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Ⅵ 反旗
決意を胸に
しおりを挟む「それで。
一晩費やして考えは纏まったのか?」
迷いのない瞳で絹地のソファに座る少年に、小さな領主は訊ねた。
「はい、ファラン様。
Gはこれから反乱軍の本部に向けて発とうと思います」
「そうか……。
では信頼のおける者達に密書を託し、遠方の一派にも出来るだけ情報が伝わるよう私から手配しておこう。
しかし、反乱軍もけっして一枚岩ではないと聞く。
王都に出向くリスクを背負ってまで重い腰を上げる者が、どれだけいるかは解らぬぞ」
「全力で説得します」
反乱軍にとって、これは王城になだれ込む絶好の好機。
だが、留守の間に拠点が壊滅してしまっては彼らとて帰る場所を失う。
その点を懸念し、共闘に異を唱える者がいてもおかしくはない。
それでも、心優しい少年が独りで軍隊を相手取るよりはずっと良い。
ファランはそう思った。
そこへセツハが扉をノックして入ってくる。
「ブライツと言う山賊がお目通りを申し出ておりますが、いかが致しましょう?」
「例の山賊か。
構わぬ、通せ」
どたばたと大股で客室にやって来たブライツは、Gを見て僅かに眉をひそめた。
「オメエは昨日のゴキブリ男じゃねえか。
結局、例の恋人ってのは助かったのかよ?」
「二本足さんがGの、こ、恋人?!
あ、あの、それは、あのっ……」
「誰が恋人だっ。
二人はただの友人同士だぞ!」
違う理由で顔を真っ赤にする二人。
そこに騒がしい足音が響いた。
「おせぇぞ、オメエらっ!」
入室早々に大声で怒鳴られた姉弟が飛び上がり、恐る恐る顔をあげる。
「誰かと思ったらお頭にゃ!
山に帰ったんじゃなかったにゃ?」
「不死竜退治の報酬も貰ってないのに帰れるかっての。
山でお前らとはぐれて、ここまで追い掛けて来たんだよ。
しっかし、驚いたぜ。
あのマラカーンがまさか、ここまで派手にやられてるとはな……」
交易の要衝であるマラカーン。
その機能の停滞はヴァルサーン国内のみならず、他国の経済活動にまで影響を及ぼす大きな痛手だった。
「ま、もっと驚いたのは子分共がマリなんとか言うメイドにすっかり乗せられて、額に汗して働いてやがるって事だがな。
あーあ、この分だと山賊も廃業かよ」
「も、ってなんにゃ?」
「あん?
俺は元々しがない整備士見習いでな。
若い頃に親方とそりが合わずに辞めちまってから色んな職を転々として、とうとうラウォール山一帯を根城にする山賊にまで落ちぶれちまったのさ」
ネムネムはその言葉で合点がいった。
洞窟で合成魔銃をあっさり分解した手際を、ずっと不思議に思っていたのだ。
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