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Ⅵ 反旗
山賊ファラン
しおりを挟む「ブライツとやら。
子分だと言う連中から話は聞いているぞ。
報酬の話の前に訊ねるが……。
お前は山賊を嘗めているのか?」
自分より二回りも年下であるファランから詰問され、ブライツは舌打ちして顔を背けた。
「旅人を襲って金を巻き上げた、か。
これだけ聞けば確かに山賊らしい悪行だ。
だがその実、お前達は刃のない刀で脅して商品を売りつけていただけと言う報告を受けている。
そんな山賊がどこの世界にいる」
「ば、馬鹿野郎っ。
ちゃんと脅して代金をぶん盗ってるんだから、悪党には違いねえじゃねえか!」
「出くわした者の大半がリピーターになり、また買いに訪れるほどの良品の数々。
それを破格で提供し、感謝されておいて悪党だと?
この……山賊の面汚しめ!
一発ひっぱたいてやる」
「ファ、ファラン様。
それじゃファラン様が山賊の頭みたいッスよ?!」
「離せ、ディガロッ。
私は一つの街を預かるものとして、こんな中途半端なやつが一番嫌いなんだ。
連中はマラカーンの商人達からも一目置かれる、山賊とは名ばかりの技術屋集団なのだぞ。
これでは、何をどう処罰すればいいのか解らなくなるであろう?!」
「ヴァルサーン王国の法律では、山賊は捕らえて絞首刑とする事となっております」
分厚い法律書に目を走らせながら、セツハが淡々と答えた。
「絞首刑……。
そ、そんなの聞いてねえぞ?!
俺はただ、採算度外視で良い物を作って人の役に立ちたかっただけなんだよ!
言わせんな、こんちくしょー!」
「……採算度外視で、人の役に」
ネムネムが小さく呟いた。
かなり不器用なやり方だけど、この人もラトと同じだ。
良い物を作って世の中を変えたい気持ちに溢れている、生粋の職人なのだろう。
「ま、今回はG達が世話になった事だし、恩人を冷たい牢獄に放り込むのも忍びない。
その点は目を瞑ってやろうじゃないか」
大きく胸を撫で下ろすブライツだったが、ファランの話はまだ終わっていなかった。
「ただし、報酬の件は白紙とする。
これで互いに貸し借りなしだ」
「ッテメエ、そんな虫のいい話があってたまるか。
こっちは死にかけたんだぞ!」
「それなら二十万ジュラの報酬はくれてやる。
代わりに本当に死ぬ事になるが、山賊としては本望であろう?」
「ぐぬぬぬぬぅ、このチビッコ領主がぁっ。
解ったよ……クソッ!」
すっかりやり込められたブライツに、ネムネムが近付いてそっと耳打ちする。
するとその表情がみるみる明るくなった。
「猫女、オメエ結構いいとこあるじゃねーか!
よし、その件は俺達『暁の狼』に任しときな」
「任せたにゃ、お頭」
「なんの話ッスか?」
「なんでもないにゃよ。
それより御飯、御飯にゃー!」
食堂に案内された一行は豪華な料理に舌鼓を打ち、束の間の休息を得たのだった。
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