくる。
「なに怒ってるのさ」
僕はバックしてその手から逃げ出すと、頭をブルブルと振ってハルカの顔を見た。
彼女は一瞬ハッとしたように顔を歪めるが、直ぐに表情を険しくして僕を睨み付けてきた。
「ニートはいいわよ。才能を女神様から貰ったんでしょ!」
嫉妬、か……。
折角ギャグ路線で走ってたのに……。
僕は大きくため息をついて頭上にある地球とは違う輝きを放つ大きな月を見上げた。
深紅の色合いを奏でる夜空は、何とも言えない哀愁ある色合いを持っている。
「綺麗な月だなぁ……」
「聞いてるの!? はぐらかしてるんじゃないわよ!」
僕はどうも昔から、嫉妬というものを覚えたことがない。
自分は自分、人は人。できることは限られてるし、どこまでできるか人と比べることほど馬鹿げたことはないと思ってる。
だから僕は……。
「月に嫉妬したことある、ハルカ?」
「はぁ!?」
「月は綺麗だよね。でも、月のように綺麗になりたいと、月に嫉妬したところで同じものにはなれないよね。ハルカはハルカじゃん。僕じゃぁない。もしハルカの意思を持って僕になったとしても、同じ選択をし、同じ人生を生きるとは限らないよ。そもそもが違うんだから」
何を言いたいのか分かってくれただろうか。
彼女は目を見開き、何かを言いたそうに口をパクパク開閉するが結局黙り混み俯いてしまう。
「……」
僕は首を傾げながら、俯いたハルカの顔を覗き込むように近付いてみる。
ガシッと両手で前足の付け根を捕まれ、僕はハルカの顔の真ん前に持っていかれる。
「生意気!」
「悪かったね。でも生意気な方が“魔女の飼い猫”て感じだろ?」
「猫のクセに……!」
「あんまり僕をイジメルと、神父に言いつけるぞ」
「はぁ!? 何で変態が出てくるのよ!」
僕たちがそんな馬鹿げた言い合いをしていると「ハァイダァホゥレェェ!!」と裏返った叫び声が井戸の方から聞こえてきた。
「ななな何よ!?」
「なになになに!?」
ビクリと身体を震わしたハルカが僕を抱き締め、僕らはキョロキョロと周りを見渡した。
一体何だってのさ!
そう思って暫く僕らは動けずに固まっていると「うるさいんじゃ! バカ者!!」と罵声が聞こえたかと思うと「ぎゃああぁぁぁぁ!」という悲鳴が辺りに木霊した。
「ふふ……」
「あはは……」
これが、緊張の糸が切れるって言うんだろう。
「「はははは」」
僕らは一頻り笑いあうと、ハルカが僕の顎を撫でながら「ごめんね」と謝ってきた。
「嫉妬だって言うのは分かってたの。自分でも嫌になるくらい。でもね……、魔法もロクに知らないニートが大魔法なんて使うから、悔しくって……」
「だから魔法教えてよ、先輩。僕、魔力の見方すら分かんないんだよ?」
「ふふふ……。やっぱり生意気」
ツンツンと彼女は、僕の頬を突つきだすものだから、カプッと僕はその指を甘噛みしてみる。
「こ、こら! ニート!」
ダダッと逃げ出す僕をハルカは全速力で追いかけてくる。
「待ちなさぁぁぁいぃ! ニートォォォ!」
「止まったらまたイジメルじゃんかああぁぁ!」
「元気じゃのぉ」
「「ですねぇ」」
いつの間にか心配になって見に来ていた三人が、優しい笑顔を僕たちに向けていた。
シュナはナスカに斬られて残骸と化した蟻型ロボットを指差しながら僕に聞いてきた。
「そうだね。そしてこのロボットは、多分だけど……、魔法が使えなかった時代の主力兵器だったはずだよ。だから遺跡の中は似たようなロボットだらけだと思うよ」
僕は頷きながら自分の考えをシュナに語る。
憶測ではあるが、外れてはいないと思う。
天界で二人の話しを聞いた限り、だけどね。
「なるほどのぉ……。となると」
シュナはゆっくりと頷きながら神父をボコボコにしている三人の方を向いた。
「遺跡へ行くのは今日はヤメじゃ! 明日、朝一で行くぞ!」
「「「は、はい!」」」
驚いた三人はこちらを振り向いて駆け寄ってきた。
僕はそれと入れ違いに神父の方へと近寄る。
「はぅほれへ……」
まだ息はあるようだ。
てか、よくあの三人の攻撃で死ななかったね。
そんなことは置いておいて……。
―――再現魔法“シュナのパーフェクトヒール”。
「みぃ」
実験ついででやってみたんだけど、どうやら成功みたいだ。
休んだことで折角回復していた魔力が根こそぎなくなっていく感覚と同時に、神父の身体が緑色の光に包まれてアザだらけになった身体も、レーザーで貫かれた肩の傷もキレイに消えていった。
「お、お、お、おおおぉぉぉぉ!」
自分の肩や身体の傷が消えたことに驚きの声をあげた神父に、僕は『これで借りは返したぞ』という意味を込め膝に肉球を置いて「みぃ」と鳴いた。
「ねねねね猫様ああぁぁぁぁ!!」
僕を抱き上げ涙を流す神父に向こうの女性陣が若干引いているのが窺える。
「猫様あぁぁ! 猫様あぁぁ! このフェデリコ・ビアンコ、今のは猫様の魔法だと、ハッキリ分かりましたぞ! 猫様の愛が! この身体に! 流れていくのが!! はっっっっっっきりとぉぉ!! このご恩に! 必ずや報いますぞぉぉ!!」
やぁめぇろぉぉぉ!
はぁなぁせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
ベチベチベチと猫パンチの連打を神父の頬にお見舞いするが、恍惚とした表情を更に赤らめるだけだった。
一時遺跡を離れた僕たちは明日への準備も兼ねて、三年の間シュナが引き籠って……、もとい、拠点をい置いていたという、黄昏の森の奥まったところにひっそりと佇んでいた小屋の前へと来ていた。
「神父よ。貴様はその物置小屋で寝るといいのじゃ」
小さな掘っ立て小屋を指差してシュナは笑う。
「はい! 女神様のご指示とあれば、このフェデリコ、どんなところでも寝てご覧にいれましょう」
彼女の嫌味になんの疑問もなく答える神父は、正に女神の従順な使徒だった。
「ところで女神様。水場はございますか?」
「み、水場かの? それならあそこに……」
先ほどの神父の答えで調子を崩したシュナは、少したじろぎながら小屋の後ろにある井戸櫓を指差す。
「おお! 私、こう見えても綺麗好きでして……。一日でも沐浴しないと、身体が気持ち悪くて……」
顔を赤らめて恥ずかしそうに言う神父に、シュナとその後ろにいたナスカたちは青筋を立てて絶句していた。
そうなるよね!
僕もそうなったもん!
「それでは、私は暫く井戸を使わせていただきますが、皆さんは……」
「要らんわ! 早く行け!」
「分かりました。それでは皆さん」
シュナの怒声も意に返さず、神父は恭しく頭を下げて井戸の方へと歩いていった。
「何なんじゃ、アイツは……」
「「「……」」」
プルプルと拳を震わすシュナと、後ろで激しく首を縦に振る彼女たちを見て僕は思う。
まぁ、言いたいことは分かるよ。
でもね、もう遅いからね。
明日のために、休むべきだと思うんですよ。僕は、はい……。
そういう意味合いを込めて僕は「みぃ」と泣き、首を横に振ってシュナの左足に右前足を乗せた。
「うぐっ……。分かっておる……」
「も、もう、今日は休みましょう、先生」
「そうじゃな……」
そう言ってシュナは踵を返すと、明かりの点いていない小屋の中へと入って行き、その後を僕たちも追って行った。
「この前荷物は持っていってしまったからのぉ。ロクなモノはないが、休むだけなら充分じゃろ」
部屋の隅に腰を落ち着けながらシュナは話す。
初めて来た僕は、確かに何もないなぁと思いながら、六畳ほどの間取りの部屋の隅に腰を落ち着け、毛繕いを始める。
「この前掃除はキチンとしたので、埃もそんなにないと思うけど」
「そうですわね。あれは大変でしたから」
言いながら思い出したのか、ナスカとウェンディの二人が苦い顔をしながらシュナの隣の壁に背を預けた。
「ねぇ……、ニート。顔貸しなさいよ」
いつもの三人組の輪に入らず、部屋の中央に垂れ下がったランプに火を灯したハルカが、僕の首根っこを付かんで睨んできた。
―――僕、何かしました……?
「み、みぃぃ……」
首が絞まっているので掠れた声で鳴き声をあげてみるが、どうして僕の抗議の鳴き声はこんなに効果がないんだろう。
「あまり手荒に扱うでないぞ」
声をあげようとしたナスカたちを手で制し、シュナは目だけ向けてハルカに声をかける。
「分かってます」
彼女はシュナに小さく頷き、僕を胸に抱いて外へと出て行った。
「あんた……、パーフェクトヒール使ったわね?」
小屋から少し離れた切り株の上に腰を落ち着けたハルカは、僕を横に置いてそう切り出した。
あぁ、アレね。
確かに使いました。
実験してみたかったし、あの変態に借りを作ったままだったのは嫌だったので……。
そんな思いを込めて「みぃ」と一声鳴いてみる。
「ふ・ざ・け・る・な!」
ガシッと頭を捕まれ強制的に目線を合わせられた。
ナジラもそうだったけど、ここら辺“師弟”て感じするわ。
そんな馬鹿な考え、口が裂けても言えない僕は、身の危険を感じて再現魔法で声を“再現”した。
「使った、と思うよ。一応……、多分……」
あれが本当にパーフェクトヒールなのかどうか改めて考えると、段々と自信がなくなってきた。
「何でそんなに自信なさげなのよ」
「だって僕、最近魔法使えるようになったばかりなんだよ。
どこら辺からパーフェクトで、どこら辺からそうじゃないのか線引きが分からないんだよ」
「先生の近くでずっと見てきたあたしが言うんだから、あれがパーフェクトヒールよ!」
ムスッとした態度で彼女は僕の顔を両手で包み込み、おにぎりのようにニギニギしてくる。
「なに怒ってるのさ」
僕はバックしてその手から逃げ出すと、頭をブルブルと振ってハルカの顔を見た。
彼女は一瞬ハッとしたように顔を歪めるが、直ぐに表情を険しくして僕を睨み付けてきた。
「ニートはいいわよ。才能を女神様から貰ったんでしょ!」
嫉妬、か……。
折角ギャグ路線で走ってたのに……。
僕は大きくため息をついて頭上にある地球とは違う輝きを放つ大きな月を見上げた。
深紅の色合いを奏でる夜空は、何とも言えない哀愁ある色合いを持っている。
「綺麗な月だなぁ……」
「聞いてるの!? はぐらかしてるんじゃないわよ!」
僕はどうも昔から、嫉妬というものを覚えたことがない。
自分は自分、人は人。できることは限られてるし、どこまでできるか人と比べることほど馬鹿げたことはないと思ってる。
だから僕は……。
「月に嫉妬したことある、ハルカ?」
「はぁ!?」
「月は綺麗だよね。でも、月のように綺麗になりたいと、月に嫉妬したところで同じものにはなれないよね。ハルカはハルカじゃん。僕じゃぁない。もしハルカの意思を持って僕になったとしても、同じ選択をし、同じ人生を生きるとは限らないよ。そもそもが違うんだから」
何を言いたいのか分かってくれただろうか。
彼女は目を見開き、何かを言いたそうに口をパクパク開閉するが結局黙り混み俯いてしまう。
「……」
僕は首を傾げながら、俯いたハルカの顔を覗き込むように近付いてみる。
ガシッと両手で前足の付け根を捕まれ、僕はハルカの顔の真ん前に持っていかれる。
「生意気!」
「悪かったね。でも生意気な方が“魔女の飼い猫”て感じだろ?」
「猫のクセに……!」
「あんまり僕をイジメルと、神父に言いつけるぞ」
「はぁ!? 何で変態が出てくるのよ!」
僕たちがそんな馬鹿げた言い合いをしていると「ハァイダァホゥレェェ!!」と裏返った叫び声が井戸の方から聞こえてきた。
「ななな何よ!?」
「なになになに!?」
ビクリと身体を震わしたハルカが僕を抱き締め、僕らはキョロキョロと周りを見渡した。
一体何だってのさ!
そう思って暫く僕らは動けずに固まっていると「うるさいんじゃ! バカ者!!」と罵声が聞こえたかと思うと「ぎゃああぁぁぁぁ!」という悲鳴が辺りに木霊した。
「ふふ……」
「あはは……」
これが、緊張の糸が切れるって言うんだろう。
「「はははは」」
僕らは一頻り笑いあうと、ハルカが僕の顎を撫でながら「ごめんね」と謝ってきた。
「嫉妬だって言うのは分かってたの。自分でも嫌になるくらい。でもね……、魔法もロクに知らないニートが大魔法なんて使うから、悔しくって……」
「だから魔法教えてよ、先輩。僕、魔力の見方すら分かんないんだよ?」
「ふふふ……。やっぱり生意気」
ツンツンと彼女は、僕の頬を突つきだすものだから、カプッと僕はその指を甘噛みしてみる。
「こ、こら! ニート!」
ダダッと逃げ出す僕をハルカは全速力で追いかけてくる。
「待ちなさぁぁぁいぃ! ニートォォォ!」
「止まったらまたイジメルじゃんかああぁぁ!」
「元気じゃのぉ」
「「ですねぇ」」
いつの間にか心配になって見に来ていた三人が、優しい笑顔を僕たちに向けていた。
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