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第1章
第2話 魔王ならひと月前に倒されたじゃないか
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人生山あり谷ありっていうけど今は間違いなく谷だ。しかも落ちたら登るのは困難を極める谷だ。
ひょんなことから異世界に飛ばされることになった俺赤増成和。
異世界から現世に戻る方法はたったひとつ。
魔王を倒すこと。
異世界主人公といえばチート能力で無双ウハウハなわけだが、俺には何にも能力がない状態で飛ばされた。
もうこの時点でいくつかの不幸があるわけだが、そんなものを全て吹っ飛ばす不幸が起きた。
「…………何言ってんだいお前さん。魔王ならひと月前に倒されたじゃないか」
飛ばされた異世界で俺は話しかけた住人Aのおばさんからそのような言葉を聞かされた。
「…………た、倒されったって?! ど、どういうことだよ!!」
異世界といえばファンタジー。よくある異世界ものの作品たちとほとんど同じ世界観である、この場所に恥じない雰囲気のおばさんは口を開く。
「この1ヶ月お前さんは何をしていたんだい。祝勝のムードに飲まれてお酒を飲みすぎてダウンしたのかい? 黒髪の集団が魔王を倒して魔王のパーツを世界各地に封印したのを覚えてないのかい? そういえばあの黒髪の冒険者たちは見なくなったわね」
絶句する内容だ。
魔王が倒されたって? どういうことだ。魔王を倒さないと俺は戻れないのに、倒すべき魔王がいない……? そんな世界に俺は転生させられた? そんなバカな。
心の中でモヤモヤストレスが循環している時、俺の記憶が光った。
『あ、間違って魔王が討伐された世界を選んでしまったー!!!』
確か転生させられるあの瞬間に、あの脂ハゲジジイはこんなことを言っていたような。
「あのゴミ糞やろうッッ!!! またミスしやがったな?!! ふっざけんじゃねぇぞ!!!!!!」
俺の激怒に周囲にいる人たちは哀れな目を向けていた。
H分後
周囲の賑やかな雰囲気とは真反対のお通夜ムードで俺はテーブルに伏せていた。
ここはこの街—ロンチ—にある冒険者ギルドだ。
この世界はよくある異世界ものの世界そのものだ。冒険者という職業が存在しギルドもある。
冒険者やギルドの説明は……この作品が初の異世界作品ってことはないだろうしいらないか。
俺が伏せている理由は単純だ。
やることがない。
ただそれだけ。
「俺は……この先どうすれば…………」
魔王を倒す必要があるのに魔王は討伐済み。一体どうすればいいのやら。いっそのこと歩いて、あるかも不明な伝説の天国でも目指してみるか? そうすればバズるだろ知らんけど。
そんなことを思っていたら、不意に男から低い声をかけられた。
「よぉお前見ない顔だが新入りか」
ああよく異世界作品にいるイカつい人役か。
イカつい格好の男は俺の反応を待たずに話題を追加する。
「しかし久しぶりに他の黒髪なんて見たな。魔王討伐前までは常に冒険者ランキング上位で見かけたのに、討伐後に綺麗に見なくなった」
この男が言っている黒髪ってのはほぼ間違いなく俺と同じ転生者だろうな。
魔王討伐、冒険者ランキング上位、討伐後に消滅。
おおかた黒髪たちで魔王倒してその恩賞で現世に戻れたって感じか。ズルい。
そういえばこの男の先ほどの言葉に引っかかるものがあった。
「……他の黒髪ってどういうことだ?」
久しぶりに黒髪を見たではなく、他の黒髪を見たという言葉の意図とは。
「ああ、お前まだ会ってないのか? ほらあそこにいる黒髪だよ」
イカつい男が指差す方向に目をやると、そこには紫色の袴を着たボブの黒髪の女性が座っていた。
両手にジョッキを持ってる状態で!!
「じゃんじゃん持ってこい!! 私はここ1ヶ月間ストレスが溜まってるんだ!!」
その女は両手のジョッキに入った液体を口に流し込むと、顔を真っ白にした。そしてそのまま口元を押さえてトイレへと駆け込んだ。
嘔ッッ!! 吐ッッ!! という大きな音がギルド中にこだました。
ギルドにいた数多くの冒険者たちは大笑いでその音を聞いていた。
「…………な、なんなんだあれ」
思わず口からこぼれた俺の言葉にイカつい男は反応する。
「彼女の名前はサナだ。同じ黒髪なら話したほうがいいかもな」
ひょんなことから異世界に飛ばされることになった俺赤増成和。
異世界から現世に戻る方法はたったひとつ。
魔王を倒すこと。
異世界主人公といえばチート能力で無双ウハウハなわけだが、俺には何にも能力がない状態で飛ばされた。
もうこの時点でいくつかの不幸があるわけだが、そんなものを全て吹っ飛ばす不幸が起きた。
「…………何言ってんだいお前さん。魔王ならひと月前に倒されたじゃないか」
飛ばされた異世界で俺は話しかけた住人Aのおばさんからそのような言葉を聞かされた。
「…………た、倒されったって?! ど、どういうことだよ!!」
異世界といえばファンタジー。よくある異世界ものの作品たちとほとんど同じ世界観である、この場所に恥じない雰囲気のおばさんは口を開く。
「この1ヶ月お前さんは何をしていたんだい。祝勝のムードに飲まれてお酒を飲みすぎてダウンしたのかい? 黒髪の集団が魔王を倒して魔王のパーツを世界各地に封印したのを覚えてないのかい? そういえばあの黒髪の冒険者たちは見なくなったわね」
絶句する内容だ。
魔王が倒されたって? どういうことだ。魔王を倒さないと俺は戻れないのに、倒すべき魔王がいない……? そんな世界に俺は転生させられた? そんなバカな。
心の中でモヤモヤストレスが循環している時、俺の記憶が光った。
『あ、間違って魔王が討伐された世界を選んでしまったー!!!』
確か転生させられるあの瞬間に、あの脂ハゲジジイはこんなことを言っていたような。
「あのゴミ糞やろうッッ!!! またミスしやがったな?!! ふっざけんじゃねぇぞ!!!!!!」
俺の激怒に周囲にいる人たちは哀れな目を向けていた。
H分後
周囲の賑やかな雰囲気とは真反対のお通夜ムードで俺はテーブルに伏せていた。
ここはこの街—ロンチ—にある冒険者ギルドだ。
この世界はよくある異世界ものの世界そのものだ。冒険者という職業が存在しギルドもある。
冒険者やギルドの説明は……この作品が初の異世界作品ってことはないだろうしいらないか。
俺が伏せている理由は単純だ。
やることがない。
ただそれだけ。
「俺は……この先どうすれば…………」
魔王を倒す必要があるのに魔王は討伐済み。一体どうすればいいのやら。いっそのこと歩いて、あるかも不明な伝説の天国でも目指してみるか? そうすればバズるだろ知らんけど。
そんなことを思っていたら、不意に男から低い声をかけられた。
「よぉお前見ない顔だが新入りか」
ああよく異世界作品にいるイカつい人役か。
イカつい格好の男は俺の反応を待たずに話題を追加する。
「しかし久しぶりに他の黒髪なんて見たな。魔王討伐前までは常に冒険者ランキング上位で見かけたのに、討伐後に綺麗に見なくなった」
この男が言っている黒髪ってのはほぼ間違いなく俺と同じ転生者だろうな。
魔王討伐、冒険者ランキング上位、討伐後に消滅。
おおかた黒髪たちで魔王倒してその恩賞で現世に戻れたって感じか。ズルい。
そういえばこの男の先ほどの言葉に引っかかるものがあった。
「……他の黒髪ってどういうことだ?」
久しぶりに黒髪を見たではなく、他の黒髪を見たという言葉の意図とは。
「ああ、お前まだ会ってないのか? ほらあそこにいる黒髪だよ」
イカつい男が指差す方向に目をやると、そこには紫色の袴を着たボブの黒髪の女性が座っていた。
両手にジョッキを持ってる状態で!!
「じゃんじゃん持ってこい!! 私はここ1ヶ月間ストレスが溜まってるんだ!!」
その女は両手のジョッキに入った液体を口に流し込むと、顔を真っ白にした。そしてそのまま口元を押さえてトイレへと駆け込んだ。
嘔ッッ!! 吐ッッ!! という大きな音がギルド中にこだました。
ギルドにいた数多くの冒険者たちは大笑いでその音を聞いていた。
「…………な、なんなんだあれ」
思わず口からこぼれた俺の言葉にイカつい男は反応する。
「彼女の名前はサナだ。同じ黒髪なら話したほうがいいかもな」
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