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Ⅵ 反旗
淑女G
しおりを挟む三日後。
G達は完成した紋章旗を荷台に乗せ、馬車でコンバットを目指していた。
残りの者達も目立たぬよう少数に分かれ、異なるルートからそれぞれに王都を目指す手筈だ。
「このディナイを抜ければ明日の夕方にはコンバットだ。
しかし……」
トマスはちらりとGを見た。
「本当にこんなのでうまく行くのか?」
宿屋の鏡台の前でドレスを着たGが、ネムネムとハルナーフに化粧を施されている。
「本番前の試しに着けてみたけど、これなら絶対バレそうにないにゃ」
「王国に紋章旗を納品する時はいつも、職人の代表が王と面会する事を許可されるわ。
こっそりユリカさんの居場所を探るチャンスよ~」
「あのぅ。
Gは思うのですが、変装するのは明日の朝でなくコンバットに着いてからで良いのでは?」
ウィッグを被せられて抵抗するも、二人がかりでは敵わない。
「他の地方と同じようにはいかないさ。
三年前に追放されているとは言え、ジークの素性に気付く者が居ないとも限らないからな」
同行者の一人であるブライトンが笑いを堪えながら言った。
「でもパットまで着ける必要は」
ドレスの胸に忍ばせた木製の碗は、町の市場でハルナーフが見繕ってきたものだ。
「名前もGやジークじゃ不自然にゃ。
おハルさん、何かないかにゃあ?
可愛いやつがいいにゃ」
ネムネムは絶対に面白がっているだけだと、Gは確信した。
「オッペンモッフより可愛い名前ねぇ。
……あっ、ゲボプリコはどうかしら?」
「ゲボ?!」
彼女には悪気がない。
そして、それだけに質が悪かった。
「決定にゃ。
お城では淑女として振る舞うにゃよ、ゲボプリコ」
「……はぁ」
「これで仲間が増えたにゃ。
そう言えばもう一人の、あの暗い人はどこ行ったにゃ?」
「あぁ、ダニーなら隣の部屋で寝てるよ」
ブライトンの言葉にトマスは怪訝な表情を浮かべた。
「おかしいな。
俺がさっき見た時は部屋はもぬけの殻だったが」
「……あいつ。
さては逃げやがったな!」
外套を羽織って探しに出ようとするブライトンを、ハルナーフが引き留める。
「行かせておあげなさい~」
「……でもよ、リーダー」
「きっと、よく考えた末の行動でしょう。
誰も彼の判断を責める事は出来ませんよ」
実際、本部の中でも出発まで意見が割れなかった訳ではない。
古参の半分が賛同してくれた一方で、Gと殆ど交流の無い者達からは猛反対を受けた。
そしてそれに引き摺られる形で、古参メンバーの中からも次々と離反者が現れ始めていた。
最終的にどれだけの人数が集うのかは解らないが、Gと直接関わりのない各支部からの増援は殆ど見込めないだろう。
それは手薄になった王城を攻めると言う旨味のある計画が頓挫した以上、当然の結果だった。
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