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Ⅲ 竜殺しの英雄
ラウォール山の案内係
しおりを挟む「死ぬかと思ったッス」
「……っの、野郎!」
強引に刀を振り上げ、空中に逃げたディガロの胴を凪ぎ払う。
「ふ、今度こそ終わったな」
絶対の自信をもって言い放つ山賊の半月刀が、ひび割れと共にパラパラと砕けた。
それだけに留まらず、旋風と共に子分達の手にした武器が次々と破壊されていく。
「弁償、しないッスから」
何事もなかったようにG達の隣にディガロが戻った。
「お、オメエ。
なにもんだ……?」
山賊の頭領は両手を上げ、完全に戦意を喪失していた。
他の者も同様にそれに倣う。
「ただの猫ッスよ。
さて。
山賊の皆さんには今から、俺の言う通りに動いてもらうッス」
話を終えたG達は山賊達をマラカーンに送り出すと、再びラウォール山を目指したのだった。
「あのお兄さん達。
ちゃんと真面目にやるかにゃあ?」
心配そうにネムネムが言う。
「マラカーンはいま、猫の手も借りたい状態ッス。
でも、猫は竜退治で忙しいから、代わりに山賊の手を借りるッス。
あの連中、体力だけは有りそうだし」
「う~ん、騒ぎを起こさないか心配だにゃ」
「その為の人質兼、案内係ッスよ」
前を歩かされている山賊の頭領、ブライツが不貞腐れた顔で三人に毒づいた。
「……ケッ、下らねえ事しやがって。
山賊が人質取られて素直に言いなりになんてなるかよ。
今頃、全員逃げ出してらぁ。
ところでオメエら。
あの山にどんな用があるってんだ?」
「ちょっと不死竜を倒しに行こうと思いまして。
そろそろ山の麓に到着する頃だと思うのですが」
自慢の強面がみるみる青ざめてゆく。
「し、正気かよ?
……悪い事は言わねえ。
今からでも引き返せ」
「何を怖じ気づいているにゃ。
ネム達は強いにゃ、心配無用にゃ~!」
足を止めたブライツの手をネムネムが引っ張ったが、それでも頑として動かない。
「知らねえだろうから教えといてやる。
あ、あの化け物はなんと……一体だけじゃねえんだよ!」
言葉と共に込み上げる恐怖を吐き出した。
しかし。
「そうらしいですね」
平然と答えられた事に力が抜け、ネムネムに引き摺られる形でずるずると前進するブライツ。
「ら、らしいですねって、本当に解ってんのか?!
少し前に俺達が確認してみたら、四体も居たんだよ、四体もっ!
おい、猫女、この手を離せ!
こうなりゃ俺だけでも逃げてやるぞ、チクショーッ‼」
暴れるブライツのすぐ前には、見覚えのある森が広がっていた。
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