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Ⅲ 竜殺しの英雄
お手柄ブライツ
しおりを挟む「解んねぇかなァ、猫男。
この山にゃ、でっかい結界が張られてるのさ。
大昔の大蛇を封じ込める為のな。
その証拠に四十二の洞窟の最奥にゃ、古代文字の刻まれた強力な魔封じの石碑が安置されてる。
だが、さっきの映像にはそいつが無かった。
つまり不死竜が居るのは残り八ヶ所の内の何処か、って事だ」
「八ヶ所でも多いのにゃ。
もっと絞り込めないかにゃ、お頭~」
ネムネムがブライツの腕に泣き付いた。
「おい、離れろよ、鬱陶しい。
第一、俺はオメエのお頭じゃねえだろ」
「ネムはお頭って響きが大好きなのにゃ~」
「知らねぇよ。
絞れって言われても、これ以上はな……」
唇を噛んで考え込む。
同時に倒す事が絶対条件である以上、探し回っている時間的余裕はない。
やがてブライツは水晶球に映された不死竜の体が僅かな光を帯びている事に気付き、あっと声をあげた。
「こいつは光苔だ」
「光苔?」
「その土地の魔力を蓄積して発光する魔法植物の事さ。
光苔がこれだけ大きな輝きを放つ場所なんてそうはねぇ。
って事はつまり、この山で最も魔力が集まる場所。
四十二の石碑が直線上で交差する地点……ここだ、この洞窟に奴はいる!」
ブライツはラウォール山のほぼ中央に位置する洞窟に×印を付けた。
「お頭、お手柄にゃ~!」
「だから、オメエのお頭じゃねえっての!」
そう言いながらも嬉しそうに照れ笑いを浮かべる。
「パエラ湖と洞窟もずいぶん離れてますね。
ここまで来て信じていない訳ではないのですが、勝てそうですか?」
Gがセツハ達の顔を見た。
日没までにはもう時間がない。
「大丈夫ッス。
いざとなったら姉ちゃん頼みで洞窟まで全力で逃げるッス」
「あっ、ディガろん。
お姉ちゃんは今回、二人を鍛え直す為に来てるからお助けなしにゃよ?」
「……ちょっと待って。
それって俺、即死じゃないッスか?
『ディガロ、湖に死すの巻』じゃないッスか?!」
「相変わらず、猫なのに臆病者な弟にゃ~。
そんなんだからいつまで経っても強くなれないにゃよ」
「俺は慎重派なんだよっ!」
ネムネムは聞こえないとばかりに大きな欠伸をした。
「私の方は問題ありません」
「そ、そうだ。
姉ちゃんなんか居なくても、セッちゃんの結界で守って貰うッス!
セッちゃん、俺を守って欲しいッス」
「そんな指示は受けてません」
セツハは即答でディガロの希望を打ち砕いた。
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