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異星からの狩人4
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進常が麦茶をひと口飲んだ。
「鈴木くん、今度はこっちの状況を説明してあげなさい」
「あ、はい。ぼくと進常さんは超体っていうやつらしくて特別な力があってね……」
鈴木はモルゲニーに事情を話した。
自分と進常は地球の超体であること。
メリコとアマガを仲間にした経緯。
テホルル・ペットフーズの社員のほとんどは、
サイコグラスという洗脳装置で騙されていること。
テホルル・ペットフーズの違法行為を中央宇宙連邦に通報できれば、
一気に壊滅させることができることなどを。
「だからメリコちゃんもアマガさんも悪い人間じゃないし、ぼくたちの大事な仲間なんだ、いまは」
鈴木はそう締めくくった。
モルゲニーは悩ましげに首をひねった。
「うぅーん、テホルル・ペットフーズの社員を生贄にできないと、王位を継承できんのじゃが、テホルル・ペットフーズを壊滅できるとなれば、また話は違ってくるであろう。わらわも助太刀いたしたい。成功すればわらわはアンザレクトの英雄じゃ」
鈴木は言った。
「ところで、ぼくはだいじなことに気づいているんですが。モルゲニーちゃんの脱出ポッドは超光速通信が使える。そうだよね?」
モルゲニーは金髪を揺らして頷いた。
「そうじゃ。超光速通信が使えねば、アンザレクトと連絡がとれんではないか」
進常が両手を広げて喜びを表現した。
「やったっ! これでめんどうなしでわたしたちの勝利だ! 勝った!」
鈴木は慎重に確認をとった。
「モルゲニーちゃんの超光速通信機、ちょっとぼくたちに使わせてよ。中央宇宙連邦に敵の違法操業を通報できれば、それでぼくたちの勝ちになるんだ」
「わらわの通信機を貸してやるくらいよいのじゃが、中央宇宙連邦にはつながらんぞ。アンザレクトは連邦に加盟してないからな。連邦と折衝をする場合には連邦政府まで使節を送らねばならんのじゃ」
進常は落胆した声をだした。
「うまくいかねー。なんだよ、そのひねくれた大宇宙のルールはよー?」
鈴木も頬杖をついた。
「けっきょくぼくたちは通信機も使えないし、宇宙船もないままか……」
モルゲニーがおずおずと言った。
「じゃが、じゃが、選択肢は増えたといえようぞ? アンザレクトに連絡をとって、こちらの事情を話せば、母上は連邦に使節を送ってくれるじゃろう。なんといってもテホルル・ペットフーズを滅ぼせるのじゃから。またはアンザレクトから宇宙船を送ってもらうこともできるぞ?」
進常が聞く。
「時間は? 使節を送って連邦政府と交渉するまでどれくらいかかる? 宇宙船を呼ぶ場合にはどれくらいかかる?」
モルゲニーは目を閉じてあごに手をあてた。
「うーん、地球時間にすると、使節を送る場合、交渉まで二週間。宇宙船を呼ぶ場合も同じくらいかもう少しかかるじゃろう」
鈴木は言った。
「可能性としてはアリだけど、ぼくたちはそんなに長く地球を守り続ける自信がないんだ。なんてったって、まだ地球侵略が始まって三日しか経ってないんだから」
進常はメリコに聞いた。
「メリコ、あんたの会社、侵略するときだいたいどれくらいの時間でミッション完了しちゃうの?」
メリコは困ったような笑いを浮かべた。
「アタシ、今回が初仕事だからよくわかんなくて。超体を倒せれば数日でミッション完了しちゃうと思うけど。まあ、わかんない」
進常は頷いた。
「今回が初仕事で、おそらく次の仕事はないだろうっていう特攻兵だもんな。アマガならわかる?」
「ぐー……」
アマガは寝ていた。
起こしてもう一度質問する。
アマガはあくびをしてから答えた。
「わたくしもずっと訓練ばかりで実地は今回が初めてなんですが、超体を倒したあとは三周期で全現住生物のペットフード化を完了させる手はずになっています。そのあと文明の分析と接収に二十周期使います」
進常が聞く。
「もしずっと超体が倒せなかったら?」
「一周期で超体が倒せなかった場合、ケースバイケースになりますが、たいていは損失を覚悟の上で大量殺戮兵器を使います。大質量を地表に落下させたりとか」
鈴木が口を開く。
「一周期って百時間くらいなんでしょ。もう侵略が始まってから三日だよ、残り時間なんて二日あるかどうかじゃないか。とてもアンザレクトの援助を待ってられないよ」
モルゲニーも腹を立てた様子で言う。
「ホントにろくでもないやつらじゃの! 宇宙のゴミじゃ!」
アマガは申し訳なさそうに言った。
「お恥ずかしいですが、宇宙の平和を守るための正当な仕事だと思わされていましたので……」
進常は太くなった指で頭をかいた。
「まあ、敵がどういう手段をとってくるか教えてくれただけいいよ。わたしたちヤバいと。もう時間もないぞ、と。ぜったいに手段を探そう。せっかく十億円が手に入るっていうのに死んでたまるか」
大量殺戮兵器が使われるまでは、あとあっても二日、
もしかしたら一日、つまり明日がタイミリミットだ。
大質量の物体を落下させられたりしたら、当然、数え切れないほどの命が失われる。
それは防がねばならない。
なにか方法をみつけなければならなかった。
とはいえ、どうしたものか。
鈴木は腕組みして唸った。
「うぅーん、どうしよう……。とりあえずモルゲニーちゃんの脱出ポッドまで行って……」
そのとき、メリコが思いついたというように声をあげた。
「それ! 脱出ポッド! 脱出ポッドの部品ひっぺがしてミッションシップ直せるんじゃない? ねえアマガ!」
「ぐー……」アマガは寝ていた。
鈴木もさすがに呆れた。
「この状況でよく眠れるなこの人。自分も大量殺戮兵器に巻き込まれるっていうのに」
メリコがアマガの肩を揺すって起こす。
「ねえアマガ! 起きて!」
「あが? どうしました……?」
メリコは自分のアイデアをアマガに説明した。アマガが答える。
「アンザレクトの技術については知りませんが、クロンダイト合金は汎用性が高いメジャーな物質です。アンザレクト製の脱出ポッドにも使われている可能性は高いですね。確かに脱出ポッドから部品を剥ぐようにしてミッションシップを直せるかもしれません」
その場にいた一同は活気づいた。
鈴木はモルゲニーに聞いた。
「脱出ポッドは使いものにならなくなっちゃうかもしれないけどいいよね? なにもしなかったらどうせ死んじゃうんだし」
モルゲニーは頷いた。
「わらわのものなら、喜んで提供しようぞ」
進常が聞く。
「アンタの脱出ポッド、どこにあるの?」
「そうじゃのう……」
モルゲニーはテーブルの上で窓の向こうを指差した。
「この方角にある山のなかじゃ。距離はわらわの飛行速度で一時間ほど」
鈴木は立ちあがった。
「よし、善は急げ! さっそく行きましょう! 進常さん、車を出してください!」
進常もよっこらせと立ちあがった。
「昼飯買って、リュックに詰めて、いっちょハイキングと洒落こむか……」
モルゲニーの示した山はそれほど奥深い場所ではなかった。
標高も高くない。
田舎の小山だった。
アスファルトの道路が麓まであり、そこに路駐をしての登山となった。
この小山をわざわざ登るものもいないのか、道らしい道がないのが難点だった。
一行は藪をかきわけて進む。
進常が苦しげに喘ぐ。
「はぁはぁ、このボディに山道はキツイわぁー。もっとゆっくり登ってこうよー」
食料の詰まったリュックを担いだ鈴木は、振り返って言う。
「山道ってほどのものじゃないですよ、進常さん。ヤバくないですか、その調子だと」
「だって登り道じゃん! 山道ですぅー、ここは山ですぅー、キツイんですぅー! 登りは体重の増加がダイレクトな負荷となって……」
二人が不毛に言い合っていいると、空からモルゲニーが降りてきた。
「もう少しじゃ! 道のりはそれほど長くない、わらわからはもう見えている。頑張るのじゃ!」
樹々より高みにあがって方角を確認していたのだった。
モルゲニーからはもう目指すものが見えるらしい。
メリコは気楽な口調で言った。
「アタシたちは楽なんだけどね。カンパニースーツがパワーアシストしてくれるから」
進常は恨みがましい目つきで言う。
「ホントいいよな、そのカンパニースーツ。デザイン以外は」
一行がもう少し登ったところで藪が終わり、あたりは樹々だけになった。
山の匂いが濃くなる。
周囲は樹々に日光を遮られて薄暗かったが、藪よりは視界が開けた。
十メートルほど先に目指すものがみつかった。
木の根元に転がる白い球体。ハッチらしきものがついていて、人間が入りこめる大きさ。
モルゲニーが人型スーツを着用して乗ってきたのだろう。
脱出ポッドは空から落下し、数本の杉の木をぶち倒し、
さらに転がって大木の幹で止まったらしい。
「鈴木くん、今度はこっちの状況を説明してあげなさい」
「あ、はい。ぼくと進常さんは超体っていうやつらしくて特別な力があってね……」
鈴木はモルゲニーに事情を話した。
自分と進常は地球の超体であること。
メリコとアマガを仲間にした経緯。
テホルル・ペットフーズの社員のほとんどは、
サイコグラスという洗脳装置で騙されていること。
テホルル・ペットフーズの違法行為を中央宇宙連邦に通報できれば、
一気に壊滅させることができることなどを。
「だからメリコちゃんもアマガさんも悪い人間じゃないし、ぼくたちの大事な仲間なんだ、いまは」
鈴木はそう締めくくった。
モルゲニーは悩ましげに首をひねった。
「うぅーん、テホルル・ペットフーズの社員を生贄にできないと、王位を継承できんのじゃが、テホルル・ペットフーズを壊滅できるとなれば、また話は違ってくるであろう。わらわも助太刀いたしたい。成功すればわらわはアンザレクトの英雄じゃ」
鈴木は言った。
「ところで、ぼくはだいじなことに気づいているんですが。モルゲニーちゃんの脱出ポッドは超光速通信が使える。そうだよね?」
モルゲニーは金髪を揺らして頷いた。
「そうじゃ。超光速通信が使えねば、アンザレクトと連絡がとれんではないか」
進常が両手を広げて喜びを表現した。
「やったっ! これでめんどうなしでわたしたちの勝利だ! 勝った!」
鈴木は慎重に確認をとった。
「モルゲニーちゃんの超光速通信機、ちょっとぼくたちに使わせてよ。中央宇宙連邦に敵の違法操業を通報できれば、それでぼくたちの勝ちになるんだ」
「わらわの通信機を貸してやるくらいよいのじゃが、中央宇宙連邦にはつながらんぞ。アンザレクトは連邦に加盟してないからな。連邦と折衝をする場合には連邦政府まで使節を送らねばならんのじゃ」
進常は落胆した声をだした。
「うまくいかねー。なんだよ、そのひねくれた大宇宙のルールはよー?」
鈴木も頬杖をついた。
「けっきょくぼくたちは通信機も使えないし、宇宙船もないままか……」
モルゲニーがおずおずと言った。
「じゃが、じゃが、選択肢は増えたといえようぞ? アンザレクトに連絡をとって、こちらの事情を話せば、母上は連邦に使節を送ってくれるじゃろう。なんといってもテホルル・ペットフーズを滅ぼせるのじゃから。またはアンザレクトから宇宙船を送ってもらうこともできるぞ?」
進常が聞く。
「時間は? 使節を送って連邦政府と交渉するまでどれくらいかかる? 宇宙船を呼ぶ場合にはどれくらいかかる?」
モルゲニーは目を閉じてあごに手をあてた。
「うーん、地球時間にすると、使節を送る場合、交渉まで二週間。宇宙船を呼ぶ場合も同じくらいかもう少しかかるじゃろう」
鈴木は言った。
「可能性としてはアリだけど、ぼくたちはそんなに長く地球を守り続ける自信がないんだ。なんてったって、まだ地球侵略が始まって三日しか経ってないんだから」
進常はメリコに聞いた。
「メリコ、あんたの会社、侵略するときだいたいどれくらいの時間でミッション完了しちゃうの?」
メリコは困ったような笑いを浮かべた。
「アタシ、今回が初仕事だからよくわかんなくて。超体を倒せれば数日でミッション完了しちゃうと思うけど。まあ、わかんない」
進常は頷いた。
「今回が初仕事で、おそらく次の仕事はないだろうっていう特攻兵だもんな。アマガならわかる?」
「ぐー……」
アマガは寝ていた。
起こしてもう一度質問する。
アマガはあくびをしてから答えた。
「わたくしもずっと訓練ばかりで実地は今回が初めてなんですが、超体を倒したあとは三周期で全現住生物のペットフード化を完了させる手はずになっています。そのあと文明の分析と接収に二十周期使います」
進常が聞く。
「もしずっと超体が倒せなかったら?」
「一周期で超体が倒せなかった場合、ケースバイケースになりますが、たいていは損失を覚悟の上で大量殺戮兵器を使います。大質量を地表に落下させたりとか」
鈴木が口を開く。
「一周期って百時間くらいなんでしょ。もう侵略が始まってから三日だよ、残り時間なんて二日あるかどうかじゃないか。とてもアンザレクトの援助を待ってられないよ」
モルゲニーも腹を立てた様子で言う。
「ホントにろくでもないやつらじゃの! 宇宙のゴミじゃ!」
アマガは申し訳なさそうに言った。
「お恥ずかしいですが、宇宙の平和を守るための正当な仕事だと思わされていましたので……」
進常は太くなった指で頭をかいた。
「まあ、敵がどういう手段をとってくるか教えてくれただけいいよ。わたしたちヤバいと。もう時間もないぞ、と。ぜったいに手段を探そう。せっかく十億円が手に入るっていうのに死んでたまるか」
大量殺戮兵器が使われるまでは、あとあっても二日、
もしかしたら一日、つまり明日がタイミリミットだ。
大質量の物体を落下させられたりしたら、当然、数え切れないほどの命が失われる。
それは防がねばならない。
なにか方法をみつけなければならなかった。
とはいえ、どうしたものか。
鈴木は腕組みして唸った。
「うぅーん、どうしよう……。とりあえずモルゲニーちゃんの脱出ポッドまで行って……」
そのとき、メリコが思いついたというように声をあげた。
「それ! 脱出ポッド! 脱出ポッドの部品ひっぺがしてミッションシップ直せるんじゃない? ねえアマガ!」
「ぐー……」アマガは寝ていた。
鈴木もさすがに呆れた。
「この状況でよく眠れるなこの人。自分も大量殺戮兵器に巻き込まれるっていうのに」
メリコがアマガの肩を揺すって起こす。
「ねえアマガ! 起きて!」
「あが? どうしました……?」
メリコは自分のアイデアをアマガに説明した。アマガが答える。
「アンザレクトの技術については知りませんが、クロンダイト合金は汎用性が高いメジャーな物質です。アンザレクト製の脱出ポッドにも使われている可能性は高いですね。確かに脱出ポッドから部品を剥ぐようにしてミッションシップを直せるかもしれません」
その場にいた一同は活気づいた。
鈴木はモルゲニーに聞いた。
「脱出ポッドは使いものにならなくなっちゃうかもしれないけどいいよね? なにもしなかったらどうせ死んじゃうんだし」
モルゲニーは頷いた。
「わらわのものなら、喜んで提供しようぞ」
進常が聞く。
「アンタの脱出ポッド、どこにあるの?」
「そうじゃのう……」
モルゲニーはテーブルの上で窓の向こうを指差した。
「この方角にある山のなかじゃ。距離はわらわの飛行速度で一時間ほど」
鈴木は立ちあがった。
「よし、善は急げ! さっそく行きましょう! 進常さん、車を出してください!」
進常もよっこらせと立ちあがった。
「昼飯買って、リュックに詰めて、いっちょハイキングと洒落こむか……」
モルゲニーの示した山はそれほど奥深い場所ではなかった。
標高も高くない。
田舎の小山だった。
アスファルトの道路が麓まであり、そこに路駐をしての登山となった。
この小山をわざわざ登るものもいないのか、道らしい道がないのが難点だった。
一行は藪をかきわけて進む。
進常が苦しげに喘ぐ。
「はぁはぁ、このボディに山道はキツイわぁー。もっとゆっくり登ってこうよー」
食料の詰まったリュックを担いだ鈴木は、振り返って言う。
「山道ってほどのものじゃないですよ、進常さん。ヤバくないですか、その調子だと」
「だって登り道じゃん! 山道ですぅー、ここは山ですぅー、キツイんですぅー! 登りは体重の増加がダイレクトな負荷となって……」
二人が不毛に言い合っていいると、空からモルゲニーが降りてきた。
「もう少しじゃ! 道のりはそれほど長くない、わらわからはもう見えている。頑張るのじゃ!」
樹々より高みにあがって方角を確認していたのだった。
モルゲニーからはもう目指すものが見えるらしい。
メリコは気楽な口調で言った。
「アタシたちは楽なんだけどね。カンパニースーツがパワーアシストしてくれるから」
進常は恨みがましい目つきで言う。
「ホントいいよな、そのカンパニースーツ。デザイン以外は」
一行がもう少し登ったところで藪が終わり、あたりは樹々だけになった。
山の匂いが濃くなる。
周囲は樹々に日光を遮られて薄暗かったが、藪よりは視界が開けた。
十メートルほど先に目指すものがみつかった。
木の根元に転がる白い球体。ハッチらしきものがついていて、人間が入りこめる大きさ。
モルゲニーが人型スーツを着用して乗ってきたのだろう。
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