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Ⅲ 竜殺しの英雄
氷の洗礼
しおりを挟む戦いの火蓋が切って落とされ、G達は一斉に行動を開始した。
「斗、牛、女、虚、危、室、壁。
針術結界、玄武」
先手必勝、セツハの手から七本の銀針が羽ばたき、北方七宿を大地に描く。
水柱が空中で一つになると、大亀が不死竜の前へと降り立った。
「水生木、縛」
水獣の力で急成長を始める森林の木々。
地中から噴出した枝根が、大小無数の蛇となって巨竜の四肢を拘束してゆく。
「も、森は生きているッス?!」
ディガロの表現は決して大袈裟ではなかった。
何せ稚木が今や大木と化し、森林の緑壁が広大なパエラ湖全体を覆い隠す勢いで蠢いているのだ。
不死竜はまとわり付く触手を振り払うのに必死で、身動きが取れなくなっている。
好機ではないのか-。
ディガロの恐れが徐々に武者震いへと変わった。
火炎を吐かれたとしてもここは大湖、水中に逃れれば威力も半減させられるだろう。
「これは死なないパターンと見たッス。
そうと解れば、俺もいいとこ見せるッスよ」
ディガロは不死竜に突撃した。
骨尾に弾かれる寸前。
背中を丸め、両足に溜めたバネで大きく跳躍する。
「獣聖拳奥義、烈火掌!」
高速の猫パンチ、もとい烈火掌の連撃が不死竜の肋骨を砕き、その巨体をぐらつかせた。
「なんだか朝より効いてるみたいッス!
おーい、セッちゃ~ん。
この分だと楽しょ……?!」
セツハに大きく手を振るディガロ。
その背中から急激に冷気が伝わる。
「回避して下さい」
ドラゴンの口が氷の息を吐き出した。
ギリギリ直撃をかわして後方に跳躍し、湖の上へと着水する。
と同時に追撃のブレスが横っ面を掠った。
「あっ!」
凍り漬けになる事態こそ免れたものの、異変に気付いてディガロは絶句した。
冷やされた水面が凍結し、胴から下の身動きが取れなくなっていたのである。
「……う、動けない」
「この不死竜は水属性のようですね」
「せ、セッちゃん。
落ち着いてないで、助けて欲しいッス。
このままだと本当に殺されるッス」
「……」
同属性の玄武では勝機は薄い。
セツハが術を解くと、大亀はグシャリとその場で水に還った。
ドラゴンを拘束していた根の触手も動きを止め、腕の一振りで呆気なく払い落とされる。
体の自由を取り戻した不死竜は雄叫びを上げると、湖に埋もれているディガロにゆっくりと迫った。
「わわわっ、こっち来んなッス。
セッちゃん、セッちゃん、セッちゃん、セッちゃん‼
たっ、助けるなって命令も受けてない筈ッスよーーっ‼」
追い詰められた猫族の少年に、骨の竜が大口を開けて襲い掛かった。
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