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第8話 勧誘
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「改めて自己紹介しようー」
小野寺さんが何やら懐からゴソゴソと取り出して渡してくる。
「どうもお世話になっとります、私こういうものでして」
そこにはこう記されていた。
『白の騎士団序列第4位 前衛隊長兼人事部長 小野寺隆文』
「サラリーマンかっ」
思わず突っ込んでしまうと、照れ臭そうに小野寺さんが笑った。
「いやぁ、この歳になると現実とゲームを分けて演じる、なんて器用な真似はできんのでな」
「そんなもんですか…」
「そんなもんよ」
小野寺さんは、テカテカと光る坊主頭をポンとひとつ叩く。
それから真剣な表情になった。
「このゲームはPKアリだからな、さっきの奴らもフェアじゃないが、
違法行為ってわけでもない。以降気をつけるんだな」
「はい、ありがとうございます…本当に助かりました。
あ、俺はリョウキって言います」
ニアもぺこぺこと頭をさげる。
「ありがとうございます…ニアです」
「まぁいいってことよ。幸い収穫もあったことだしな」
そう言って小野寺さんはじっと俺を見つめる。
さすがにドキドキ…はしないが、気まずい。
「ニアくんを守ったあの一撃、実に見事だった」
「いや、ほんのまぐれで…」
「確かにカウンターできたのは偶然かもしれん。
だが、ニアくんの前に立ったのは、君の意志だろう」
面と向かって改めて言われると、何とも恥ずかしくなる。
頬が熱くなり、思わずうつむいてしまった。
「その意志のあり方を、見事と言った」
「夢中だっただけです。でも、ありがとうございます」
「これまで何度も初心者狩りのPKに遭遇したが、大半の若造はパートナーを見捨てて逃げ出すぞ」
やれやれ、といかにもオヤジ臭い口調で小野寺さんがぼやいた。
「逃げ出す」という言葉に、少しだけ苦い思いがこみ上げる。
俺だって、最初は逃げようとしたんだ。
最初から最後までカッコ良くいられたわけじゃない。
レア、とニアを蔑んだクリムゾンの奴らを、俺が糾弾する資格はないのかもしれない。
確かに俺にも、所詮はレア、という考えがよぎったのだ。
小野寺さんは、黙り込んだ俺の肩を今度こそ優しくぽん、と叩く。
「何はともあれ、君は逃げないことを選んだ。結果オーライだ」
「そうですよ、あのクリムゾンの呼吸する生ゴミさんたちよりずっと素敵ですわ」
アイシャにそう言われても、まっったく褒められている気がしない。
むしろ、けなされてる…?
あれ…ちょっと快感…?
と、今度はニアに睨まれる前に真剣な表情で取り繕う。
良かった、今回は気づかれていない。
突然、小野寺さんがびしっと俺を指差した。
「そこでだ、リョウキくん。良かったら、我ら白の騎士団の入団試験を受けてみないかね」
「入団試験?」
「そうだ。自分たちで言うのも何だが、ルンデスでは1、2を争うトップギルドだぞ。
君が何をしたいかは知らんが、いずれにせよソロプレイは効率が悪い」
「なるほど…」
ルーンデスティニー、略してルンデスって言うのか。
はじめて知った。
にしても、小野寺さん…見た目はともかく、精神年齢は若々しいようだ。
「それに、次もまた守りきれるとは限らんぞ」
「それは、確かに…」
「(惚れたんだろう?)」
いきなり顔を近づけてそう囁かれ、俺はあわてて首を振る。
「そ、そんなんじゃないですよ!」
「…何がですか?」
怪訝そうな顔で会話に加わろうとするニアに、
あわてて弁解する。
「いやいや、なんでもないなんでもない」
「うむうむ、青年よ女を抱け、だな」
「死んでおきなさいマスター」
ニヤニヤする小野寺さんを、アイシャが容赦なく弓でぶっ叩いた。
とはいえ、だ。
白の騎士団がトップギルドだとしたら、こんなにありがたい話はない。
特に攻略目標を決めているわけではないが、というかロクにゲームの知識はないが、
小野寺さんの言うとおり、ソロプレイは効率が悪すぎる。
というか、MMOである以上、ソロを貫く理由はあまり無い。
何より、ニアをロストしたくはなかった。
「ニアはどう思う?ギルドに入ること」
ニアがはっとした表情を浮かべ、それから真剣に頷いた。
「私は、小野寺さんもアイシャさんもいい人だと思います。
だから、リョウキさんが良ければ、試験を受けてみてもいいんじゃないですか」
「わかった」
小野寺さんに頭をさげる。
「試験を受けます、よろしくお願いします」
「そうかそうか、まぁ試験と言っても形式的なものだから安心しろ」
ガッハッハ、と小野寺さんが豪快に笑う。
その言葉がとんでもない大嘘だと知るのは、もうしばらく先のことになる。
小野寺さんが何やら懐からゴソゴソと取り出して渡してくる。
「どうもお世話になっとります、私こういうものでして」
そこにはこう記されていた。
『白の騎士団序列第4位 前衛隊長兼人事部長 小野寺隆文』
「サラリーマンかっ」
思わず突っ込んでしまうと、照れ臭そうに小野寺さんが笑った。
「いやぁ、この歳になると現実とゲームを分けて演じる、なんて器用な真似はできんのでな」
「そんなもんですか…」
「そんなもんよ」
小野寺さんは、テカテカと光る坊主頭をポンとひとつ叩く。
それから真剣な表情になった。
「このゲームはPKアリだからな、さっきの奴らもフェアじゃないが、
違法行為ってわけでもない。以降気をつけるんだな」
「はい、ありがとうございます…本当に助かりました。
あ、俺はリョウキって言います」
ニアもぺこぺこと頭をさげる。
「ありがとうございます…ニアです」
「まぁいいってことよ。幸い収穫もあったことだしな」
そう言って小野寺さんはじっと俺を見つめる。
さすがにドキドキ…はしないが、気まずい。
「ニアくんを守ったあの一撃、実に見事だった」
「いや、ほんのまぐれで…」
「確かにカウンターできたのは偶然かもしれん。
だが、ニアくんの前に立ったのは、君の意志だろう」
面と向かって改めて言われると、何とも恥ずかしくなる。
頬が熱くなり、思わずうつむいてしまった。
「その意志のあり方を、見事と言った」
「夢中だっただけです。でも、ありがとうございます」
「これまで何度も初心者狩りのPKに遭遇したが、大半の若造はパートナーを見捨てて逃げ出すぞ」
やれやれ、といかにもオヤジ臭い口調で小野寺さんがぼやいた。
「逃げ出す」という言葉に、少しだけ苦い思いがこみ上げる。
俺だって、最初は逃げようとしたんだ。
最初から最後までカッコ良くいられたわけじゃない。
レア、とニアを蔑んだクリムゾンの奴らを、俺が糾弾する資格はないのかもしれない。
確かに俺にも、所詮はレア、という考えがよぎったのだ。
小野寺さんは、黙り込んだ俺の肩を今度こそ優しくぽん、と叩く。
「何はともあれ、君は逃げないことを選んだ。結果オーライだ」
「そうですよ、あのクリムゾンの呼吸する生ゴミさんたちよりずっと素敵ですわ」
アイシャにそう言われても、まっったく褒められている気がしない。
むしろ、けなされてる…?
あれ…ちょっと快感…?
と、今度はニアに睨まれる前に真剣な表情で取り繕う。
良かった、今回は気づかれていない。
突然、小野寺さんがびしっと俺を指差した。
「そこでだ、リョウキくん。良かったら、我ら白の騎士団の入団試験を受けてみないかね」
「入団試験?」
「そうだ。自分たちで言うのも何だが、ルンデスでは1、2を争うトップギルドだぞ。
君が何をしたいかは知らんが、いずれにせよソロプレイは効率が悪い」
「なるほど…」
ルーンデスティニー、略してルンデスって言うのか。
はじめて知った。
にしても、小野寺さん…見た目はともかく、精神年齢は若々しいようだ。
「それに、次もまた守りきれるとは限らんぞ」
「それは、確かに…」
「(惚れたんだろう?)」
いきなり顔を近づけてそう囁かれ、俺はあわてて首を振る。
「そ、そんなんじゃないですよ!」
「…何がですか?」
怪訝そうな顔で会話に加わろうとするニアに、
あわてて弁解する。
「いやいや、なんでもないなんでもない」
「うむうむ、青年よ女を抱け、だな」
「死んでおきなさいマスター」
ニヤニヤする小野寺さんを、アイシャが容赦なく弓でぶっ叩いた。
とはいえ、だ。
白の騎士団がトップギルドだとしたら、こんなにありがたい話はない。
特に攻略目標を決めているわけではないが、というかロクにゲームの知識はないが、
小野寺さんの言うとおり、ソロプレイは効率が悪すぎる。
というか、MMOである以上、ソロを貫く理由はあまり無い。
何より、ニアをロストしたくはなかった。
「ニアはどう思う?ギルドに入ること」
ニアがはっとした表情を浮かべ、それから真剣に頷いた。
「私は、小野寺さんもアイシャさんもいい人だと思います。
だから、リョウキさんが良ければ、試験を受けてみてもいいんじゃないですか」
「わかった」
小野寺さんに頭をさげる。
「試験を受けます、よろしくお願いします」
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その言葉がとんでもない大嘘だと知るのは、もうしばらく先のことになる。
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