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第4話 商談と陰謀
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「それで、この魔石を買い取っていただけますか?」
王都の高級魔道具店『碧の月亭』で、私は店主のアーノルド氏と向き合っていた。
白髪の老紳士は魔石を丁寧に調べると、驚きに目を見開いて私を見た。
「これは……間違いなく最高級の青魔石だ。いったいどこで手に入れたのですか?」
「私の領地です。まだたくさんありますよ」
「本当ですか!? なら、全て買い取らせていただきたい!」
交渉の結果、魔石一個につき金貨百枚。私が持ってきた十個で、金貨千枚の収入になった。
これで騎士団の給与遅延は解消できる。
「定期的に取引させていただけますか?」
「もちろんです。ただ、採掘には時間がかかりますし、魔物の危険もあります」
「それでしたら、こちらで護衛の傭兵を手配しましょう。費用は魔石の代金から差し引く形で」
「そうしていただけるのであれば、助かります」
取引成立の高揚感に身を包まれながら店を出ようとした時、聞き覚えのある声がした。
「まあ、セラフィーナじゃない」
振り返ると、エマと侍女のマリアがいた。
エマは王子妃候補らしく洗練されたドレスを着て、私を値踏みするようにじろじろと見てきた。
「こんなところで何をしているの? まさか、お金に困って宝石でも売りに来たのかしら?」
「ただの商談です。あなたには何の関係もありませんが」
私が冷たく返すと、エマは不快そうに顔をしかめた。
「相変わらず感じが悪いわね。アレクシス様も、あなたと別れて本当に良かったって」
「そうですか。私も同感ですが」
「なんですって!?」
エマが声を荒げた瞬間、マリアが私の目を見た。その瞳には、明らかな罪悪感が浮かんでいた。
ーやはり、マリアは何かを知っていて、それを隠している。
「エマ様、参りましょう。こんな人と話しても時間の無駄です」
マリアがエマを促して、二人は去っていった。
アーノルド氏が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫ですか? あの方は王子妃候補の……」
「大丈夫です。それより、次の魔石を来月お持ちしますので」
「お待ちしております」
城への帰り道、護衛の騎士たちと共に街道を進んでいると、前方から豪華な馬車が近づいてきた。
馬車が止まり、中から優雅な男性が降りてきた。銀髪に紫の瞳、洗練された物腰。
「これはこれは、ヴァンベール辺境伯。お久しぶりです」
「あなたは……」
「第一王子、エドワード・アルベルティウスです。覚えていないとは寂しいですね」
そうだ、彼は攻略対象の一人だった。弟のアレクシスとは対照的に、冷静で知的なキャラクター。
「失礼しました、エドワード殿下。お久しぶりです」
「婚約破棄の件、大変でしたね。弟が無礼を働いたことをお詫びします」
「いえ、もう過ぎたことですから」
エドワードは興味深そうに私を見つめた。
「噂では、あなたは辺境で新しい事業を始めたとか。魔石の採掘だそうですね」
「……噂が早いですね」
「私は商業にも興味があるのです。もしよろしければ、投資させていただけませんか?」
「投資?」
「魔石の採掘と流通に、王家として資金を提供します。その代わり、利益の一部をいただく。互いにメリットのある関係です」
それは魅力的な提案だった。資金があれば、採掘の規模を拡大できる。
でも、何か裏があるような気がする。
「検討させていただきます」
「そうですか。では、正式な提案書を送らせていただきます。ご検討を」
エドワードは優雅に馬車に戻っていった。
その夜、城の執務室で書類を整理していると、ベルナールが血相を変えて飛び込んできた。
「セラフィーナ様、大変です! 王都から緊急の報せが!」
「何があったんですか?」
「第二王子アレクシス殿下が、あなたを詐欺罪で訴えると宣言したそうです!」
王都の高級魔道具店『碧の月亭』で、私は店主のアーノルド氏と向き合っていた。
白髪の老紳士は魔石を丁寧に調べると、驚きに目を見開いて私を見た。
「これは……間違いなく最高級の青魔石だ。いったいどこで手に入れたのですか?」
「私の領地です。まだたくさんありますよ」
「本当ですか!? なら、全て買い取らせていただきたい!」
交渉の結果、魔石一個につき金貨百枚。私が持ってきた十個で、金貨千枚の収入になった。
これで騎士団の給与遅延は解消できる。
「定期的に取引させていただけますか?」
「もちろんです。ただ、採掘には時間がかかりますし、魔物の危険もあります」
「それでしたら、こちらで護衛の傭兵を手配しましょう。費用は魔石の代金から差し引く形で」
「そうしていただけるのであれば、助かります」
取引成立の高揚感に身を包まれながら店を出ようとした時、聞き覚えのある声がした。
「まあ、セラフィーナじゃない」
振り返ると、エマと侍女のマリアがいた。
エマは王子妃候補らしく洗練されたドレスを着て、私を値踏みするようにじろじろと見てきた。
「こんなところで何をしているの? まさか、お金に困って宝石でも売りに来たのかしら?」
「ただの商談です。あなたには何の関係もありませんが」
私が冷たく返すと、エマは不快そうに顔をしかめた。
「相変わらず感じが悪いわね。アレクシス様も、あなたと別れて本当に良かったって」
「そうですか。私も同感ですが」
「なんですって!?」
エマが声を荒げた瞬間、マリアが私の目を見た。その瞳には、明らかな罪悪感が浮かんでいた。
ーやはり、マリアは何かを知っていて、それを隠している。
「エマ様、参りましょう。こんな人と話しても時間の無駄です」
マリアがエマを促して、二人は去っていった。
アーノルド氏が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫ですか? あの方は王子妃候補の……」
「大丈夫です。それより、次の魔石を来月お持ちしますので」
「お待ちしております」
城への帰り道、護衛の騎士たちと共に街道を進んでいると、前方から豪華な馬車が近づいてきた。
馬車が止まり、中から優雅な男性が降りてきた。銀髪に紫の瞳、洗練された物腰。
「これはこれは、ヴァンベール辺境伯。お久しぶりです」
「あなたは……」
「第一王子、エドワード・アルベルティウスです。覚えていないとは寂しいですね」
そうだ、彼は攻略対象の一人だった。弟のアレクシスとは対照的に、冷静で知的なキャラクター。
「失礼しました、エドワード殿下。お久しぶりです」
「婚約破棄の件、大変でしたね。弟が無礼を働いたことをお詫びします」
「いえ、もう過ぎたことですから」
エドワードは興味深そうに私を見つめた。
「噂では、あなたは辺境で新しい事業を始めたとか。魔石の採掘だそうですね」
「……噂が早いですね」
「私は商業にも興味があるのです。もしよろしければ、投資させていただけませんか?」
「投資?」
「魔石の採掘と流通に、王家として資金を提供します。その代わり、利益の一部をいただく。互いにメリットのある関係です」
それは魅力的な提案だった。資金があれば、採掘の規模を拡大できる。
でも、何か裏があるような気がする。
「検討させていただきます」
「そうですか。では、正式な提案書を送らせていただきます。ご検討を」
エドワードは優雅に馬車に戻っていった。
その夜、城の執務室で書類を整理していると、ベルナールが血相を変えて飛び込んできた。
「セラフィーナ様、大変です! 王都から緊急の報せが!」
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