19 / 21
第19話 愛と闇の最終決戦
しおりを挟む
教会全体が私の愛の光で満たされていく。
温かく、優しく、そして強い——それは、今まで感じたことのない力だった。
「くっ......この光は......」
深淵の王が苦しそうに顔を歪めた。
「これが愛の力です」
私は一歩前に進んだ。
「憎しみや絶望ではなく、人を思いやる心から生まれる力」
「そんなものに......負けるものか!」
深淵の王が両手を広げると、黒いエネルギーが渦巻き始めた。教会の床が震え、窓ガラスがひび割れていく。
「みんな、伏せて!」
黒い光線が私に向かって放たれた。その瞬間——
「させない!」
アルベルトが私の前に立ちはだかった。
「アルベルト様、危ない!」
でも、彼は微動だにしなかった。代わりに、私の手を強く握った。
「一人じゃない。僕も一緒に戦います」
その瞬間、奇跡が起きた。
私とアルベルトの手を繋いだ部分から、さらに強い光が溢れ出したのだ。二人の愛が一つになって、巨大な盾を作り上げた。
黒い光線は、その盾に当たって消滅した。
「馬鹿な......二人の愛が共鳴している......」
深淵の王が驚愕の表情を見せた。
「そうです」
私は確信を持って言った。
「愛は一人では完成しません。互いに愛し合うことで、無限の力になるのです」
エリスも私たちの側に来た。
「私も加わります」
エリスが私たちの手に触れた瞬間、光がさらに強くなった。
「仲間の愛、友情の愛......全ての愛が、力になります」
トムたち子どもたちも、恐怖を押し殺して立ち上がった。
「俺たちも!」
「聖女様のために!」
子どもたちが手を繋いで輪を作る。その輪が、私たちを中心に広がっていく。
招待客たちも、次々と立ち上がって手を繋ぎ始めた。
「聖女様を信じています!」
「みんなで力を合わせましょう!」
教会全体が、愛の光で包まれていく。
深淵の王が後ずさりした。
「そんな......こんなはずでは......」
「深淵の王」
私は彼に歩み寄った。
「あなたは、なぜそこまで光を憎むのですか?」
「それは......」
初めて、彼の表情に迷いが見えた。
「かつて、私も愛を信じていた」
深淵の王が静かに語り始めた。
「大切な人がいた。家族も、友人も。だが——」
彼の声が震えた。
「戦争で全てを失った。愛する者たちは皆、光の名の下に殺されたのだ」
「それは......」
「光の神を信じる国が、闇の神を信じる国を侵略した」
深淵の王の瞳に涙が浮かんだ。
「正義という名の虐殺。希望という名の絶望」
私は息を飲んだ。彼もまた、被害者だったのだ。
「だから、私は全ての光を憎んだ。愛を信じた自分を憎んだ」
「でも——」
私は優しく言った。
「それは本当の光ではありません」
「何?」
「人を傷つける光なんて、偽物です」
私は彼の手を取った。
「本当の光は、全ての人を照らします。光も闇も、分け隔てなく」
深淵の王の手が震えた。
「あなたも、愛されるべき存在なのです」
私の光が、彼の心に触れた。
すると、深淵の王の体から黒いエネルギーが抜けていく。まるで、長年の呪縛が解けるように。
「私は......私は......」
彼が膝をついた。涙が頬を伝っている。
「許してくれ......私は、間違っていた......」
「もう大丈夫です」
私は彼を抱きしめた。
「これからは、一緒に生きましょう」
深淵の王——いや、一人の人間が、子どものように泣いていた。
その時、教会の霧が晴れ始めた。窓から暖かい光が差し込んでくる。
戦いは終わった。
大司教が進み出た。
「素晴らしい......これこそ、真の愛の力です」
招待客たちから、拍手が起こった。
「聖女様!」
「愛の力で、闇を救った!」
私はアルベルトを見つめた。
「ありがとうございます。一緒に戦ってくれて」
「当然です」
彼が微笑んだ。
「僕たちは、これから夫婦になるのですから」
そうだ。まだ、結婚式は終わっていない。
大司教が再び祭壇の前に立った。
「それでは、式を続けましょう」
改めて、私とアルベルトは向かい合った。
「アルベルト・クリア」
大司教が厳かに問う。
「あなたは、ルーナ・スミスを妻として、病める時も健やかなる時も、愛することを誓いますか?」
「誓います」
「ルーナ・スミス」
今度は私に向かって。
「あなたは、アルベルト・クリアを夫として、病める時も健やかなる時も、愛することを誓いますか?」
「誓います」
大司教が微笑んだ。
「それでは、指輪の交換を」
アルベルトが私の薬指に指輪をはめる。私も、彼の指に指輪をはめた。
「神の御名において、二人が夫婦であることを宣言します」
そして——
「新郎は新婦にキスをしてもよろしい」
アルベルトが私を抱き寄せた。
「愛しています、ルーナ」
「私も、愛しています」
優しいキスが、私たちの永遠の愛を封印した。
教会が拍手と歓声に包まれる。
外では、鐘が鳴り響いていた。
偽物の聖女だった私が、本物の愛を見つけた。
そして今、新しい人生が始まろうとしていた。
温かく、優しく、そして強い——それは、今まで感じたことのない力だった。
「くっ......この光は......」
深淵の王が苦しそうに顔を歪めた。
「これが愛の力です」
私は一歩前に進んだ。
「憎しみや絶望ではなく、人を思いやる心から生まれる力」
「そんなものに......負けるものか!」
深淵の王が両手を広げると、黒いエネルギーが渦巻き始めた。教会の床が震え、窓ガラスがひび割れていく。
「みんな、伏せて!」
黒い光線が私に向かって放たれた。その瞬間——
「させない!」
アルベルトが私の前に立ちはだかった。
「アルベルト様、危ない!」
でも、彼は微動だにしなかった。代わりに、私の手を強く握った。
「一人じゃない。僕も一緒に戦います」
その瞬間、奇跡が起きた。
私とアルベルトの手を繋いだ部分から、さらに強い光が溢れ出したのだ。二人の愛が一つになって、巨大な盾を作り上げた。
黒い光線は、その盾に当たって消滅した。
「馬鹿な......二人の愛が共鳴している......」
深淵の王が驚愕の表情を見せた。
「そうです」
私は確信を持って言った。
「愛は一人では完成しません。互いに愛し合うことで、無限の力になるのです」
エリスも私たちの側に来た。
「私も加わります」
エリスが私たちの手に触れた瞬間、光がさらに強くなった。
「仲間の愛、友情の愛......全ての愛が、力になります」
トムたち子どもたちも、恐怖を押し殺して立ち上がった。
「俺たちも!」
「聖女様のために!」
子どもたちが手を繋いで輪を作る。その輪が、私たちを中心に広がっていく。
招待客たちも、次々と立ち上がって手を繋ぎ始めた。
「聖女様を信じています!」
「みんなで力を合わせましょう!」
教会全体が、愛の光で包まれていく。
深淵の王が後ずさりした。
「そんな......こんなはずでは......」
「深淵の王」
私は彼に歩み寄った。
「あなたは、なぜそこまで光を憎むのですか?」
「それは......」
初めて、彼の表情に迷いが見えた。
「かつて、私も愛を信じていた」
深淵の王が静かに語り始めた。
「大切な人がいた。家族も、友人も。だが——」
彼の声が震えた。
「戦争で全てを失った。愛する者たちは皆、光の名の下に殺されたのだ」
「それは......」
「光の神を信じる国が、闇の神を信じる国を侵略した」
深淵の王の瞳に涙が浮かんだ。
「正義という名の虐殺。希望という名の絶望」
私は息を飲んだ。彼もまた、被害者だったのだ。
「だから、私は全ての光を憎んだ。愛を信じた自分を憎んだ」
「でも——」
私は優しく言った。
「それは本当の光ではありません」
「何?」
「人を傷つける光なんて、偽物です」
私は彼の手を取った。
「本当の光は、全ての人を照らします。光も闇も、分け隔てなく」
深淵の王の手が震えた。
「あなたも、愛されるべき存在なのです」
私の光が、彼の心に触れた。
すると、深淵の王の体から黒いエネルギーが抜けていく。まるで、長年の呪縛が解けるように。
「私は......私は......」
彼が膝をついた。涙が頬を伝っている。
「許してくれ......私は、間違っていた......」
「もう大丈夫です」
私は彼を抱きしめた。
「これからは、一緒に生きましょう」
深淵の王——いや、一人の人間が、子どものように泣いていた。
その時、教会の霧が晴れ始めた。窓から暖かい光が差し込んでくる。
戦いは終わった。
大司教が進み出た。
「素晴らしい......これこそ、真の愛の力です」
招待客たちから、拍手が起こった。
「聖女様!」
「愛の力で、闇を救った!」
私はアルベルトを見つめた。
「ありがとうございます。一緒に戦ってくれて」
「当然です」
彼が微笑んだ。
「僕たちは、これから夫婦になるのですから」
そうだ。まだ、結婚式は終わっていない。
大司教が再び祭壇の前に立った。
「それでは、式を続けましょう」
改めて、私とアルベルトは向かい合った。
「アルベルト・クリア」
大司教が厳かに問う。
「あなたは、ルーナ・スミスを妻として、病める時も健やかなる時も、愛することを誓いますか?」
「誓います」
「ルーナ・スミス」
今度は私に向かって。
「あなたは、アルベルト・クリアを夫として、病める時も健やかなる時も、愛することを誓いますか?」
「誓います」
大司教が微笑んだ。
「それでは、指輪の交換を」
アルベルトが私の薬指に指輪をはめる。私も、彼の指に指輪をはめた。
「神の御名において、二人が夫婦であることを宣言します」
そして——
「新郎は新婦にキスをしてもよろしい」
アルベルトが私を抱き寄せた。
「愛しています、ルーナ」
「私も、愛しています」
優しいキスが、私たちの永遠の愛を封印した。
教会が拍手と歓声に包まれる。
外では、鐘が鳴り響いていた。
偽物の聖女だった私が、本物の愛を見つけた。
そして今、新しい人生が始まろうとしていた。
1
あなたにおすすめの小説
転生バレ回避のはずが、領主の息子に見つかって恋をした。
黒蜜きな粉
恋愛
前世で遊び尽くしたRPGの世界に転生した少女ルーシ。
この世界で転生者は特別な存在として保護され、自由を奪われる。
英雄になんてなりたくない。
ルーシの望みはただひとつ──静かに暮らすこと。
しかし、瀕死の重傷を負った領主の息子アッシュを救ったことで、平穏な日常は崩れ始める。
才能への評価、王都への誘い、そして彼から向けられる想い。
特別になりたくない転生治癒師と、
彼女を見つけてしまった領主の息子の物語。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
悪魔が泣いて逃げ出すほど不幸な私ですが、孤独な公爵様の花嫁になりました
ぜんだ 夕里
恋愛
「伴侶の記憶を食べる悪魔」に取り憑かれた公爵の元に嫁いできた男爵令嬢ビータ。婚約者は皆、記憶を奪われ逃げ出すという噂だが、彼女は平然としていた。なぜなら悪魔が彼女の記憶を食べようとした途端「まずい!ドブの味がする!」と逃げ出したから。
壮絶な過去を持つ令嬢と孤独な公爵の、少し変わった結婚生活が始まる。
【旦那様は魔王様 外伝】魔界でいちばん大嫌い~絶対に好きになんて、ならないんだから!~
狭山ひびき
恋愛
「あんたなんか、大嫌いよ!」ミリアムは大きく息を吸い込んで、宣言した。はじめてアスヴィルと出会ったとき、彼は意地悪だった。二度と会いたくないと思うほど嫌っていたのに、ある日を境に、アスヴィルのミリアムに対する態度が激変する。突然アスヴィルは、ミリアムを愛していると言い出したのだ。しかしミリアムは昔のまま、彼のことが大嫌い。そんなミリアムを振り向かせようと、手紙やお菓子、果ては大声で愛を叫んで、気持ちを伝えようとするアスヴィル。果たして、アスヴィルの気持ちはミリアムに届くのか――
※本作品は、【旦那様は魔王様!】の外伝ですが、本編からは独立したお話です。
白い結婚のはずでしたが、冷血辺境伯の溺愛は想定外です
鍛高譚
恋愛
――私の結婚は、愛も干渉もない『白い結婚』のはずでした。
侯爵令嬢クレスタは王太子アレクシオンから一方的に婚約破棄を告げられ、冷徹と名高い辺境伯ジークフリートと政略結婚をすることに。 しかしその結婚には、『互いに干渉しない』『身体の関係を持たない』という特別な契約があった。
形だけの夫婦を続けながらも、ジークフリートの優しさや温もりに触れるうち、クレスタの傷ついた心は少しずつ癒されていく。 一方で、クレスタを捨てた王太子と平民の少女ミーナは『真実の愛』を声高に叫ぶが、次第にその実態が暴かれ、彼らの運命は思わぬ方向へと転落していく。
やがて訪れるざまぁな展開の先にあるのは、真実の愛によって結ばれる二人の未来――。
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
『皇族を名乗った伯爵家は、帝国に処理されました』 ―天然メイドは、今日も失敗する―
ふわふわ
恋愛
婚約破棄を経て、静かに屋敷を去った令嬢。
その後に残された伯爵家は、焦燥と虚勢を抱えたまま立て直しを図ろうとする。
だが、思惑はことごとく空回りする。
社交界での小さな失態。
資金繰りの綻び。
信用の揺らぎ。
そして、屋敷の中で起こる“ちょっとした”騒動の数々。
決して大事件ではない。
けれど積み重なれば、笑えない。
一方、帝国では新たな時代が静かに始まろうとしている。
血筋とは何か。
名乗るとは何か。
国家が守るものとは何か。
これは、派手な復讐劇ではない。
怒号も陰謀もない。
ただ――
立場を取り違えた家が、ゆっくりと現実に追いつかれていく物語。
そして今日も、屋敷では誰かが小さな失敗をする。
世界は静かに、しかし確実に動いている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる