なけなしの石で引いたガチャから出てきた娘がただのレアだった件

きゅちゃん

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第27話 援軍

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「ずいぶんご無沙汰ね、マイダーリン」

小野寺さんが呼び出したのはパートナーキャラだ。
アイシャがロストして以来、意図的に空席にしていたその場所に、豪奢な紫髪の美女が忽然と姿を表す。

「…見ての通り、大ピンチだ。力を借りたい」

苦い顔で、小野寺さんが美女に頼んだ。

「あら、アタシとあなたの仲じゃない…なにも遠慮することなくってよ」

そういって婉然と微笑む美女。
「SSR アスト クラス:ハーミット」

「アイシャがいなくなったから、アタシを呼んだのね…まぁいいわ」

迫り来るリザードマンの軍団を一睨みすると、すぐさま詠唱に入る。
周囲の空間に、目に見えない圧力がかかりはじめた。
凄まじい魔力が、アストの両手に流れ込んでいく気配がある。

「天国と地獄、まとめて味わえるお徳パックよ…ヘルアンドヘヴン!」

アストの左腕からは漆黒の波動が、右腕からは純白の波動がそれぞれ放たれた。
中途で入り混じり、光と闇の入り混じった奔流を形成する大魔法が、リザードマン軍団の中枢で破裂した。

「グギギ!?」

「グギャ!!!」

爬虫類らしい耳障りな悲鳴とも怒号ともつかぬ声を発しながら、リザードマンたちが次々と消滅していく。
…恐るべき威力だな、これは。
光と闇の相反する属性を上級クラス、ハーミットの超必殺大魔法。
思わず感服するが、当のアストは事も無げに手をひらひらと振った。

「これでMPゼロだから、あとはアンタたちで適当にやりなさいよ」

「…言われるまでもないわ」

呆然と魔法を見守っていたエリスが、我に返ったように敵陣へと突進する。
俺と小野寺さんもあとに続き、混乱する残敵の掃討に加わった。

「…なんとか切り抜けたな」

「…ええ」

「アタシに感謝のキスぐらいくれたっていいのに」

そういって流し目をくれるアストに、小野寺さんは返事をしない。
あれだけ女好きっぽいのに、なぜかアストのことは苦手みたいだ。

「これ、よかったらどぞ」

ニア用のMP回復ドリンクを差し出す。

「あら、気が利くボーヤね」

受け取ったアストがわざとらしくウィンクしてくるので、思わず赤面する。

「ちょっと…なに赤くなってんの」

「いたた…足を踏むな足を」

エリスがグリグリとブーツのヒールをねじ込んできた。

「あらら…お嬢ちゃんの玩具を取りあげる気はなくってよ。アタシ、年上にしか興味ないし」

「な…そんなんじゃ!」

エリスの耳が赤いのは気のせいだろうか。
ぼんやりとそんなことを思っていると、アストがニヤリとほくそ笑む。

「ふふん…お互い苦労しそうね」

そういってぽんぽん、とエリスの肩を叩いた。

「ちょ、どういう意味?!」

「さ、さっさと先に行きましょ。恋する乙女に、こんなところで油売ってる暇はないのよ」

「わけわかんないこと言わないでよ!」

すっかりペースを呑まれ、からかわれるエリスの様子がおかしくて、思わずクスリと笑ってしまう。

「なに笑ってんのよ?」

見とがめたエリスがギロリ、と睨んでくる。

「い、いや、アストがあんまりに面白いんで…」

「おもしろくない!」

そう言い捨てるや否や、ふてくされたようにいきなり座り込む。

「疲れたからチェンジしてよ!」

「はいはい」

入れ替わるようにして現れたニアが、目の前に突然出現していた紫髪の美女に驚く。

「あ、あのはじめまして…ニアです、宜しくお願いします」

「あら…こちらは礼儀を弁えた素敵なお嬢さんね。かわいいじゃない」

そういっていきなりニアを抱きしめた。
豊かな胸がニアの顔におおいかぶさり、なんとも羨ましい状況になっている。

「わふ…大きいです」

「ひょっとして本命はこちらかしら?」

「な、なんのことでしょう」

いきなり急所を突かれ、俺はドキドキしながらしらばっくれる。

「うんうん、命短し恋せよ若者ってね…」

どこか悟ったような表情で呟き、その豊かな胸からニアを解放した。
渋い顔のままなにも言わない小野寺さんを不思議に思い、俺は話しかける。

「こんな美女SSRを隠し持ってるとは…すごいですね」

「どこが美女だか…」

「え、小野寺さんの好みじゃないんですか?」

小野寺さんの渋面が一層濃くなった。

「…あれはオトコなの!オトコ!」

聞き咎めたアストが、ちっちっと指を振って訂正する。

「心は可憐な乙女、不幸にして身体はオトコ…その名は、アスト・エル・エンペルージュよ!」
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