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一章
3話
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『ペースを上げてください!自分を追い込むのです。自分を自分で苛めぬいて下さい!』
「ぜぇ…ぜぇ……む……無理……もう限界……」
『限界は自分で決める物ではありません。そして限界は超えるためにあるのです』
ロゼと契約した翌日、体力をつけるために俺は走っていた。隣には宙に浮きながら真横を並走?しているロゼ。
インドア派の俺は体力が全くない。五百メートル走るだけで息は上がり、肺と脚が悲鳴を上げる。
『開戦するのがいつかわからないのです。ランニングの後は体術の習得です』
「ほ…本当に……もう無理……」
『ファイトです!主人ならやれます!頑張れー』
隣でニコニコ笑っているスパルタ教官は俺を休ませることをしない。
開戦前に死ぬかもしれない……。
ーーー
走って到着したのは山の中にある、開けた場所。
半径十メートルほどの広場が出来ている場所で俺は空を見上げ倒れている。
『三分の休憩を挟み体術の習得に移ります。それまでに息を整えていて下さ』
「はぁはぁ……三分って……」
『今日頑張れば明日は筋肉の回復をさせるためにランニングのみなので頑張ってください』
そのランニングが俺からすれば地獄なのだが、そんなことも言わせない。そんな雰囲気を醸し出しているロゼに俺は何も言えない。
『それにしても特訓する場所に最適ですねここは。いい特訓ができそうです。さてそろそろ三分ですね。立ってください、体術の特訓を開始します』
まだ息は整っていないし若干吐気もする。しかしそんなことを言っていられない。ガクガク震える膝に手を添え無理矢理立ち上がる。
『まずは基本の型から始めましょうか』
そう言うと突きや蹴りをゆっくりとした速度で放ち始める。型を見たのは初めてだがロゼの放つ突きや蹴りは綺麗に見える。
『そして中段の蹴りの勢いを利用しつつ逆の脚で回し蹴りって、ちゃんと聞いてます?』
「あっ……」
『これは基本なので、しっかりと見て覚えてください。基本の型を蔑ろにすると痛い目をみますよ』
「ごめん……」
もう一度最初から型をやりはじめるロゼ。
次は真面目に型を見て覚える。
『それでは一緒にやってみましょう。目の前に立ってください』
言われた通りにロゼの目の前に移動する。
『最初は前方に突きです』
突き、蹴り、様々な位置にたいしての攻撃をロゼの真似をして放つ。
しかし突きを数回やるだけで腕は徐々に上がらなくなり、上段の蹴りは体が硬いせいで中段の蹴りになる。
『腕を上げて真っ直ぐ突いてください!上段の蹴りはもっと上です。そこは中段の位置です』
「わかってるよ!でも腕は上がらないし、蹴りはこの位置が限界なんだよ」
『体力がないうえに体が硬いのは致命的ですね……』
ロゼが真剣な表情で俺を見る。
『毎日の柔軟、体力強化、そして自衛手段の習得。やることはいっぱいですね』
「手加減してください……マジで本当に……」
『無理です』
即答そしてにこやかに答えるロゼ。
目の前に鬼畜がいる。しかしそれと同時に自分が不甲斐なく思えてくる。
体力もない、数回で腕が上がらなくなる、まともな蹴りも出来ない。
『まだ初日です。毎日ちゃんと特訓すれば多少はましになりますよ』
慰めているのか優しい表情でいうロゼ。
確かに初日だ。だがいつ開戦するかもわからない状態でダラダラと特訓する訳にもいかない。俺は必死にロゼの真似をする。腕が脚が疲労がたまり動くのが億劫になってくる。しかし俺は動かし続ける。
「はぁはぁ……」
『そうです!今の突きを覚えておいて下さい。今の突きはよかったですよ』
特訓はまだまだ続く。必死に俺は体を動かし真似ていく。これは自分のためだ自分が死なないためにやらなければいけないことなのだ。
ーーーー
特訓を始めて一ヶ月。
体力も徐々に付き毎日特訓している山の中の広場までなら少し息を切らすだけで走りきることができるようになった。
そして今は基本の型を速いスピードでやっている。
一ヶ月前のように数回で腕が疲れるような事もない。そして毎日の柔軟のお陰がまだ少し位置は低いが上段の蹴りも打てるようになっていた。
『マイクテス、マイクテス。聞こえてるかな?』
目の前で同じように型をやっていたロゼが型をやめこちらに体を向けると、ロゼの声ではない少年のような声が聞こえてきた。
『さて自己紹介からやろうか。僕はネルベタ。君達に装飾品を与えた神だよ。そして聖霊や聖獣を造り出したのも僕』
今話しているのが本に書かれていた神か、そうなれば最後の二人は……。
『君達百人には聖霊や聖獣を宿した装飾品が手元にあるよね。君達は契約した聖霊、聖獣を使い最後の一人になるまで戦ってもらうよ。そして最後の一人には願いを叶えてあげる』
「願いってどんな願いでもいいのかな」
『おっと、いい質問だね。願いはどんな願いでも構わない。例えばこの世界から人を一人残さず消してくれって願いでもいいし、ハーレムを作りたいってのもいい。そして命を造り出す事も可能さ』
本当に何でもありだな。
しかしそれが本当なのか、それがどうかはわからない。
『最後の一人になった者はどんな願いも叶えてもらえる。実にシンプルでわかりやすい、そう思うでしょ。そして今この時から戦いは始まる。既に百人の者に聖霊や聖獣が宿った装飾品は色んな形で配り終えた。だからーーーー』
神と名乗る者が溜めに溜めて、聞きたくない一言を、百人の者達の戦争開始の合図を今ここに宣言する。
『開戦!』
今この時をもって百人の契約者達の戦いが始まった。
「ぜぇ…ぜぇ……む……無理……もう限界……」
『限界は自分で決める物ではありません。そして限界は超えるためにあるのです』
ロゼと契約した翌日、体力をつけるために俺は走っていた。隣には宙に浮きながら真横を並走?しているロゼ。
インドア派の俺は体力が全くない。五百メートル走るだけで息は上がり、肺と脚が悲鳴を上げる。
『開戦するのがいつかわからないのです。ランニングの後は体術の習得です』
「ほ…本当に……もう無理……」
『ファイトです!主人ならやれます!頑張れー』
隣でニコニコ笑っているスパルタ教官は俺を休ませることをしない。
開戦前に死ぬかもしれない……。
ーーー
走って到着したのは山の中にある、開けた場所。
半径十メートルほどの広場が出来ている場所で俺は空を見上げ倒れている。
『三分の休憩を挟み体術の習得に移ります。それまでに息を整えていて下さ』
「はぁはぁ……三分って……」
『今日頑張れば明日は筋肉の回復をさせるためにランニングのみなので頑張ってください』
そのランニングが俺からすれば地獄なのだが、そんなことも言わせない。そんな雰囲気を醸し出しているロゼに俺は何も言えない。
『それにしても特訓する場所に最適ですねここは。いい特訓ができそうです。さてそろそろ三分ですね。立ってください、体術の特訓を開始します』
まだ息は整っていないし若干吐気もする。しかしそんなことを言っていられない。ガクガク震える膝に手を添え無理矢理立ち上がる。
『まずは基本の型から始めましょうか』
そう言うと突きや蹴りをゆっくりとした速度で放ち始める。型を見たのは初めてだがロゼの放つ突きや蹴りは綺麗に見える。
『そして中段の蹴りの勢いを利用しつつ逆の脚で回し蹴りって、ちゃんと聞いてます?』
「あっ……」
『これは基本なので、しっかりと見て覚えてください。基本の型を蔑ろにすると痛い目をみますよ』
「ごめん……」
もう一度最初から型をやりはじめるロゼ。
次は真面目に型を見て覚える。
『それでは一緒にやってみましょう。目の前に立ってください』
言われた通りにロゼの目の前に移動する。
『最初は前方に突きです』
突き、蹴り、様々な位置にたいしての攻撃をロゼの真似をして放つ。
しかし突きを数回やるだけで腕は徐々に上がらなくなり、上段の蹴りは体が硬いせいで中段の蹴りになる。
『腕を上げて真っ直ぐ突いてください!上段の蹴りはもっと上です。そこは中段の位置です』
「わかってるよ!でも腕は上がらないし、蹴りはこの位置が限界なんだよ」
『体力がないうえに体が硬いのは致命的ですね……』
ロゼが真剣な表情で俺を見る。
『毎日の柔軟、体力強化、そして自衛手段の習得。やることはいっぱいですね』
「手加減してください……マジで本当に……」
『無理です』
即答そしてにこやかに答えるロゼ。
目の前に鬼畜がいる。しかしそれと同時に自分が不甲斐なく思えてくる。
体力もない、数回で腕が上がらなくなる、まともな蹴りも出来ない。
『まだ初日です。毎日ちゃんと特訓すれば多少はましになりますよ』
慰めているのか優しい表情でいうロゼ。
確かに初日だ。だがいつ開戦するかもわからない状態でダラダラと特訓する訳にもいかない。俺は必死にロゼの真似をする。腕が脚が疲労がたまり動くのが億劫になってくる。しかし俺は動かし続ける。
「はぁはぁ……」
『そうです!今の突きを覚えておいて下さい。今の突きはよかったですよ』
特訓はまだまだ続く。必死に俺は体を動かし真似ていく。これは自分のためだ自分が死なないためにやらなければいけないことなのだ。
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特訓を始めて一ヶ月。
体力も徐々に付き毎日特訓している山の中の広場までなら少し息を切らすだけで走りきることができるようになった。
そして今は基本の型を速いスピードでやっている。
一ヶ月前のように数回で腕が疲れるような事もない。そして毎日の柔軟のお陰がまだ少し位置は低いが上段の蹴りも打てるようになっていた。
『マイクテス、マイクテス。聞こえてるかな?』
目の前で同じように型をやっていたロゼが型をやめこちらに体を向けると、ロゼの声ではない少年のような声が聞こえてきた。
『さて自己紹介からやろうか。僕はネルベタ。君達に装飾品を与えた神だよ。そして聖霊や聖獣を造り出したのも僕』
今話しているのが本に書かれていた神か、そうなれば最後の二人は……。
『君達百人には聖霊や聖獣を宿した装飾品が手元にあるよね。君達は契約した聖霊、聖獣を使い最後の一人になるまで戦ってもらうよ。そして最後の一人には願いを叶えてあげる』
「願いってどんな願いでもいいのかな」
『おっと、いい質問だね。願いはどんな願いでも構わない。例えばこの世界から人を一人残さず消してくれって願いでもいいし、ハーレムを作りたいってのもいい。そして命を造り出す事も可能さ』
本当に何でもありだな。
しかしそれが本当なのか、それがどうかはわからない。
『最後の一人になった者はどんな願いも叶えてもらえる。実にシンプルでわかりやすい、そう思うでしょ。そして今この時から戦いは始まる。既に百人の者に聖霊や聖獣が宿った装飾品は色んな形で配り終えた。だからーーーー』
神と名乗る者が溜めに溜めて、聞きたくない一言を、百人の者達の戦争開始の合図を今ここに宣言する。
『開戦!』
今この時をもって百人の契約者達の戦いが始まった。
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