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Ⅲ 竜殺しの英雄
懲りない猫
しおりを挟む「……それに、その必要もないでしょう」
「うぅ、自分の力だけが頼りとか酷すぎるッス」
しょげかえるディガロの肩をブライツが叩く。
「せいぜい頑張んな。
そんじゃ、お役御免って事で俺は行くぜ」
その腕をがっしりとネムネムが掴んだ。
「お頭はネムと一緒に洞窟探検にゃ」
「なんでそうなるんだよ!」
「実はネム、ちょこっとだけ方向音痴なのにゃ。
迷ってる内に陽が暮れたら大変だから、洞窟の奥まで案内して欲しいにゃ」
「ブライツさん、ブライツさん。
姉ちゃんはちょこっとだけって言ったけど、大嘘ッスから本気でよろしく頼むッス!」
「ば、馬鹿野郎っ。
オメエより弱っちい俺が不死竜なんかと出くわしたら、それこそ即死じゃねーか!
『ブライツ、洞窟に死すの巻』じゃねーか!
そんなのは絶対に御免だぞ!」
「皆様。
攻撃の合図はいかが致しますか?」
ブライツの叫びを無視してセツハが質問した。
「G、リンク」
Gが両手の人差し指をこめかみに当てて小さく呟くと、指先から発生した小さな光の球が六人の額に吸い込まれていった。
「これでどんなに離れた場所にいても、互いに会話をする事が可能になりました。
ネムネムさん、試しに何か思念を飛ばしてみて下さい」
ネムネムは目を瞑ると、Gに向かって伝えたい事を心のなかで繰り返した。
「はい、届きました。
『セッちゃんの胸はFカップ』
なんですか、Fカップって?」
「……針術結界」
「にゃああっ?!
な、なんでもないにゃ。
まさか本当に聞こえるとは思わなかったにゃ。
初めて見る特殊スキルにゃ。
ゴキブリさんは凄いにゃあ~!」
セツハの両手を必死で押さえながら、ネムネムはわざと惚けてみせた。
「それでは所定の場所に到着したら、Gに思念を送って下さい。
全員の準備が整ったところで攻撃開始といきましょう」
Gとクレードが羽を広げ、山頂を目指して飛行を始めた。
他の者もそれぞれの戦場へと駆けてゆく。
ディガロはセツハの後ろについて渋々パエラ湖に向かい、ブライツは身の安全とロズラファエル家からの多額の報酬を条件に案内役を了承した。
天使のような白翼で上昇を続けるクレードの背中を、Gは複雑な思いで見詰めていた。
やがて不死竜の死角となる山頂の岩場に着地すると、二人は無言で身を潜め、他の者からの連絡を待った。
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