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Ⅵ 反旗
お転び大興奮
しおりを挟む下りきった先の扉に手をかけ、ハルナーフがゆっくりと開く。
暗闇に四角い光が差し込むと、その向こうには一階と全く同じ間取りの酒場が広がっていた。
殆ど満員に近い室内はよく清掃されており、先程と違って床には塵一つ落ちていない。
「お、来たみたいだね。
ハルナーフ様、こっち、こっち!」
ナタリーが机の間を窮屈そうに抜けてやってきた。
「あらぁ、思っていたより集まってるわねぇ」
「私も昨日着いたばかりなんだけど、正直驚いてますよ。
まだまだ反乱軍も捨てたもんじゃないわね」
ニヤリと笑って片目を瞑る。
「みんなぁ、ありがとう~」
間延びした声が酒場に響くと、全員の視線がハルナーフに集中した。
「不敗の戦乙女、ハルナーフ様だ」
「あれが『反乱軍で彼女にしたいランキング一位』のハルナーフ様か」
「きゃー、ハル様ーっ!」
「もうっ、昔のあだ名はやめてよ~」
ハルナーフを先頭にG達は部屋の中央へと進み出た。
たしかに優雅な薄桃のドレスを纏い、薔薇の微笑みを湛えるハルナーフは、貴族の令嬢だと紹介されても信用されそうなほど美しかった。
美貌で知られるハルナーフを一目見たいと言う邪な理由だけで反乱軍に志願する者も多く、若年層を中心にその人気は高い。
ハルナーフは皆にいいところを見せようとその場でくるりと一回転し……派手に転んだ。
一瞬で水を打ったように静まり返り、少しずつ室内にざわめきが広がってゆく。
「おい、ハルナーフ様の今日の『お転び』が出たぞ!」
「ナマお転びが見れるなんて、生きてて良かったー‼」
「俺、この日を一生忘れないよっ」
「あいたたたぁ~。
誰か起こしてぇ~」
その一言で目の色を変えた狂信者達がハルナーフに迫った。
「お手をどうぞ、ハル様!」
「いや、こいつじゃなく俺の手を取って下さいっ」
「男共の汚い手なんて引っ込めなさいよ!
ハル様、私の手をどうぞ」
結局一番傍にいたGに助け起こされ、ブーイングが巻き起こる。
「……なんだかハチャメチャな反乱軍だにゃ」
「ま、リーダーがド天然だからな。
でも、やる時はやる連中だぜ。
普段はこれくらいの方が、息が詰まらなくていいのさ」
「はぁ~い、みんな静かにして。
今から二人の仲間を紹介するわ。
オッペンモッフとゲボプリコよ~」
呼ばれたくない名前を呼ばれ、二人がペコリと頭を下げた。
「……オッペンモッフにゃ」
「げ、ゲボプリコ、です」
「……おぉ、名前はあれだがゲボプリコ可愛い!」
「ゲボ子ちゃん、こっち向いてー!」
「えぇっ?!」
思わぬ好評を得て戸惑うGと、悔しそうにそれを見るネムネム。
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