転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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  Ⅰ 父と子

 気不味い二人

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 一方、その頃。
ユリカはクタクタになりながらファラン捜索を継続し、いまだ森の虜囚であった。
と言うより、彼女は軽く遭難しかけていた。

「ミイラ取りがミイラになるって、たしかこう言う意味よね」

息を切らしながらも足は止めない。
彼女を突き動かす物の正体、それは胸をえぐるような罪悪感だった。
私はGにとても酷い事を言ってしまった。
後になってからこんなに後悔するなんて、思いもしなかった。
あいつの事が好きとか、嫌いとかは関係ない。
感情を爆発させ、心ない言葉でGを傷付けてしまった事。
ユリカはそれを深く悔やんでいた。

「それでもきっと、私はあいつに謝れない。
ゴキブリに頭なんて……下げれる訳ない」

人間としてのプライドや意地がそうさせるのかは解らないが、Gの前では素直になれない自分がいた。
せめて先にファランを見付け出し、Gを見返す事が出来れば少しは気持ちも楽になるかと思ったが、それも姑息な考えだと思い直してユリカは深く落ち込んだのだった。

「もうすぐ夜になっちゃうな。
ファラン様、もう街に戻ってたりしないわよね」

行き違いを一瞬考えたが、それならばあの門番がとっくに迎えを寄越している筈だ。
誰も来ていないと言う事は、領主の帰りを待ち続けているか、捜索部隊を編成している最中かも知れない。
東の空にうっすらと三日月が浮かび、野鳥の群れが列を成して巣に帰っていく。
前世でもたしか、似たような光景を見た気がする。
あれはいつの事だったろう。
宵の明星が金星の別名だと教えてくれたのは、誰だっただろう。
この世界での新たな生活と引き換えに、前世の記憶は色褪せつつある。
忘れたくない事、忘れちゃいけない事を、ずいぶん忘れてしまった気がする。
Gは、覚えているのだろうか。
半年間、あいつはずっと私を見ていたらしい。
それなら私が忘れた私の事も、あいつは覚えているんだろうか。
私が死んでしまった理由も、知っているんだろうか-。
ふと、暗幕を垂らしたような茂みの奥で、何かがガサガサと音を立てた。
モンスター?!
反射的に腰の短剣へと手が伸びる。
しかし、静寂を破って姿を見せたのはGと一人の少女だった。

「……なんでこんな所に」
「……二本足さん?!」
「G、この娘は何者ぞ?」

それは気不味い再会だった。





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