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Baiser de sirène / ベーゼ デ セイレーン [仏]

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アンデルセン:
(私は・・日本の、通称"人魚みさき"と呼ばれる切りたった海岸に来ている・・・
眼前には果てしなく透き通るスカイブルー、それに一面に輝く大海原・・・吹き抜けていく心地いい風に気分は自然と爽快になります・・

調べてみると・・日本にも固有の"人魚伝説"がありました・・。
例えば・・・
八百比丘尼やおびくに伝説
ユナイタマ人魚伝説
・人魚御殿

私は民俗学の観点から、この様な民間の伝説はその真偽如何いかんよりも、

綿々めんめんとそれを言い伝えてきた、民族的な風土の豊かさにこそ本質があるような気がしているのです・・。

"人魚みさき"にも教訓めいた独特な話が伝わっていて、この辺りはそれを観光スポットの名物として盛り上げている様です。岬は安全対策でグルッと人魚のうろこを模したオシャレなフェンスで囲まれています・・。)



カイ:ねぇ、お姉さんっ人魚伝説に興味があるの?・・

アンデルセン:あら、こんにちは・・ええ、そうなの。

カイ:へ~日本語、上手ですね・・
泡紀あき:カイ・・・それって失礼だよっ
カイ:だって見た目が・・・

泡紀あき:そぉいうコト言わなぃっっ・・・キミは褒めてるつもりなのかも知れないけど、アドラーと"2022年5月"の吉野家の就職採用「外国籍お断り」事例を、もう一度よく自問しなさい。

カイ:え?よく分かんないっっ!!
アンデルセン:吉野家おいしいよねっ

カイ泡紀あき/アンデルセン:
ごくり・・・・




泡紀あき:(・・・・・と、言うわけでボク達はアンデルセンさんのレンタカーに同乗して、近場の吉野家でお昼を、ご馳走になる事になりました・・。)




カイ:へ~ぇアンデルセンって、"人魚姫"の童話を書いた人なんだ~もぐもぐ・・・

アンデルセン:そうなの、で、私はアンデルセンの子孫なのよ・・
※実史では、アンデルセンは生涯独身です。1875年8月(70歳)没※

カイ:"人魚姫"ってディズニーの作品かと思ってた。

泡紀あき:それも半分正解だよね・・ディズニー作の"リトルマーメイド"はディズニーの作品だけど、それはアンデルセンの"人魚姫"を下敷きにしてるから・・

アンデルセン:       ハンス       ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話の特徴は"グリム兄弟"と違って、ほとんどが創作なんだけど・・・"人魚姫"は地域の伝承が元になってるのよ・・・

カイ:そうなんだ・・・"白雪姫"とか"ラプンツェル塔の上の"もアンデルセン?

アンデルセン:
グリムとアンデルセンは、ほぼ同時代に活躍してるからアンデルセンの方が若手混同されちゃうのも無理ないかもね・・・
ハンスアンデルセンはデンマークの作家で
・グリムの2人はドイツだけど
お互いに会った事もあるし、ハンスアンデルセンもグリム兄弟を意識はしてたと思うな・・・

ちなみに"イソップ寓話・・"はもっと、もぉぉ~っっとふるくて紀元前のギリシャで編纂へんさんされた物なのよ・・。

泡紀あき:アンデルセンの"人魚姫"の儚さは・・・童話と言うよりは、もっと・・奥深くて・・ビターですよね・・・一説にはフケーのウンディーネ中編小説の影響もあったとか・・・

アンデルセン:そうね、フケーの"ウンディーネ"自体も、"錬金術師のパラケルスス"が提唱した"水の精霊ウンディーネオンディーヌ"が着想のもとになってるわよね・・・名前も同じだし・・・

フケーの"ウンディーネ"は、見様によっては悲劇だし・・・別の見方をすればスピリチュアルな形で成就した愛の形とも読み取れると思うの・・・

カイ:(ふ~ぅぅ満腹、満腹・・・)

泡紀あき:人魚って美しい反面、世界中で"不吉の前兆"として扱われてますよね・・・セイレーンもローレライも、"歌声"で船乗り達を難破させる象徴として描かれてきたし・・・

でも、アンデルセンの"人魚姫"は自己犠牲によって、これまでの人魚に取り巻くスティグマ烙印を彼女自身の決断で振り払う事に成功している・・・ボクは彼女の選択を尊敬するし、そんな風に描く事で"アンデルセン"が一般の人魚のイメージを変えた功績を素晴らしいと思うんです・・。

アンデルセン:有り難う、そう言って貰えると私も誇らしいわ。
それにしても、古典文学に随分、詳しいのね・・・・

カイ:泡紀あきは、人魚については、やたら詳しいんだよ・・な。
泡紀あき:趣味の範囲だけどね・・

カイ:まぁ、でもここの"人魚伝説"に興味があるなら、俺たちが力になれると思うよ
泡紀あき:(てゆーか、カイの提案で有益な情報を提供する代わりにお昼をご馳走になるって交渉したんだから、力になるのは当たり前・・・・・・・)

カイ:ここだけの話だけど・・俺、さっきの岬の下の岩場で人間くらいのサイズの海洋生物を見たことがあるんだ・・

アンデルセン:人魚・・・ジュゴン説?
カイ:海の生き物に詳しくないから分からないけど、確かにあの感じなら人魚に見間違えられる事もあると思う・・・

アンデルセン:面白いねっ!折角だから現場みてみたいなぁ
カイ:そう言うと思った!じゃあ、案内するよ。
泡紀あき:(先に案内すれば良かったのに・・また戻るなんて・・2度手間だなぁ・・・

僕たちはカイの言ってた岩場に到着すると、しばらくその場にとどまる事にした・・・)

アンデルセン:ねぇねぇ・・・あの子、キミの彼女なの?

カイ:(アンデルセンさんは、人魚への関心を余所よそに俺たちに興味を持ち始めている様だ・・)
え?泡紀あきは男だよ?

アンデルセン:そうなの??美人・・だから女の子かと思っちゃった・・

カイ:それ・・・本人に言ったら気分悪くするよ・・・気にしてるから、アイツ・・

アンデルセン:あ、気をつけます・・・

カイ:(結局、岩場に着いても、人魚の話はほとんど無く・・・
その代わり・・・

彼女アンデルセンがしばらくこの街に滞在する事や、
逆に3日後、俺はこの街を出て都会の大学へ進学する事や、
泡紀あきの妹が、泡紀あきのモノを欲しがって困っている事、等々
まったく他愛もない其々それぞれの身辺を取りとめもなく語り合った・・・)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

カイ:(その日の夜、いつもより輪郭のはっきりした満月に照らされた、"人魚岬"の岩場に再び俺は来ていた・・・

この街で暮らすのも、あと数日・・・俺にとって慣れ親しんだ、この場所で静かに1人・・・色々と考えたくなったのだ・・・

・・・・静かで・・・・いい夜だなぁ・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・!!!ゴォォォォ

物凄い水流の音に驚いて閉じていたまぶたを開くと目を見張った・・・・目の前にデッカイ水柱がそびえていたのだ・・・

完全にリラックスしていた俺は、その水柱がこっちに倒れてきている事を認識しても、微動だにできず・・・とぃうよりむしろ、どうしようもない事態に観念していた・・・・

水辺の水難事故のニュースをよく目にするが、きっとこんな風に心の準備なんか出来ずに、一瞬なんだろうな・・・と思った・・・)



ざっぶーん。。。



・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

カイ:(・・・誰かに・・・抱きかかえられてる・・・あたたかぃ・・・・)

ほづな人魚:ごめんね・・・目を開けて・・キミは無事だから・・・

カイ:え・・か・・・海中!?・・ブクブクブク
(そして・・俺を優しく抱きかかえている少女・・・裸????ぃや・・・
上半身は、胸当てのみで、下半身は尾ビレをひらひらさせている・・・
表情は・・どことなく泡紀あきに似ているが、胸から突き出した二つの大きな脂肪の塊がそれを否定していた・・・

俺は、この"ほづな"と名乗る人魚に命を救ってもらったらしいが・・・そもそもあの岩場で俺は、別の人魚に呪いを掛けられたらしく・・・その呪いを解かなければ、地上には戻れないと言う深刻な状況らしぃ・・・

・・・しかし、"ほづな"は、しきりに俺に謝罪してくる・・)

・・・俺はキミが助けてくれて感謝してるよ、なんでキミが謝るの?

ほづな:・・・・その・・・呪いを掛けたの・・・私の親族なんだ・・・

カイ:良いよ、もう謝んないで・・・
それより、俺に呪いを掛けた人魚、知ってるなら見つけるの手伝ってくれないかなっ?

ほづな:勿論っ、そのつもり!



カイ:それにしても・・・夜なのに海の中って明るいんだね・・・
ほづな:それは、今キミが"珊瑚のリング"を足首に巻いてるから・・・
カイ:あ、本当だ・・いつの間に・・・

ほづな:息が出来るのも同じ理由だよっ・・・でも3時間しか効果ないから、早く彼女を呪いを掛けた人魚見つけなきゃ・・・

カイ:便利なアイテムだね・・・あ、すごいっ!海底に"まりも"がいる~

(何気なく上を見上げると・・・"人魚岬"がフェンスもろとも半壊していた・・・うわ・・・さっきの"水柱"か・・・

・・・・・・

・・・・・・

"ほづな"の心当たりを散策したが、その人魚は見つからないみたいだった・・・もぅ1時間は経過したと思う・・・すると、どこからとも無く・・・美しい歌声・・・・・が、俺の耳に流れてきた・・・)

ほづな:どこ行くの?カイ・・・・
(カイは、私の声に見向きもせず、フラフラとまるで夢遊病者の様に、あらぬ方向へ進み始めた・・・その前方で一斉に黒いあぶくが湧き上がると、中から・・カイに災厄をもたらした本人、"ウィルビナ"が姿を現した・・・)

マズイ・・・・

ウィルビナ:~♪・・・
・・・カイ・・・つ~かま~えたっ♪ふふ・・・すっかり瞳から光が喪失しちゃってる・・・カワイイ♪
やっぱり人間の男は、人魚の歌声に弱いものね・・・ふふふ♪・・・

分かった?姉さん・・・好きなオスはこうやってモノにするのよ・・・
姉さんみたいに友達になれれば良いなんて、甘っちょろい事考えてると、この街に引き止める事は出来ないし、こうやって簡単に魅力的な女性オンナに男は魅了されちゃうものなのよ・・・・

・・・・これから、私が彼と繋がって虜にして一生この街から出れないようにしてやるから・・・そこで大人しく見てなさぃ・・

ほづな:カイ・・・ダメっっ!!!

ウィルビナ:ここは今、私の領域なの分かってる?

ほづな:あ・・・
(・・海底から伸びてきた海藻が束になって体に巻きつく・・・身動きを封じられた・・・)




ウィルビナ:人間の男と繋がるのなんて・・初めて・・・しかも姉さんが愛した人間と姦淫するなんて・・ゾクゾクしちゃう・・・ふふ・・・目がイっちゃってるね・・・彼も私の歌声聞いて理性ブッ飛んじゃってるわ・・・期待しててね・・水の中で交尾する気持ちよさ・・・満喫しよう・・♪

(彼の体は、私の歌声の虜になって、おちんちんを硬くさせている反面・・自力では指一本動かすことが出来なくなっている・・・脳と体を繋ぐ神経回路がブツブツと切断されて孤立した脳が、与えられる気持ち良い感覚だけに敏感に反応している・・・だから・・・彼が快楽を愉しめる様に私が動ぃてあげるの・・・彼の野蛮に硬くなったおちんちんを優しく取り出して・・外に解放してあげる・・・私の・・・おまんこに挿入しやすい形に起立した人間のおちんちん❤・・とても握りやすいカタチ❤・・簡単にシコシコしやすぃ硬さ❤・・おちんちんを手でギュってして上下にこすると・・・彼の口から切ない吐息がれる・・・・水中をたゆたう体に快楽の波が広がる・・・体の中心から隅々に至るまでビクンビクン恥ずかしい小刻みな痙攣が支配していく・・・)

イきたいね❤イきたいね❤・・・・シコシコ早くしてあげるからね・・・ほらほらァ❤・・イイよ・・・イっていいよ・・・私の手の中でイっちゃっていいんだよ❤・・・見せて❤・・・・キミのおちんちんから勢いよく精子がき出すところ・・・精子をぴゅっぴゅってしたら・・・その精子を私のおまんこに塗りつけて・・・次はそのキミの精液でネチャネチャになったおまんこの中で射精させてあげるからね~♪・・・・筋肉質なおちんちんが何回もビクンビクンチャレンジしてる❤・・・カワイイね・・・シコシコシッコシッッコォォ❤・・・・

ほづな:ウィルビナ・・めてあげて・・・これ以上彼にひどいことしないでぇぇ・・
目を覚ましてっっカイっっ!!

ウィルビナ:(ふん・・・馬鹿じゃないの・・・人魚の歌声に魅入られた男は丸一日自我を回復させる事なんて出来ないんだから・・・・それに・・・こんなに悦びの声を漏らしちゃって・・・どこが"酷いこと"なのかしら・・・)

スナオなおちんぽ好きよ~・・・海綿体パンパンに脈動させちゃってスナオね~・・・ほらっ・・・あ・・イクっ・・イくよこの子・・・イクイク・・ふふふ・・・

(その時・・・カイが両手を自分の耳元に伸ばして・・・耳の奥から何かを取り出した・・・)

ま・・・まりも???・・・



カイ:っはー!
やっぱり"まりも"じゃ完全には塞げなかったー!!
・・・・・
お前・・・泡紀あきの妹か・・・



ウィルビナ:(私は咄嗟とっさに歌おうと口を開く・・・するとカイが掴めるだけ掴んだ辺りの海藻を・・・私の口内にありったけネジ込んだ・・・)

グ・・グフッ・・・

カイ:・・・お前サイっっテー・・・

ほづな:カイっ・・・ごめんね・・・
カイ:(人魚・・・)
泡紀あきも無事でよかった・・・なぁ
隠してること、全部話して・・・
・・・・・・・・



(それは、まるで"アンデルセンの人魚姫"そのまんまだった・・・まぁ、泡紀あきは別にプリンセスでは無いみたいだが・・・・)

ほづな:愛した人に会う為に、地上に上がる為のすがたは自由に選択できるけど、一度決めたら変更することは出来ないの・・・

カイ:うん・・・俺は、男だろうと女だろうと・・・・泡紀あきの事を大切に思ってる・・・泡紀あきが望むなら・・・この街に残ってもいいよ・・・でも、そんな素振り出さなかったよねっキミはっ・・・

ほづな:ふふっ

カイ:はぁ~疲れた・・・・
ちょっと・・・このまま・・・・スヤ~

ほづな:(そして・・・愛した人と破局した人魚は・・・海の中で軽蔑されながら・・・泡になるの・・・

私は・・・キミの未来のが大事・・・

・・・大丈夫・・・この口付けで・・・全部わすれるから・・・・)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

アンデルセン:大学進学の門出だね♪
餞別せんべつに、大きい駅まで送ってあげるよ・・
(今日、カイくんがこの街から新生活へ船出する・・・)

カイ:助かりますっ・・・グゥ~

アンデルセン:あははっ
ついでにあの吉野屋寄ってこうか・・・
・・・・・・

・・・・・・

2人・・でここに来るのも出会った日以来だね~
(店に到着して注文してから、カイくんのバッグに目を向けた・・)
そのバッグのアクセサリー綺麗だね?

カイ:あ、アンデルセンさんと会った次の日、起きたら足に付いてたんですよね~これ・・

店内の客:"人魚岬"のフェンス・・しばらくあのまんまだってよ・・・

カイ:(窓から先端の欠けた"人魚岬"が見える・・・
通りの向うで、若い子たちがホースで樹木に散水している・・・
・・・ふざけて虹を作ろうと宙に向かって水を噴水していた・・・)

アンデルセン:はははっ暑いと水で遊びたくなるよね・・・

カイ:
(吉野屋・・・欠けた岬・・・・水柱・・・・足首の輪・・・・

・・・・・"珊瑚のリング"・・・・・?)

・・・・アンデルセンさんっ!!・・・俺っっ!!・・・





ウィルビナ:
姉さん・・・だんだん小さくなってきたみたぃ・・・・ふふふっ・・・・姉さんが泡になって消えるまで可愛い妹が傍で見ててあげるからね・・・・



ほづな:
・・・・・・




ウィルビナ:・・・・?
ほづな:・・・・・・?




ウィルビナ:
・・・・うそ・・・・・





ほづな:
(・・地上から私の名を叫ぶ声が聞こえた・・)
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