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六章 旅立ちの時
旅立ちの時 1
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「あはははははははははは!!」
いつもとは違う、花びらが舞い散るきらびやかな大平原で、一人のツルペタ幼女が腹を抱えて笑い転げていた。
彼女は金髪碧眼にあどけなさが残る顔立ち、着ている装束は白一色でシルクのような輝きを放つローブを一枚纏っているだけであった。
その傍らにお行儀よく座る僕の名はニート。
この笑い転げている年齢詐称女性とその姉に頼まれて、ナトゥビアに猫として転生したのだ。
それが何故こんなに笑われているかというと……。
「そりゃニート……。抱き締められて鯖折りされてここに来るとか……。あははははははははは!!」
ゴロゴロと平原の草花を押し倒し、その女性、女神ディーテは更に笑い転げる。
―――うっさいうっさい! 僕だって、好きで鯖折りされたんじゃないやい!!
良い子の僕は彼女に対して叫びはするが、決して女性には手を出さないのだ。
「あはははは……! て、さっきからちょっと何なの!? アンタ一体どういう解説してんのよ!?」
因みに神であるディーテは性格が腐っていても女神であるため、僕の考えていることが……。
「だぁぁーーかぁぁーーらぁぁーー!!」
ディーテは僕の首根っこを掴むと僕の顔を自分の目の前に持ってきてキッと睨む。
―――だってさぁ、笑い過ぎじゃない!? そりゃちょっとは嫌味も言いたくなるよ。
「ちょっとじゃないでしょ! アンタは!」
―――そうかなぁ?
地球で人間だった頃まで遡って思い返してみるが、何も思い付かない。
「アンタ脳ミソ大丈夫? 蛆わいてない?」
ペシペシと僕の頭を空いてる手で叩きながら彼女は僕の顔をジロリと見た。
―――ディーテがそんなんだから、全部返ってきてるんだよ。因果応報ってやつじゃないかな?
「にぃぃぃぃぃぃとぉぉぉぉぉぉぉ……」
ちょっと言い過ぎたみたい。
「今さら遅いのよ……」
―――ごめんちゃい!
てへぺろ。
「何よそれ!」
―――滅多に見れない猫の“てへぺろ”だよ。きっと需要あるよ。
「本当にアンタ……。性格変わったよね……」
小さくため息をつき僕から手を離したディーテは、呆れたような表情で声を発した。
―――それは何となく僕も思ってるんだけど……。プロットもキャラも全部その場で作り出す作者のせいじゃないの?
「それは違いますよ……」
いつの間にかもう一人の女性が微笑みをその顔に携えて、僕たちの真横に立っていた。
「どういうこと、姉さん?」
彼女はサリア。僕の前にいるディーテの姉で、僕の知っているもう一人の女神である。
「まだやるんだ……」
―――こっから読む人いるかもしれないからね。でもこれで終わり。
「あっそう……」
「いいですか?」
首を傾げるサリアが怖い。
「どうぞどうぞ!」
―――どうぞどうぞ!
僕たちはサリアを両向かいで挟むように姿勢を正す。
「コホン……。では、なぜニートさんの性格が変わってきているかというと、ニートさんが段々と猫の精神に近付いていっているからです」
―――ほへ!?
驚きで僕が変な声をあげると、ディーテが横でクスリと笑った。
―――猫って、そんなに性格悪かったの?
僕が疑問の言葉を口にすると、ディーテがジト目を向けてきた。
「それ全部自分に返ってきてるって、分かってる?」
―――うっ!
さっきディーテに放った言葉が、今度は僕自信に返ってきたようだ。
―――で、でも、もしかしたら、違うかも……。
「いいえ、そんなことはありませんよ」
一縷の望みをかけて僕はサリアに聞き返すが、彼女は首を横に振りいつものように微笑んだ。
「作者の飼っている猫にアフレコすると、大体今のニートさんみたくなるそうですよ」
「……」
それって、猫とかどうとかじゃない気が……。てか作者、サリアの腹黒にかまけて言いたい放題言い過ぎだと思うんだけど。
「ニートさん……」
し、しまった!!
―――ごごごご、ゴメンナサイ。ソンナツモリジャナカッタンデス。
顔に暗い影を落としたサリアが、震える僕に微笑みを向けてくる。
―――ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ……。
僕は土下座して何度も謝罪の気持ちをサリアに伝える。
「ふぅー、まったく……。ニートさん、次はないですからね」
サリアの顔から暗い影が取れ、顔を上げた僕はホッとため息をついた。
「今度言ったら、蟻しか食べられない身体にしてあげますから、そのつもりで」
―――すいませんでした!!
ビシッと僕はサリアに敬礼する。
「ニート……。姉さんと私で随分態度が違うと思わない?」
ジーっと見詰めてくるディーテの視線を無視して、僕はサリアに気になっていたことを質問することにした。
―――サリア、リディーって何者なの? 自分でデザインチャイルドって言ってたけど。
「無視するな!!」
「まぁまぁまぁ、ディーテさん。話しが進みませんから、ここは抑えて」
「ぐぬぬぬ……!」
サリアに手で制されたディーテは歯茎を剥き出しにして歯軋りしている。
「リディー、でしたね……」
サリアは閉じていた目をゆっくりと開くと、真剣な眼差しで僕を見詰めてきた。
「彼女に関わるということは、千二百年に及ぶナトゥビアの呪いを知ることになります。それでも知りたいですか?」
―――ちょっと何それ? ヤダ怖い……。
呪いとか、バカ竜のハゲだけでいいよ。
もうお腹いっぱい。
「じゃあ止めとく? どうせ災禍の獣を追って行く内に、知ることになるとは思うけど?」
―――早いか遅いかってこと? えぇ……。
ナトゥビアの呪いとか、規模が大きいんだよね。
でも、どうせ後で知ることになるんなら、今の内に知っておくべきかも……。
うぅーん……。
―――よし。決めたよ……。教えてサリア。
「いいのですね?」
念押しでサリアが尋ねてくるので、僕はゆっくりと首を縦に揺らした。
「分かりました……。それでは、お話ししましょう」
そう言って語り出したサリアの話しは、確かに“呪い”と言っても過言ではないことだった。
いつもとは違う、花びらが舞い散るきらびやかな大平原で、一人のツルペタ幼女が腹を抱えて笑い転げていた。
彼女は金髪碧眼にあどけなさが残る顔立ち、着ている装束は白一色でシルクのような輝きを放つローブを一枚纏っているだけであった。
その傍らにお行儀よく座る僕の名はニート。
この笑い転げている年齢詐称女性とその姉に頼まれて、ナトゥビアに猫として転生したのだ。
それが何故こんなに笑われているかというと……。
「そりゃニート……。抱き締められて鯖折りされてここに来るとか……。あははははははははは!!」
ゴロゴロと平原の草花を押し倒し、その女性、女神ディーテは更に笑い転げる。
―――うっさいうっさい! 僕だって、好きで鯖折りされたんじゃないやい!!
良い子の僕は彼女に対して叫びはするが、決して女性には手を出さないのだ。
「あはははは……! て、さっきからちょっと何なの!? アンタ一体どういう解説してんのよ!?」
因みに神であるディーテは性格が腐っていても女神であるため、僕の考えていることが……。
「だぁぁーーかぁぁーーらぁぁーー!!」
ディーテは僕の首根っこを掴むと僕の顔を自分の目の前に持ってきてキッと睨む。
―――だってさぁ、笑い過ぎじゃない!? そりゃちょっとは嫌味も言いたくなるよ。
「ちょっとじゃないでしょ! アンタは!」
―――そうかなぁ?
地球で人間だった頃まで遡って思い返してみるが、何も思い付かない。
「アンタ脳ミソ大丈夫? 蛆わいてない?」
ペシペシと僕の頭を空いてる手で叩きながら彼女は僕の顔をジロリと見た。
―――ディーテがそんなんだから、全部返ってきてるんだよ。因果応報ってやつじゃないかな?
「にぃぃぃぃぃぃとぉぉぉぉぉぉぉ……」
ちょっと言い過ぎたみたい。
「今さら遅いのよ……」
―――ごめんちゃい!
てへぺろ。
「何よそれ!」
―――滅多に見れない猫の“てへぺろ”だよ。きっと需要あるよ。
「本当にアンタ……。性格変わったよね……」
小さくため息をつき僕から手を離したディーテは、呆れたような表情で声を発した。
―――それは何となく僕も思ってるんだけど……。プロットもキャラも全部その場で作り出す作者のせいじゃないの?
「それは違いますよ……」
いつの間にかもう一人の女性が微笑みをその顔に携えて、僕たちの真横に立っていた。
「どういうこと、姉さん?」
彼女はサリア。僕の前にいるディーテの姉で、僕の知っているもう一人の女神である。
「まだやるんだ……」
―――こっから読む人いるかもしれないからね。でもこれで終わり。
「あっそう……」
「いいですか?」
首を傾げるサリアが怖い。
「どうぞどうぞ!」
―――どうぞどうぞ!
僕たちはサリアを両向かいで挟むように姿勢を正す。
「コホン……。では、なぜニートさんの性格が変わってきているかというと、ニートさんが段々と猫の精神に近付いていっているからです」
―――ほへ!?
驚きで僕が変な声をあげると、ディーテが横でクスリと笑った。
―――猫って、そんなに性格悪かったの?
僕が疑問の言葉を口にすると、ディーテがジト目を向けてきた。
「それ全部自分に返ってきてるって、分かってる?」
―――うっ!
さっきディーテに放った言葉が、今度は僕自信に返ってきたようだ。
―――で、でも、もしかしたら、違うかも……。
「いいえ、そんなことはありませんよ」
一縷の望みをかけて僕はサリアに聞き返すが、彼女は首を横に振りいつものように微笑んだ。
「作者の飼っている猫にアフレコすると、大体今のニートさんみたくなるそうですよ」
「……」
それって、猫とかどうとかじゃない気が……。てか作者、サリアの腹黒にかまけて言いたい放題言い過ぎだと思うんだけど。
「ニートさん……」
し、しまった!!
―――ごごごご、ゴメンナサイ。ソンナツモリジャナカッタンデス。
顔に暗い影を落としたサリアが、震える僕に微笑みを向けてくる。
―――ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ……。
僕は土下座して何度も謝罪の気持ちをサリアに伝える。
「ふぅー、まったく……。ニートさん、次はないですからね」
サリアの顔から暗い影が取れ、顔を上げた僕はホッとため息をついた。
「今度言ったら、蟻しか食べられない身体にしてあげますから、そのつもりで」
―――すいませんでした!!
ビシッと僕はサリアに敬礼する。
「ニート……。姉さんと私で随分態度が違うと思わない?」
ジーっと見詰めてくるディーテの視線を無視して、僕はサリアに気になっていたことを質問することにした。
―――サリア、リディーって何者なの? 自分でデザインチャイルドって言ってたけど。
「無視するな!!」
「まぁまぁまぁ、ディーテさん。話しが進みませんから、ここは抑えて」
「ぐぬぬぬ……!」
サリアに手で制されたディーテは歯茎を剥き出しにして歯軋りしている。
「リディー、でしたね……」
サリアは閉じていた目をゆっくりと開くと、真剣な眼差しで僕を見詰めてきた。
「彼女に関わるということは、千二百年に及ぶナトゥビアの呪いを知ることになります。それでも知りたいですか?」
―――ちょっと何それ? ヤダ怖い……。
呪いとか、バカ竜のハゲだけでいいよ。
もうお腹いっぱい。
「じゃあ止めとく? どうせ災禍の獣を追って行く内に、知ることになるとは思うけど?」
―――早いか遅いかってこと? えぇ……。
ナトゥビアの呪いとか、規模が大きいんだよね。
でも、どうせ後で知ることになるんなら、今の内に知っておくべきかも……。
うぅーん……。
―――よし。決めたよ……。教えてサリア。
「いいのですね?」
念押しでサリアが尋ねてくるので、僕はゆっくりと首を縦に揺らした。
「分かりました……。それでは、お話ししましょう」
そう言って語り出したサリアの話しは、確かに“呪い”と言っても過言ではないことだった。
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