転生者G-転生前はゴキブリでした-

花鳴カナリア

文字の大きさ
74 / 102
 Ⅵ 反旗

 気の毒な門番

しおりを挟む


「じゃあ、紹介も済んだところで、私達は城内の下見に行ってくるわね~」
「おぉーーーっ‼」

大きな声援に見送られ、ハルナーフ、G、ネムネムの三人は紋章旗を積んだ馬車で城へと向かった。
厳めしい城門の前で矛槍ハルバードと甲冑で武装した門番に止められる。

「私達はキジェットの村から来ました機織職人です。
本日は明日の結婚式に用いられる、国王様ご依頼の品をお持ち致しました」
「紋章旗の納品だな。
話はゲルゼフ大臣から聞いている。
念のため、荷をあらためさせて貰うぞ」

暫く待っていると、確認を終えた若い兵士が戻ってきた。

「問題ないようだな。
通っていいぞ」

頭を下げて通りすぎようとした、その時。

「……待て、そこの女」

呼び止めた門番と目が合い、Gの心臓が早鐘を打った。

「お前、どこかで見た事があるような……」
「た、他人の空似じゃないかしらぁ」

ハルナーフがなんとかフォローしようとするが、門番の鋭い視線はなかなかGから離れない。

「名前はなんと言う?」
「ゲボプリコです」
「……なに?
ゲボプリコ、だと?」

不味い事でも口走ったのだろうか。
GはいつでもフライングGで飛び立てるように身構えた。
広い城の中を兵士に追われながらユリカを探すのは骨だろうが、こんなところで捕まる訳にはいかない。

「……ゲボプリコよ」
「は、はい」

動揺で声が自然と裏返る。

「謁見が終わったら、私と一緒に昼食でもどうだろうか?」
「え、えぇっ?」

鼻の下が伸びた顔で門番に詰め寄られ、Gは顔を背けた。

「ごめんなさいね、門番さん。
ゲボプリコさんには婚約者がいるのよ~」

ハルナーフの言葉に門番は肩を落とす。

「……そうだよなぁ。
こんな可愛い子に目を付けないやつなんていないよなぁ。
引き留めてすまなかったな、ゲボプリコ。
今の話は忘れてくれ」

色んな意味で気の毒な門番である。
門を抜けて厩舎に馬を繋いでいると、数名の兵士が荷下ろしを手伝ってくれた。
先程、ゲボプリコに一目惚れした門番が手配してくれたのだろう。
兵士達が荷物を城内に搬入し終わると、それと入れ違うように世界中の苦虫を噛み潰したような顔の大臣がやってきた。
王国で五本の指に入る名門貴族シュライセン家の嫡男、ゲルゼフ=シュライセンだ。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...