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Ⅵ 反旗
偽名をください
しおりを挟む「ええと、討伐軍が王都を空けるのが五日後で、結婚式がその前日かぁ。
うぅん、タイミングが悪いわねぇ。
式を阻止する為に決行を一日早めるなら、真っ正面から王国軍とやりあう事になるわ~」
わずか一日の差、その差にG達は完全に勝機を奪われていた。
「やはりGが一人で乗り込んで……」
「いくら貴方が強くても、誰も傷付けずに想い人を救えるほど、王都は甘い場所ではないわ。
それとも彼女を助ける為なら、その手を血に染めても構わないと言うの?」
「……いいえ。
Gはもう二度と、同じ過ちを犯すつもりはありません」
ネムネムの顔を見ながらGは言った。
「それなら、決まりね~」
「……だな」
その言葉を機に、反乱軍の面々が口々に叫ぶ。
「よっし、母ちゃん。
旅支度だぜっ!」
「あいよ、あんた!」
「久しぶりの王都だ、腕が鳴るぜー!」
「俺、隣村の連中にも声をかけてみるよ」
「他の支部には伝書鳩を飛ばしておくぜ。
王子様の結婚式に、反乱軍主催の台無しパーティーを開くってなぁ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。
そんな無謀な……」
「ガッハッハ、お前がそれを言うんじゃねーよ!」
当然のように一戦交える気配に満ちた彼らの様子に、Gは戸惑った。
「ジークが困っているのを皆、放って置けないのよ」
「……みんな」
ハルナーフは嬉しそうに笑った。
仲間達の温かさにGの頬を涙が伝う。
「あらあらぁ。
貴方は昔っから泣き虫なんだから」
「……ねぇねぇ、おハルさん」
「おハル、さん?」
奇妙なあだ名で呼ばれて振り向くと、ネムネムがじっと見つめていた。
「ネムも今回の作戦に参加するにゃよ。
だからカッコいい偽名を付けておくれにゃ~!」
くすりと微笑み、その頭を撫でる。
「解ったわ、仔猫ちゃん~。
じゃあ、こっちにいらっしゃい」
ハルナーフの家へと案内されたネムネムは、くじの完成を待っている間に室内を見回した。
天井から壁に至るまで、森の中に迷い込んだかと錯覚するくらいの観葉植物の量だ。
「みんな青々としてるにゃ」
「散らかっていてごめんなさいね。
この子達、すぐ大きくなっちゃうのよ。
……よし、出来た」
紙に書いたあみだくじを机の上に置くハルナーフ。
「この五本の線の中から好きなのを選んで~」
「うーん。
これにするにゃっ!」
ネムネムは一番左端の線を指差した。
「じゃあ、行くわよ。
あみだくじ~、あみだくじくじ、くじらさん~♪」
ハルナーフの人差し指が紙の上を滑り、ピタリと止まった。
「……ドキドキにゃ」
「発表しま~す。
仔猫ちゃんの偽名は、じゃじゃん!
『オッペンモッフ』となりました~!」
「……び、微妙に鈍臭そうな名前にゃ。
変更を希望するにゃ」
「受け付けておりませ~ん」
「そんにゃあ!
おハルさん、他の四つはどんな名前だったにゃ?!」
「あっ、ダメよ」
くじの書かれた紙を取り上げ、ネムネムは他の候補名を読み上げた。
「ゴリキューラ、ベルベチョロフ、トントンスキー、ピピロンフッタス……にゃああーーーっ‼」
ビリビリと紙を破り捨てる。
「なんにゃ、これはっ。
ろくな名前がないにゃ。
おハルさん、ネーミングセンス悪すぎにゃあーーー‼」
「ふふ、二百人以上もの偽名を付けているとね。
アレンジしないと被ってしまうのよぅ、オッペンモッフ」
「その名で呼ぶんじゃないにゃーー‼」
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