転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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 Ⅲ 竜殺しの英雄

 暁の狼

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「ヒャハッ。
かしら、女の姿が二人見えますぜ。
どっちも若くて上玉だァ」

頭の禿げ上がった小男が隻眼の男に報せた。
男の背後には二十人あまりの山賊達が、それぞれの獲物を手にしている。

「聞いたか、血に飢えた狼共よ。
いつものようにごっそり全盗ぜんどり、蟻の子一匹逃がすんじゃあねえぞ。
さぁ、お楽しみの始まりだ!」

男の号令と共に奇声を発しながら崖の斜面を滑り降りた男達が、G達の周りをぐるりと取り囲んだ。

「にゃにゃっ?
なんか変なのが出てきたにゃ」

半月刀シミターを鼻先に突きつけられたネムネムが呑気な声を出す。

「おい、そこの女。
お前も止まれいっ、殺されたいのか」

男達の登場に気付いていないかのように、セツハは黙々と坂を登り続けている。

「なるほど。
あれがマイペースのいいお手本ですね」

セツハのぶれない姿勢にGが感心した。
クレードに至ってはすでに次の坂を越えたところで、その姿は完全に見えなくなっていた。

「お、お頭。
こいつらなんだか様子が変ですぜ!」

大勢の男に刃物を突きつけられてもまるで動じない一行に、子分の一人が狼狽えた。

「馬鹿野郎!
ビビり過ぎて何が起きてるのか理解してねぇだけだ。
おい、さっきのメイドはどこ行きやがった?!」
「ダメです、あの女。
頭がおかしいのか、仲間を殺すぞってどんだけ脅しても聞かずに先に行っちまいました」
「なんって薄情な野郎だ。
ボサッとしてねえで、とっとと追い掛けろ!」

怒鳴られた数人の男達が慌てて坂道をかけ上がる。
山賊の頭は大人しく立ち止まっているG達に向き直ると、下品な笑みを浮かべた。

「オメエらはずいぶんと聞き分けがいいじゃねえか。
殺されたくなかったら大人しく……」
「そっか、それがいいッス!」

脅し文句を途中で遮られ、男の頭に青筋が浮き上がる。
一方のディガロは何を思い付いたのか満面の笑顔だ。

「おい若僧、次に同じ事をしやがったら命はないと思えよ。
ゴホンッ。
いいかァ、ころ……」
「姉ちゃん、Gさん。
こう言うのはどうッスかね?」

二人にゴニョゴニョと耳打ちするディガロ。
その様子を見て、山賊の怒りは頂点に達した。

「ふんぬっ!」

屈強な体から繰り出された半月刀の一撃が、猫族の少年を二つに切り裂く。

「へっ、なめた真似しやがって。
これで解っただろ、山賊の恐ろしさがよ。
ガーハッハッハッハッ!」

大口を開けて笑う男の右腕に、ずしりとした重さが伝わった。
その正体を確かめる為に視線をずらすと、そこには白刃の峰に乗った青年の姿があった。

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