みかんちゃんの魔法日和〜平和な世界で暮らす、魔法使いの日常

香橙ぽぷり

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5年生6月

研究室のケッパー(後編)

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わたしはそう納得すると、ケッパーに質問しました。
「ケッパーは、いつも1人でここにいるの?」
それは寂しいだろうなって思います。
でもケッパーは不思議な仕組みになっていました。
「そう。でも私達ケパサは、魔法使いが持っている力を感じ取ると、目を覚ますようになっているの。
それまでは眠っています」
魔法使いの持っている力っていうと…。
「魔法の力を?」
わたしがそう確認すると、ケッパーはうなずきます。
そして今まで知らなかったことを教えてくれました。
「うん。魔法を使っていない時でも、充分力は出ているのよ」
そうなんだあ。
納得しそうになったけれど、わたしは大事なことを思い出します。
「でもわたしは今お休み中だよ?
普通ならそうかもしれないけど、魔法の種が休んでいる今もわかるものなの?」
そうだからこそ、ケッパーが起きているんだけどね。
不思議なので、わたしは詳しく聞いてみます。
でもケッパーが説明してくれたことは、わたしにはよくわからないことでした。
「みかんちゃんはカラーが白だから、使えなくなっているだけで、力は充分強いんです。
そしてケパサは、その人のカラーによって、顔の色が変わるようになっているのよ」
そうわたしのカラーだっていうまっしろな顔をして、ケッパーはいいます。
…ということは、ここが他の色にもなるんだね。
でもカラーって何だろう?聞いたことがありません。
白…白…。
わたしは色から考えてみます。
そして思い当たりました。
そっかあ!名字に白って入ってる。それのことだね。
わたしは自分でそう納得すると、話題を変えました。
「お母さんは、よくこの部屋に来ているの?」
すると思ったよりも多い回数でした。
「2日に1回は来ていますね。
お仕事に使うそうで、その出掛ける前の日に作ってます」
「お母さんって、そんなに出掛けていたんだあ」
わたしはそのことも知らなかったので、驚きました。
するとケッパーはうなずきました。
「うん。近くの町の悩み相談を受けているそうで、あまり日をあけられないんだとか」
「そうだったんだあ」
お母さんがお仕事に出掛けていることは、前から聞いていました。
でもそんなに一生懸命やっていたとは、知りませんでした。
わたしが家に帰ると、いつもお母さんはいてくれたから…。
魔法使いのお仕事っていうのは、みんなの役に立つことをすることです。
だったら何でもいいんだよ。
今まではお母さんのお仕事のお話を、詳しく聞いたことがありませんでした。
だから今日帰ってきたら、ぜひ聞いてみたいです。
そう考えて、わたしは肝心なことを思い出しました。
あっ!そういえば、この部屋へは勝手に入っちゃったことになっているんだったよ。
こういう大事な部屋に入ったっていったら、とっても怒られそうです。
そのお母さん達は、もうすぐ帰ってくるよね。
そろそろ戻らなくちゃ。
わたしはそう思って、ケッパーにお別れのあいさつをしました。
「ケッパー、いろいろ教えてくれてありがとう。
今度はこの部屋に入っていいっていわれるようになったら、また来るね。
魔法の森に行ったら、お薬の作り方を1つ教わるんだ。
その後なら大丈夫だと思うの」
お母さんが作っているお薬というのも、魔法の森で教わったものです。
魔法の森の学校では、お薬の作り方と魔法陣の描き方を、毎年1つずつ教えてもらえます。
そしてわたしも、今年最初のを教えてもらえるんだよね。
そうしたらお薬を作る時は、この研究室に入れてもらえるはずです。
そういうわたしを、ケッパーは元気に見送ってくれます。
「また会えるのを楽しみに待ってます」
「わたしもだよ」
そうケッパーに手を振って、上への階段を昇ります。
そして地下室の入り口をきちんと閉めて、魔法の部屋から出ました。
うん、これで大丈夫なはずです。
わたしが気づかないところに、研究室に入った跡があるかもしれないけどね。
あるいはわたしが来たことを、ケッパーから聞いてわかっちゃうかもしれません。
でもわたしからは、しばらくないしょにしておこうと思いました。
それにしても、家にケッパーがいたのにはびっくりです。
だからきっとお母さんは、研究室にいても寂しくないんだね。
そんな家の秘密を知って、なんだかさわやかな気分になりました。
それで気合いも入ります。
「よーし!じゃあお母さん達が帰ってくるまで、宿題しておこう」
さっきやろうと出しておいた算数ドリルを、しっかりやることにしました。
お母さんは、今もお仕事をがんばっているんだもん。
わたしも勉強しなくちゃね。
そう元気になって、わたしの机へと戻りました。

そして宿題が半分終わった頃です。
玄関の戸の開く音がしました。
それでわたしは玄関に走っていきます。
そして久しぶりにいいました。
「お帰りなさい」
するとお母さんとテトリちゃんは、びっくりした顔をしました。
そしてわたしに確認します。
「みかん、帰ってたの?
今日は12時30分じゃなかったっけ?」
やっぱりわたしが思っていた通りでした。
わたしが帰ってくるまでに帰るように、考えてくれていたんだね。
わたしは昨日いった間違いを訂正します。
「それはみんなの時間でね。
注射のないわたしは、1時間早かったの」
この言葉に、お母さんは納得します。
「そうだったの」
お母さんはお仕事をしながらも、甘えん坊なわたしに気を使ってくれていたんだね。
そうわかったわたしは、心があったかくなりました。
「2人でどこに行ってたの?」
そうわたしが普通に聞くと、テトリちゃんが答えてくれました。
「隣町ですよ。ご主人様は、近くの魔法使いがいない町に通って、お仕事をしているんです」
そうケッパーと同じことを話してくれます。
おかげでわたしは、聞きたかったことを聞くことができました。
「お母さんって、どんなお仕事をしているの?
教えて教えて」
するとお母さんも、うなずいてくれました。
「そういえば、詳しい話はしたことがなかったわね」
それからはみんなでお昼ご飯を食べる時間です。
作っている時や、食べ終わってからもまた、ゆっくり話してくれました。
まずお仕事は、わたしが小学生になってから始めたということ。
その4年間に頼まれた、いろいろなお仕事のこと。
覚えた魔法やお薬を使って、いろいろなことを解決していたみたいです。
魔法ってそういうふうにも役に立つ物なんだなって、発見がいっぱいでした。
わたしももっと、みんなが喜ぶような魔法を使えるようにならなくちゃ。

そうそう、研究室に入ったことを、お母さんに注意されることはありませんでした。
ケッパーが黙っていてくれたのかな?
ほっと一息だけど、お母さんに秘密ができてしまいました。
今度研究室に入った時には、ちゃんといおうと思います。
あ、お母さんの話ばかり聞いていて、わたしの身体測定の結果をいうのを忘れてたよ。
みーんな健康で、せっかく身長が伸びてたのにね。



2004年9月制作
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