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Ⅶ 王都の夜
再会
しおりを挟む「あの、私達はキジェットの」
「そんな事は見れば解る。
連絡を受けてから、もう七分も経過しておるではないか。
陛下も私も貴様ら下民と違って多忙な身なのだ。
さっさと謁見の間で待機せんか!」
ゲルゼフは早口でハルナーフの言葉を遮ると、懐中時計をちらりと見て足早に去っていった。
「なんだか感じの悪いおっさんにゃね」
「彼は優秀な大臣の一人なんですけどね。
通常の内務に加えて反乱軍の討伐、収穫祭の準備、王太子の結婚式と重なれば神経も尖りますよ」
「でもお陰で自由に動けそうねぇ」
「さっきのゲルゼフではありませんが、モタモタしている時間はありません。
二人は謁見の間に向かって下さい。
Gは二本足さんを探します」
駆け出そうとするGの手を掴み、ハルナーフが確認するように言った。
「ユリカさんを見付けても、この状況では何も出来ないわ。
くれぐれも無茶をしてはダメよ?」
「……解っています」
幼い頃より十三年間を過ごした城の中だ。
警備の穴はおおよそ把握している。
しかし、巡回している兵士に一度でも出くわせば言い逃れは出来ない。
とにかく細心の注意を払って行動する必要があった。
物陰から物陰へドレスを引きずって素早く移動する。
やはり動きにくい。
前世で培った経験を活かし、人目に付かないよう気配と足音を殺して階段を昇った。
目指すは王族の私室がある主塔の五階。
扉の前に二人の番兵がいる。
正面からの侵入を諦めて裏手にまわると、Gは飛行スキルを使って窓から塔の中に入った。
「……それでな。
あの子、絶対俺に気が」
階段の上から人の話し声が聞こえ、慌てて隠れ場所を探す。
しかし、狭い踊り場にそんな場所はなかった。
「おい、貴様!」
見付かった。
剣を突き付けられ、手を上げて膝をつく。
「この厳重な警備の目を掻い潜るとは……。
どこから侵入した?!」
「……いえ、私はただ道に迷って」
「見え透いた嘘を言いおって!」
「……アダムス警備兵長。
これはいったいなんの騒ぎですか?」
それは忘れる筈もない、一番聞きたかった声だった。
「これはユリカ様。
お騒がせして申し訳ありません。
不審な女がおりましたものですから、つい」
「……不審な女?」
ユリカは階段をゆっくりと下りると、Gの顔をじっと覗きこんだ。
二人の視線が交わる。
「貴女、お名前は?」
「じ……」
「……じ?」
言葉を喉に詰まらせ、Gはそのまま俯いた。
「……恥ずかしながら、ゲボプリコです」
「ゲボ?!」
シリアスな場の空気を一瞬にして破壊する悪魔的なその名前に、ユリカは笑いを堪える事が出来なかった。
「……っぷ。
あはは、貴女って面白い人ね!」
ユリカは警備兵達に向き直ると言った。
「アダムスさん、ゲボプリコさんは今から私の客人です。
少しお話しするくらいなら構いませんよね?」
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