転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

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 Ⅵ 反旗

 H、スケッチ

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「皆、聴いてぇ~!」

よく通る声が響き、全員がハルナーフに注目する。

「えっと、大変なの。
王国軍が私達を苛めに来るらしいの~!」

いまいち緊迫感に欠けるその言葉に、一同が騒然となった。

「大丈夫さ、リーダー。
キジェットはただの機織職人の村で通ってる。
地下に反乱軍の本部があるなんて、連中は夢にも思いっこねえよ」
「確かにその事実は向こうもまだ把握してはいないでしょう。
でも、襲撃を受けた他の支部から情報が漏洩しないとも限りません。
むしろ今回の大規模討伐の真の狙いは、そこにあるのではないかとさえ感じます」

Gの言葉にトマスは顔をしかめた。

「……恐怖を煽って揺さぶるつもりか。
反乱軍には敵に情報を流すようなやつはいない。
と言いたいが、何人かは思い当たるな。
ホホイ支部のガルロイに、ラックキャップ支部のフェアード。
王国に不満を抱いて加入したとは言え、連中は元々ただの商人だ。
金を積まれるか、命乞いの為なら仲間を裏切ってもおかしくはない」

ファランが言っていた一枚岩でないとは、反乱の先に求めるものは人それぞれ違うと言う事だ。
心から国の行く末を憂う愛国者もいれば、武器などを売って私腹を肥やす為だけに加担する者もいる。
大義の前にどれだけ人が集まろうと、そこに在るのはいつでも個人的、かつ俗っぽい動機に過ぎない。

「トマス。
仲間の事を悪く言ってはいけないわ」
「ハルナーフ様。
いっそ今回の依頼を逆手に取り、こちらから仕掛けてはどうじゃの?」

参謀役のバルザック老が進言した。

「今回の依頼?
そう言えばあんなに大量の紋章旗、いったい何に使うんです?」

いくら収穫祭が近いとはいえ、近隣の地方領主に納めるだけだった例年の比ではない。

「なんでもクレード王子の結婚式が行われるとかで、国中の貴族達が王都に集まるんだと。
新しい紋章旗はその式で使うらしいぜ」
「……結婚式?!
こうしちゃいられない!」

フライングGで飛び立とうとするGの足を、ネムネムが掴む。

「待つにゃ!
一人で行ってもどうにも出来ない、ってマラカーンで言ったばかりにゃよ?!」
「離して下さい、猫さんっ。
このままだと二本足さんがクレードのものに!」
「H、スケッチ……」

ハルナーフは両手の親指と人差し指をピンと伸ばしてフレームを作ると、Gの姿を枠内に捉えた。
その瞬間、Gの周りに黄金色の光の枠が出現し、四方を取り囲む。
ハルナーフはすかさず絵筆を取り出すと、遠くに浮かぶGの羽を空中でなぞるようにして呟いた。

「ワンタッチ!」

羽が消失し、普通のマントへと戻っていく。

「ジーク。
ここに居るのは貴方の仲間であり、家族です。
どういう事なのか、落ち着いて皆にちゃんと説明しなさぁ~い!」

スキルを解除されたGは肩を落とすと、これまでの経緯を皆に説明して聞かせた。

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