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剣術大会
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何処をどう歩いているんだろう。
五妃が纒う衣装の裾は真紅と金の布が重なり合って、歩く度にひらひらと揺らいでいる。
土煙が舞う空気の匂いが濃くなり、ざわざわとした喧騒が近づいてくるが、どうしても顔を上げることができない。
気づけばそこはすでに闘技場で、俯いたまま五妃の後ろに座っていた。
俺の座る場所は妃たちの侍女席だ。隣に同じように並んで座っているのは、一度も話したことがない侍女たち。
王を挟んで九人の妃たちが勢揃いすると、場は一段と盛り上がった。
ちらと王を観ると、こちらを一瞥し小さく頷いている。
今ここにいるのは、父さんと母様なんかじゃなく、王とその妃達だ。
みんな俺が知っているいつもの顔とは違う。
母さんは今日もいない。
王の横に立つルドルフの顔すら、いつものルドルフとは違う。
ここには、自分の居場所がない。
意気地がない…
ルドルフが言っていたのは、間違いじゃないかもしれない。
あんなに切望していたのに、周りを見渡す余裕すら俺にはなかった。
また俯くと履いている尖った靴が目に入る。俺は一体何をしているんだろう。
「…今回の優勝候補は、第二の副団長か。」
「いや、第三にもすごいのがいるらしい。」
「今回はユリウスでは無理だろう。」
「他の候補者たちも名だたる者が多いし、みな由緒ある家柄だからな。」
「だいたいにして、気に入らんのだ。前回はたまたまだろうが、今回はそうはいくまい。」
ざわざわとした喧騒の中に、ユリウスの名を拾う。ユリウスに対して好意的とは言えない物言いだ。
ユリウスの何が気に入らないんだ?
剣はあんなに凄いし、からくりだって手伝ってくれるんだぞ。
あんまり自分から話し掛けてくることはないけど、ちゃんと相槌をしてくれるし…
そう、ユリウスと過ごす時間は嫌いじゃないんだ。
ユリウスを悪く言う奴は許さないぞと睨んでみるが、ベールが邪魔して睨んでいるのにも気が付かれていないだろう。
喧騒が一際大きくなる。
余りの大きさに、身体がびくっと跳ね上がった。
四方から聞こえてくる声の圧に驚いて顔を上げると、どうやら参加者たちが入場してきたらしい。
一人、二人、三人……
は?何あれ?鬼が沢山いる…
悪い子には鬼が来るぞと、母さんに脅されて育ってきた。
母さんが描く鬼の絵は、それはそれは恐ろしい。
鬼が実在しないと知ったのは最近だが、目の前を歩く騎士の中には鬼のように大きくて怖そうな者たちが何人もいる。
一際黄色い歓声が上がったのは、観客席に手を振って入場してきた若い騎士だ。
どこかで、観た事のあるような?
金髪のその騎士に続いて、やっとユリウスが登場してきた。
前回覇者のユリウスは最後に入場らしい。
わああと言う歓声と、どこか嘲るような声と観客の反応は半々だろうか。
声を出しちゃいけないと言われているので、誰よりも思いっきり拍手した。
ユリウスは朝と同じ、飴をくれた時と同じ、いつもと同じ表情で、いつもと変わらないしゃんとした佇まいで立っている。
何を考えているのか、今ひとつ読み取れないその表情も崩すことはない。
こんな歓声の中でも、ユリウスはユリウスだ。
そんなユリウスの姿を目にしたら、なぜかほっとした。
そうだよ!
ユリウスを観られるんだ!
失いかけていた目的を思い出すと、俄然やる気が出てきた。
あらためて周りを見回すと、すごい人数の貴族たちが集まっている。
人って、こんなにいるんだな。
舐めるような視線を向けてくるのは、父さ、王だ。
なぜかずっと俺を見ている。
いいから、ちゃんと入場してきた騎士達を見てろよ。
口に出せないので、目で訴えようとしたが、またベールが邪魔している。
王の前に参加者たちが全員並び終わると、王らしい言葉がかけられ、一妃も妃らしい言葉を述べ、ファンファーレが響き渡って、大会が始まった。
参加する騎士達の中でもやはりユリウスは華奢に見える。俺からすればユリウスだって十分に逞しいが、他がさらに上を行く。
あんな相手とやりあえるんだろうか?
試合が始まると、剣と剣のぶつかり合う音が響き、観客と俺の興奮はどんどんと高まっていった。
黄色い歓声が上がっていた騎士も勝ったようだ。
黄色い歓声はさらに増したように思う。
なぜか一妃が、ふんと鼻で笑っていたが、そう言えばあの金髪は一妃と同じだ…
「…ツギハ、ユリウスダヨ。」
肩越しに少しだけ振り返り、五妃が小声で教えてくれた。
ユリウスの相手は、一番大きくて体格のいい鬼、じゃなく騎士だ。
なんだよ、初戦からあれじゃ…
体格差はどう見ても明らかだ。
ユリウスならきっと大丈夫、でも万が一…
期待と不安が膨らむ中、開始の合図が告げられた。
五妃が纒う衣装の裾は真紅と金の布が重なり合って、歩く度にひらひらと揺らいでいる。
土煙が舞う空気の匂いが濃くなり、ざわざわとした喧騒が近づいてくるが、どうしても顔を上げることができない。
気づけばそこはすでに闘技場で、俯いたまま五妃の後ろに座っていた。
俺の座る場所は妃たちの侍女席だ。隣に同じように並んで座っているのは、一度も話したことがない侍女たち。
王を挟んで九人の妃たちが勢揃いすると、場は一段と盛り上がった。
ちらと王を観ると、こちらを一瞥し小さく頷いている。
今ここにいるのは、父さんと母様なんかじゃなく、王とその妃達だ。
みんな俺が知っているいつもの顔とは違う。
母さんは今日もいない。
王の横に立つルドルフの顔すら、いつものルドルフとは違う。
ここには、自分の居場所がない。
意気地がない…
ルドルフが言っていたのは、間違いじゃないかもしれない。
あんなに切望していたのに、周りを見渡す余裕すら俺にはなかった。
また俯くと履いている尖った靴が目に入る。俺は一体何をしているんだろう。
「…今回の優勝候補は、第二の副団長か。」
「いや、第三にもすごいのがいるらしい。」
「今回はユリウスでは無理だろう。」
「他の候補者たちも名だたる者が多いし、みな由緒ある家柄だからな。」
「だいたいにして、気に入らんのだ。前回はたまたまだろうが、今回はそうはいくまい。」
ざわざわとした喧騒の中に、ユリウスの名を拾う。ユリウスに対して好意的とは言えない物言いだ。
ユリウスの何が気に入らないんだ?
剣はあんなに凄いし、からくりだって手伝ってくれるんだぞ。
あんまり自分から話し掛けてくることはないけど、ちゃんと相槌をしてくれるし…
そう、ユリウスと過ごす時間は嫌いじゃないんだ。
ユリウスを悪く言う奴は許さないぞと睨んでみるが、ベールが邪魔して睨んでいるのにも気が付かれていないだろう。
喧騒が一際大きくなる。
余りの大きさに、身体がびくっと跳ね上がった。
四方から聞こえてくる声の圧に驚いて顔を上げると、どうやら参加者たちが入場してきたらしい。
一人、二人、三人……
は?何あれ?鬼が沢山いる…
悪い子には鬼が来るぞと、母さんに脅されて育ってきた。
母さんが描く鬼の絵は、それはそれは恐ろしい。
鬼が実在しないと知ったのは最近だが、目の前を歩く騎士の中には鬼のように大きくて怖そうな者たちが何人もいる。
一際黄色い歓声が上がったのは、観客席に手を振って入場してきた若い騎士だ。
どこかで、観た事のあるような?
金髪のその騎士に続いて、やっとユリウスが登場してきた。
前回覇者のユリウスは最後に入場らしい。
わああと言う歓声と、どこか嘲るような声と観客の反応は半々だろうか。
声を出しちゃいけないと言われているので、誰よりも思いっきり拍手した。
ユリウスは朝と同じ、飴をくれた時と同じ、いつもと同じ表情で、いつもと変わらないしゃんとした佇まいで立っている。
何を考えているのか、今ひとつ読み取れないその表情も崩すことはない。
こんな歓声の中でも、ユリウスはユリウスだ。
そんなユリウスの姿を目にしたら、なぜかほっとした。
そうだよ!
ユリウスを観られるんだ!
失いかけていた目的を思い出すと、俄然やる気が出てきた。
あらためて周りを見回すと、すごい人数の貴族たちが集まっている。
人って、こんなにいるんだな。
舐めるような視線を向けてくるのは、父さ、王だ。
なぜかずっと俺を見ている。
いいから、ちゃんと入場してきた騎士達を見てろよ。
口に出せないので、目で訴えようとしたが、またベールが邪魔している。
王の前に参加者たちが全員並び終わると、王らしい言葉がかけられ、一妃も妃らしい言葉を述べ、ファンファーレが響き渡って、大会が始まった。
参加する騎士達の中でもやはりユリウスは華奢に見える。俺からすればユリウスだって十分に逞しいが、他がさらに上を行く。
あんな相手とやりあえるんだろうか?
試合が始まると、剣と剣のぶつかり合う音が響き、観客と俺の興奮はどんどんと高まっていった。
黄色い歓声が上がっていた騎士も勝ったようだ。
黄色い歓声はさらに増したように思う。
なぜか一妃が、ふんと鼻で笑っていたが、そう言えばあの金髪は一妃と同じだ…
「…ツギハ、ユリウスダヨ。」
肩越しに少しだけ振り返り、五妃が小声で教えてくれた。
ユリウスの相手は、一番大きくて体格のいい鬼、じゃなく騎士だ。
なんだよ、初戦からあれじゃ…
体格差はどう見ても明らかだ。
ユリウスならきっと大丈夫、でも万が一…
期待と不安が膨らむ中、開始の合図が告げられた。
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